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第一章
5尋問
しおりを挟む学園の裏庭の奥にある庭園。
どこか懐かしさを感じる場所だった。
いやいや、懐かしんでいる場合じゃない。
「私はここで拷問されるのですか」
「は?」
「不法侵入罪並びに公爵令嬢様に貧相な花束を差し上げた罰、そして私があの方を身分不相応に追いかけている不敬罪で罰せられるんですね」
こうなったら死ぬ前にお願いをしてみよう。
「できれば死ぬ前に肖像画を抱いて死んでいいですか?」
「ねぇ、君馬鹿でしょ?しかも妄想劇の趣味が酷くない?」
失礼な私は少しだけ空想が好きな女の子だわ。
現実では無理でも想像の中なら自由だし。
「地味で目立たなく不細工な私にはも想像の世界でも自由にすることは許されないのですか」
「いや、自分で卑下してどうするんだよ」
「一般論です」
学園でも、外でも私の事を皆行っている。
職人貴族令嬢だと。
でもこれが私なのだから仕方ない。
「だけど、私が誰にも負けないのはリーゼロッテ様を愛する思いです。あの顔だけ身分だけ最低男よりも私の方がずっとリーゼロッテ様を愛してます!王子としてしか全くの魅力のない木偶の坊が!」
「いや、相手は王太子」
「そんなものたまたま王太子に生まれただけじゃないですか!私達中位貴族は特技を磨き生きて行くのにどれだけ頑張っているか!特にリーゼロッテ様は幼少の頃から王太子妃になるべくどれだけ頑張っておられたか」
私はお父様に王都に連れて行ってもらう先に何度も見たわ。
音楽祭で大人顔負けの演奏をするリーゼロッテ様。
私も昔からピアノを弾いていたけど、本当の音を出すのは時間がいる。
なのにリーゼロッテ様は幼い頃から素敵な演奏が来た。
「君、ただの変人じゃないんだ」
「失礼な。生粋の変態です!」
「勝ち誇るな!褒めてないから!」
古の時代より芸術に精通する者は変人が多い。
特に技師の巨匠は変わり者が多いのだ。
「少し話が脱線しましたが」
「かなりしたけどね」
「私は出来ますれば電気椅子と張り付け以外を所望いたします」
「僕を何だと思っているの?しないよ!」
あれ?
何のお咎めも無しって事?
だったら何で私は連れてこられたのだろうか?
「君が姉さんに害を成す事はないって事は解っていたけど確認したんだよ。まさかこんなアホなストーカーだったなんて」
「頭は良くないですね」
だってこの学園に入る為に私は死ぬ気で勉強したんだもん。
補欠合格で入学できた程度の成績だ。
「そういう事じゃないけど…ハァー」
何でため息をつくのか。
私がハァーって言いたいんだけどね。
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