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流される形になった俺は王宮内の離宮に招かれた。
王宮程の大きさはないが、手入れが行き届いたなんといかプチ・トリアノンのような作りだな。


「随分と年季が入っているのにすごい手入れをされているな」

「お分かりになるのですか」

「はい」

実家は旅館を営んでいた。
俺はコンサル的な仕事を行いじいちゃんの補佐をしていたけど。


建物に関してはそれなりに知識もあるし、勉強をしていた。
だからどれだけ手をかけて手入れをしていたか解る。

「外観は古いけど、柱が良い…手入れもすごいな」

「この離宮は今は亡き王女殿下の別邸でした」

「はい?」

今なんて言った?


「第一王女マリーアンジェ様。我が国の第一王女で、ご存命でしたら女王陛下と名なられていた方です」


「王女様が?」

「珍しいのですが、あの方は聡明で誰よりも国を愛しておられました」


あの馬鹿王子は弟か。
そうなると優秀な姉が亡くなり、仕方く弟が立太子したのか。

「あれ?でもおかしくないですか?何で王太子殿下が他国に嫁ぐんですか」

「王太子殿下ではございません」

「え?」


「あの方は王位継承権を持っておりませんので」


一応王子なのに継承権がないなんてあるのか?
そもそも色々おかしいと思ったのはあの王子に対する騎士さんの態度だ。

牢屋にいあの二人は除外するとして。


「簡単に説明しますと、あの方はこれまで多くの問題を起こされました。血筋云々の問題です」

「あー…」


あの言動もあり、態度も問題視されていたのか。

「正式に廃嫡を考えていましたので…」

「けど同盟の証で敵国にいかせても問題を起こすのでは」

「その点は問題ありません。アルテリア王国の王女殿下の伴侶となりますが地位はないに等しいので」

要するに傀儡か。
政略結婚というのも表向きであちらの王女殿下を女王にするための道具。

「国王陛下は温和で優しい方ですが、その側近が容赦のない方です。万一問題を起こした場合は国に幽閉することもいとわないでしょう…まぁ生贄のようなものです」

「うん、聞かない方が良かった」


俺に対しては国王陛下は優しかった。
でも優しいだけでは君主は務まらないのだから。


「レン様、このような事になって誠に申し訳ございません」

「団長さん…」

「どうか私の事はロナルドとお呼びください」


この騎士さんは最初から俺に対して丁寧だったな。
俺はこの世界では何の肩書もない若造に過ぎないのに。

「じゃあ俺も蓮で…」

「なりませんn」

「いや、俺は貴方よりもずっと年下で何の肩書もないのに…」

「だとしても異世界人は客人です。肩書がなくとも無礼は許されません」


基本温和であるのに頑固だななんてのんきな事を考えながら着々と俺のお嫁へ行く準備が行われていた。

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みんなの感想(4件)

YUkOrInYorsikuonakis
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YUkOrInYorsikuonakis
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