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第一章
4天使の弟は悪魔
しおりを挟む「あら?どうしたのルーク」
現れたのはリーゼロッテ様だった。
今日もお美しくて眩し過ぎてクラクラしてしまう。
「姉さん」
「はい?」
姉さんですと?
誰が誰のでお姉さん?
「あらジュリエットさん。弟と知り合いだったのかしら?」
「いえ…」
「うん、同じクラスだよ」
私の言葉を遮り睨まれる。
『話を合わせろ』
睨まれ私は頷くしかない。
逆らえば二年の教室に何度も不法侵入しているのがバレてしまう。
「そうだったの。弟をお願いね」
「へ…」
「貴女のように優しい方が友人なら安心だわ」
優しい方…
優しい方。
泣いていいですか。
私は憧れのリーゼロッテ様にお褒めの言葉を頂きしかも。
「私の名前を…」
「あら?同じ生徒会の人間でしょ?知っていて当たり前だわ。それに貴女の淹れてくださるお茶は誰よりも美味しいもの」
もう死んでいいわ。
雑用を押し付けられ、手柄が他の役員に奪われているのに。
お茶を喜ばれても私が淹れたのではなく他の生徒会役員が淹れた事にされ。
私は地味な作業をせっせとしていた。
「優しい香りをありがとう」
「えっ…」
「私の好きな薔薇を毎日贈ってくださったのでしょう?」
バレていたんですか!
「あっ…あの」
「名前が書いていなかったけど。もしかしてと思って待ち伏せをしていたのよ」
美しいリーゼロッテ様はどんな表情も魅力的だ。
素敵過ぎて萌え死にしそう。
「ありがとうジュリエットさん」
手を両手で握られ、女神のような表情で微笑まれる。
「姉さん、この後フェルリス殿下とお茶会があるんだろ?」
「そうだったわ…でも」
「薔薇なら僕が預かるよ。彼女とは勝手知ったる仲だから」
何時からそんな仲になった?
今まで話したことがないのに何故に?とも思ったが。
「そうだよね?」
天使のような微笑みを浮かべながらも私はこの時副音声が聞こえた。
『合わせろ』
断れば殺される。
天使の弟はサタンだ。
小悪魔なんて可愛いものじゃない。
極悪非道の悪魔、サタンが浮かんでいた。
私は明日の太陽を拝む為にも頷くしかなかった。
「そう、ではごきげんよう」
「ゴキゲンヨウ…」
もはや笑顔を浮かべる自信はない。
鏡を見れば私は死んだ魚のような表情をしているに違いない。
普段から地味なのに。
もっと酷い顔になっているのだろうと思った。
「ちょっと付き合ってもらうよ」
「あの、拒否権は」
「あるわけないでしょ?」
悪魔は私を逃がしてはくれないようだった。
けれどこの時私は知らなかった。
目の前の悪魔と私が憧れのリーゼロッテ様を守る為に悪魔の契約を結ぶことになるとは。
この時夢に思わなかった。
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