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110久しぶりの再会
しおりを挟む「待ってましたよ」
久しぶりの王妃陛下は相変わらず威厳がすごかった。
今日は何時にもなく威圧感が半端ないと思うのは私だけだろうか?
「リディア、貴女の功績は私の耳にもしっかり入ってますわ」
「ありがとうございます」
「リディア様は今では女性の憧れですからな」
傍にいる大臣が褒めちぎる。
だが、お世辞だとは思わない。
リディアは長らく重い病を抱えていた故に、福祉に関する興味が強い。
また、病気を抱える者がどれ程孤独だったか。
だからこそ病室で孤独でいるのではなく開かれた療養施設を作り、病人でも働けるシステムを導入した。
また現在の医療を見直し、手術ではなく薬草で病を治す事を重視した。
他にも食事療法等も見直す事にしたのは自身の経験からだった。
最初は試運転で、上手くいかない事も多かったが、今では軌道に乗っている。
我が領地では王都で職を失った女性を使用人に迎えたり、福祉事業に携わってもらった。
そのおかげで領地は潤っている。
潤ったお金は寄付に回して女性の為に使っている。
後は孤児院を増やしている。
「私もこれで安心です」
「お母様、どうされたのです?」
「ねぇ貴方」
「うっ…うむ」
王妃陛下の黒い笑み。
ものすごく嫌な予感がするんだが。
「リディア、貴女は十二分に役目を果しているわ」
「お姉様」
「元より貴女は私よりも聡明で政治をするならば貴女の方が相応しいと思っていたわ」
「そんな…お姉様」
一体どうされたのだろうか。
こんな消極的な事をおっしゃるなんてらしくないな。
「リディア、私はずっと思っていたのよ」
「お姉様?」
「私よりも聡明で、先を見抜く力があるわ」
「お姉様、一体どうしたというのです」
「許してリディア。今までちゃんと守ってあげられなかった事を。そしてこれから貴女に酷な事を告げなくてはならない」
何時ものテレシア様らしくない行動に、この場にいる顔ぶれは宰相や財務大臣だ。
この顔ぶれがいる時点で気づくべきだった。
ただ久しぶりに顔を見たいだけではない。
この場に私達を呼んだ理由。
その意味はきっと…
「リディア、私は王位継承権を返上する事を決めたの」
「お姉様!」
ずっと前から決められていたのかもしれない。
なのに私はその変化に気づけなかった。
テレシア殿下がリディアに王座を譲ろうとしていた事に。
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