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22真の騎士~王妃side
しおりを挟む「お母様?今なんと?」
話し合いが終わった後に私はリディアに婚約の話を伝えた。
案の定驚いていたけど。
「シオン・アスハルト伯爵と正式に婚約が決まったわ」
「待ってくださいお母様。あの方は婚約者がいらしたのでは?」
「ええ…でも、少し前に婚約解消になっているわ」
困惑する娘に笑みを浮かべる。
まぁ、まだ手続きが終わっていないしヴィッツ伯爵夫人は知らないわね。
でも社交界であれだけ派手な噂が流れているのだから異論は許さないわ。
それに断れないように布石を投じているわ。
「でも…」
「元は貴女の伴侶になる予定だったのよ。それが元に戻っただけ」
「そうなんですか…」
これは本人も知らなかった事。
シオン殿の前でああ言ったけど、彼を選んだ一番の理由はリディアが彼を愛していたから。
幼い頃別邸でリディアは敵対する派閥の貴族に襲われそうになったのを偶然にも幼きシオン殿が身を挺して救ってくれた。
当時は身分を偽っていたから本人は知らないだろう。
でも、身分を知らずに王子様のように助けてられ恋をしてしまった。
その後もリディアはシオン殿の事を噂で聞いていたそうだ。
言葉を直接交わす事はなくとも憧れが恋に、そして愛に変わるのは早かった。
だけどそれを貴族派が邪魔したのよ。
でも巡り巡って元に戻ったわ。
「ヴィッツ令嬢は幼少期からシオン殿を侮辱し、出世が遅い事を責めていたそうよ」
「そんな…」
「ライルハルト様に憧れ本人の前で比べ続け…浮気を繰り返したらしいわ。本人の前で愛し合っているのを見たようで」
「酷い…」
証言と物証を見た時は殺してやろうかと思ったわ。
本当ならリディアの婚約者となり、幼少期は二人で愛を育んでいた時間は耐えがたいものとなった。
「貴族の婚姻は政略結婚。でも互いに歩み寄りる努力があれば良好な関係を結べるわ」
「でも私は…」
「貴女がシオン殿を愛しているなら。愛される努力をなさい。体が弱いからなんだというの」
シオン殿はそんな事で責めるような方じゃない。
王女としてだけではなく女性として幸せになって欲しいと言ってくださった。
恋愛感情が無くとも幸福になれるわ。
「それに見る限りシオン殿は遊び慣れていないわね」
「お母様!」
「ヴィッツ令嬢とは相当相性が悪かったのね」
「遊び慣れている方が嫌ですわ」
真っ赤になって怒るリディアを見るのは久しぶりだわ。
「だから安心なさい。好意はあるわ…あの手の殿方は相当奥手で堅物なのよ」
「はい…」
でも私が見た所、リディアに好意はあるならばじっくり時間をかければいいわ。
テレシアもいるのだから。
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