婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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10王女宮

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王宮内にある小さな離宮。
別名王女宮と呼ばれており、大きな宮殿とは異なり正方形の離宮は別邸となっている。


元は第一王女、第二王女が幼少期に使われていたが、現在はリディア王女殿下の住まいとなっている。


中に入れるのは限られた侍女だけで、どんなに身分が高くとも許可がないと入る事は出来ない。

国王ですら許可が無くては出入りを許されていないと聞く。
病弱なリディア王女の為に第一王女殿下、テレシア様が直々に改築させたと聞く。


「お待ちしておりました」

「この度はお招きいただき光栄です」

「どうぞお入りください」


門番となる者も女性騎士で、この宮殿は基本は女性しかいないそうだ。

そんな中招かれた私は緊張していた。


「こちらを」

「まぁ、白い百合の花束ですわね」


あの舞踏会の時も百合の花の髪飾りを着けていらしたので好きなのかと思った。

「こちら皆さんでどうぞ」

「まぁワインにキッシュ。王都でも有名なお店の」


侍女の皆さんの口に合うか解らないが、喜んでもらえて良かった。
私と同様にチャールズも手土産を持ってきていたようだ。



「私からは焼き菓子を…」

「気を使っていただき申し訳ありません」


まさかここまで喜んでくださるとは思わなかった。


本来は食べ物はどうかと思ったが、受け入れられて良かった。


すると足音が聞こえた。
侍女や女官ではないと思ったが…


「本日はようこそお越しくださいました」


玄関まで出向いてくださった方は…


「姫様!」


リディア王女だった。
普通は玄関まで出て来るなんて貴族令嬢でもあまりないと思っていたんだが。


「本日はようこそお越しくださいました…」


「リディア様!」


立ち眩みがされるリディア王女を急いで支える。


「体調が優れないのではありませんか」

「申し訳ありません」

顔色がよろしくない。
それに少し熱があるようだった。


「ご無礼を」


「きゃあ!」

上着を肩にかけて抱き上げる。


「お部屋で休まれた方が良いかと」


「申し訳ありませんシオン様。お部屋に姫様をお願いできますか」

「ニナ!」

「お願いします」


リディア王女はニナ嬢を責めるような口調だったがせき込まれる。
病弱と聞いていたが、軽すぎる。

食事もちゃんと食べておられるのか怪しいぐらいだ。


「もっ…申し訳ございません」

「どうかお気になさらず。お嫌でしょうがお許しください」


本来なら私が触れるのも恐れ多い高貴な方なのだから。


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