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37船旅と不安
船旅は穏やかだった。
風の動きは変わらず、天気な日々が続き昼間は釣りをしたり。
イルカを見て船旅を堪能していた。
「まぁ、カモメですわ」
「あちらを」
「まぁなんて美しい海ですの」
この時間は太陽が反射して、水面が美しく光る。
コバルトブルーが美しい。
「こんな美しい景色を見れるなんて」
「夜は星が美しいですよ」
離宮からではここまでの絶景は見れないだろう。
しかし驚いたのはリディア様の従応力の高さだった。
王族で温室育ちならば環境の違いに戸惑うと思った。
虚弱体質と聞いていたので日陰で楽しんでもらえるようにと思ったが、王都を出てから顔色も良く食欲もある。
「ニナ、リディア様の体調が随分が良いな」
「はい、熱もまったくない船酔いもありません」
普段は外に出る事はなく歩く事も少ない。
一日中ベッドの上で過ごすのが当然と聞き食事はスープばかり。
「これは…」
どう考えても不健康すぎるだろう。
病弱理由に部屋に引きこもり外にでるのは日が落ちてからだと聞くが。
「主治医は何と言っている」
「現状維持が望ましいと」
「病は気からと言うがそれ以前の問題だ」
これは病以前の問題ではないか?
「チャールズ、リディア様の医師は何処の出身だ」
「元は西の生まれだ。宮廷医師の中でも西洋医学に明るい」
「王族の主治医になるぐらいだ。推薦状はあるだろう」
「ああ…だが」
チャールズは要領の悪い説明をする。
「少々厄介な派閥だ」
「彼は西の生まれという事はゴローニャの出身か?それもルセットか」
後者ならいいが前者だと厄介だ」
「ゴローニャだ」
「そうか」
そうなると一部貴族派と関りがある。
「貴族派の全てを疑いたくないが、アスハルト家と懇意な老医師がいる。一度診断書を見せて見たいのだが」
「承知しました。盗んでまいります」
「えっ…いや」
物騒な言葉を言うニナに冷や汗が流れる。
「シオン様はリディア様のご病気を治すと仰せでした。ならば私ができる限りの事を」
何だろう?
拳を突き上げ気合を感じるんだが。
「今の所体調が良いようだが、可能なら滋養の良い食事を増やしたい」
「頼むぞシオン…」
元よりそのつもりだ。
政治的な理由でリディア様を亡き者に考える者達が仕組んだ事ではない事を願いたいが。
もし、万一にでもそのような事があれば内乱が起こるだろう。
いくら何でも貴族派もそこまでの事を考えていない事を祈りながらリディア様には旅を楽しんでもらう事にした。
弱った体力を改善する為に別邸に到着したら温泉につかっていただき。
体力をつける為にも海で遊んでもらおうと色々考えている間に王都ではとんでもない事態になっているとは知る由もなかった。
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