婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

ユウ

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閑話1自称悲劇のお姫様~サンドラside⑨

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騎士として誰からも認められるシオンを見ながら私の自尊心は傷つけられるばかりだった。

フランシスは嘘のように元気になり、貴族院に入り飛び級で卒業した後に次期宰相候補にとまで言われ次々と改革を行った後にアルハルト家は富と地位を築き上げていた。


対する我が家は投資に失敗して損をしてしまった。
その程度で我が家が傾く事はなかったが金銭的な援助を求めるも、アルハルト家は良い顔をしなかった。


「既に十分な援助はしているはずだ。これ以上はダメだ」

「ですが…」

「依存されては困る。我が国の財政を考えれば数年後は貴族から税を取る制度も考えられている」


「貴族から税金を!」

「何を驚くのか…」


貴族が税金を支払うなんてありえない。
なのにあの男に賛同する貴族は日に日に増えていた。


「国の予算では限界がある。ならば贅沢品…ドレスにも税をつけるべきだ」

「何を言っているの」

「私も上司に頼んで、酒や菓子にもつけるべきだと…来月にはこのワインも値段が上がるだろう」


なんて余計な真似を。
余計な事をするシオンは更に…


「以前使っていた馬車は譲ることにした。贅沢だからな」


これまで使っていた馬車を手放し辻馬車を利用するようになり。
ドレスだって買ってくれない。


住んでいる邸も手放し、孤児院に寄付して小さな邸に住む始末。


もう限界だわ。

こんな自分勝手な男と婚約を続行するなんて耐えられない。


そんな時だった。


隣国の皇太子殿下がしばらく留学に来られる話が来た。


「サンドラ、これはチャンスだ…お前をラインハルト殿下の世話係になれるように頼み込んだ」

「貴方…」

「聞けば殿下には婚約者がいない。妃の座につけば…」

「お父様!」


なんて事なの。
ようやく私に運が向いて来たわ。



東帝国の皇太子殿下は婚約者もいない。
女性に対して苦手意識を持つ初心な方だと聞いている。


これまで視察で遠くから見る事はあっても直接言葉を交わす事はなかった。


でもようやく私の時代が来たわ。


ラインハルト殿下は噂通り控えめな方だったけど、一緒に過ごすようになって私に心を開いてくださった。


ただ問題なのは…


「サンドラ嬢、シオン殿はよろしいのか」

「かまいわませんわ」

「ですが、こんな雨に迎えに来ていただくのは」

「シオンなどどうでもいいではありませんか」


親しくなるにつれてラインハルト様はシオンを気にしていた。
私の婚約者ではあるけど、妃になるのだから婚約は円満に解消になるわ。


「私がお慕いしているのは殿下だけですわ。私はシオンを愛しておりません…シオンなんか」


そう、私があの男と結婚?
冗談じゃないわ。

身の程を弁えればいいのよ。
だからデートの日もわざと思い知らせてやったわ。


そしてあの日見せつけてやったのよ。


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