婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

文字の大きさ
23 / 169

22真の騎士~王妃side

しおりを挟む





「お母様?今なんと?」


話し合いが終わった後に私はリディアに婚約の話を伝えた。
案の定驚いていたけど。


「シオン・アスハルト伯爵と正式に婚約が決まったわ」

「待ってくださいお母様。あの方は婚約者がいらしたのでは?」

「ええ…でも、少し前に婚約解消になっているわ」

困惑する娘に笑みを浮かべる。
まぁ、まだ手続きが終わっていないしヴィッツ伯爵夫人は知らないわね。

でも社交界であれだけ派手な噂が流れているのだから異論は許さないわ。
それに断れないように布石を投じているわ。


「でも…」

「元は貴女の伴侶になる予定だったのよ。それが元に戻っただけ」

「そうなんですか…」

これは本人も知らなかった事。
シオン殿の前でああ言ったけど、彼を選んだ一番の理由はリディアが彼を愛していたから。


幼い頃別邸でリディアは敵対する派閥の貴族に襲われそうになったのを偶然にも幼きシオン殿が身を挺して救ってくれた。


当時は身分を偽っていたから本人は知らないだろう。
でも、身分を知らずに王子様のように助けてられ恋をしてしまった。

その後もリディアはシオン殿の事を噂で聞いていたそうだ。
言葉を直接交わす事はなくとも憧れが恋に、そして愛に変わるのは早かった。


だけどそれを貴族派が邪魔したのよ。

でも巡り巡って元に戻ったわ。


「ヴィッツ令嬢は幼少期からシオン殿を侮辱し、出世が遅い事を責めていたそうよ」

「そんな…」

「ライルハルト様に憧れ本人の前で比べ続け…浮気を繰り返したらしいわ。本人の前で愛し合っているのを見たようで」


「酷い…」


証言と物証を見た時は殺してやろうかと思ったわ。

本当ならリディアの婚約者となり、幼少期は二人で愛を育んでいた時間は耐えがたいものとなった。


「貴族の婚姻は政略結婚。でも互いに歩み寄りる努力があれば良好な関係を結べるわ」

「でも私は…」

「貴女がシオン殿を愛しているなら。愛される努力をなさい。体が弱いからなんだというの」


シオン殿はそんな事で責めるような方じゃない。
王女としてだけではなく女性として幸せになって欲しいと言ってくださった。


恋愛感情が無くとも幸福になれるわ。


「それに見る限りシオン殿は遊び慣れていないわね」

「お母様!」

「ヴィッツ令嬢とは相当相性が悪かったのね」


「遊び慣れている方が嫌ですわ」


真っ赤になって怒るリディアを見るのは久しぶりだわ。


「だから安心なさい。好意はあるわ…あの手の殿方は相当奥手で堅物なのよ」

「はい…」


でも私が見た所、リディアに好意はあるならばじっくり時間をかければいいわ。

テレシアもいるのだから。



しおりを挟む
感想 404

あなたにおすすめの小説

実は家事万能な伯爵令嬢、婚約破棄されても全く問題ありません ~追放された先で洗濯した男は、伝説の天使様でした~

空色蜻蛉
恋愛
「令嬢であるお前は、身の周りのことは従者なしに何もできまい」 氷薔薇姫の異名で知られるネーヴェは、王子に婚約破棄され、辺境の地モンタルチーノに追放された。 「私が何も出来ない箱入り娘だと、勘違いしているのね。私から見れば、聖女様の方がよっぽど箱入りだけど」 ネーヴェは自分で屋敷を掃除したり美味しい料理を作ったり、自由な生活を満喫する。 成り行きで、葡萄畑作りで泥だらけになっている男と仲良くなるが、実は彼の正体は伝説の・・であった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)今月は2冊出版!
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過

美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ 

さくら
恋愛
 会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。  ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。  けれど、測定された“能力値”は最低。  「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。  そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。  優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。  彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。  人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。  やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。  不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

【完結】私を捨てて駆け落ちしたあなたには、こちらからさようならを言いましょう。

やまぐちこはる
恋愛
パルティア・エンダライン侯爵令嬢はある日珍しく婿入り予定の婚約者から届いた手紙を読んで、彼が駆け落ちしたことを知った。相手は同じく侯爵令嬢で、そちらにも王家の血筋の婿入りする婚約者がいたが、貴族派閥を保つ政略結婚だったためにどうやっても婚約を解消できず、愛の逃避行と洒落こんだらしい。 落ち込むパルティアは、しばらく社交から離れたい療養地としても有名な別荘地へ避暑に向かう。静かな湖畔で傷を癒やしたいと、高級ホテルでひっそり寛いでいると同じ頃から同じように、人目を避けてぼんやり湖を眺める美しい青年に気がついた。 毎日涼しい湖畔で本を読みながら、チラリチラリと彼を盗み見ることが日課となったパルティアだが。 様子がおかしい青年に気づく。 ふらりと湖に近づくと、ポチャっと小さな水音を立てて入水し始めたのだ。 ドレスの裾をたくしあげ、パルティアも湖に駆け込んで彼を引き留めた。 ∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞ 最終話まで予約投稿済です。 次はどんな話を書こうかなと思ったとき、駆け落ちした知人を思い出し、そんな話を書くことに致しました。 ある日突然、紙1枚で消えるのは本当にびっくりするのでやめてくださいという思いを込めて。 楽しんで頂けましたら、きっと彼らも喜ぶことと思います。

持参金が用意できない貧乏士族令嬢は、幼馴染に婚約解消を申し込み、家族のために冒険者になる。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 セントフェアファクス皇国徒士家、レイ家の長女ラナはどうしても持参金を用意できなかった。だから幼馴染のニコラに自分から婚約破棄を申し出た。しかし自分はともかく妹たちは幸せにしたたい。だから得意の槍術を生かして冒険者として生きていく決断をした。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

処理中です...