婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

23第二王女の恋～リディアside

私の名前はリディア・カスメリア。
カスメリア王国の第二王女として生まれるも、幼少期から体が弱く離宮で過ごしていた。


優しい両親に姉に守られながらも、雑音は常に私を苦しめた。


王女でありながら政略結婚一つできない。
外交もできない事を周りから責められ心身共に病んで行った。


そんな私の唯一の支えはある方だった。


シオン・アルハルト伯爵様。
辺境伯爵家の次男でありながら成人する前に独立を果され若くして伯爵の爵位を賜り第二騎士団団長となった方だった。



幼少期に私は彼に救われた。
その日は離宮から出て別邸で静養するはずだったが別邸に火をつけられ逃げる最中に襲われそうになった私を助けてくださった。


その時は名前も知らなかったけど。
その後名前を知った。


その日から恋をした。
でも私は第二王女で、病弱故にこの恋は封印しなくてはならなず。

時が立っても忘れる事はなく風の噂でシオン様がヴィッツ伯爵令嬢と婚約したと聞かされた時には胸が張り裂けそうだった。


けれど社交界で二人の噂は良いものではなかった。
貴族の婚姻は利益の追求だったから仕方ないけど、社交界でシオン様の悪口を言っている彼女を見て胸が痛んだと同時に苛立った。



――私だったらあんなこと言わない。


――私が健康だったら。


言っても仕方ないけど。
思わずにはいられなかった。


シオン様を愛していても無理だから。
せめて遠くから見つめられればと思った。



それから数年。
王宮内の舞踏会に参加する事になった私はこっそり参加した。



でもそこで体調を崩して嘔吐しそうになった時。


「どうかご辛抱ください」


他の人達が私を責める中、あの方は手を差し出し助けてくださった。


私を抱き上げ雑音が聞こえない場所に連れて行ってくださった。
嘔吐で礼服が汚れても気にも留めずに。



蓋をした恋心が再び燃え上がりそうになる。


炎のように燃え上がるのを我慢できなかった。



優しいシオン様。
ご迷惑をかけてしまったのに私と知らず無礼を働いたとお見舞いの花束と贈り物をしてくださった。



老婆のようだと言われたこの髪を美しいと言ってくださった。
王族は皆金髪だった。


瞳は紫であるけど、髪はプラチナブロンドに近い色だった。
その所為で悪い噂も流れていたのに月のように美しいと言ってくださった。


その言葉がどんなに嬉しかったか。


でも相手は婚約者がいる方。
これ以上はダメだと思いながらもシオン様が近くにいることが嬉しくて仕方なかった。