婚約者が隣国の王子殿下に夢中なので潔く身を引いたら病弱王女の婚約者に選ばれました。

最終話

今回の事件に関わった者は全て粛清対象。
領地召し上げとなり、ヴィッツ家は当然取り潰しになった。

「どういうことだ！」


「何をするの！」


サンドラの罪を告げた後に二人も囚われ今後の事を話すと想像した通り二人は互いに責任を押し付け自分だけはと醜い争いをしたとか。


「お前の所為だ！私は関係ない！」

「そうやって貴方はまた逃げるのね！」


二人の醜い争いを繰り返す中騎士達は無理矢理拘束した後にサンドラの元に連れ行ったが。


「あがっ…がっ！」


「きゃあああ！何よこの老婆は」


「何て汚いんだ」


自分の娘だとは解らない。
認めたくはないのか二人は現実逃避をしていたが、二人は死ぬまで施設でサンドラの世話をして、サンドラの治療費を支払う為の永久労働を強いられることとなるだろう。



「報告は以上だな」


「はい、後始末はまだ多いですが。そうそう殿下、この後のスケジュールは秒刻みでございますので一か月は缶詰でお願いします」


「は？」

「…というか、今回の事でリディア様がまだ怒っているようで。体力が有り余っているなら公務を増やすべきと」


侍従の言葉に冷や汗が流れる。
今回の事でかなり無理をしていた事もあるが場合によっては私も危なかったからな。



「解った…」


「では私は失礼します」


リディアをこれ以上怒らせると恐ろしいことになる。


「仕方ないな」


「その割には嬉しそうだな」


護衛として執務室に残っているチャールズが苦笑した。


「ああ、ディアッカとニナの事を聞いてな」

「まぁ、早々に部屋に連れ込むのは…まぁ」


説教をしたい所だが、アイツもようやく自分の為に生きる道を選んでくれた。


こんなに嬉しいことはない。


「今までずっと未来を諦めていたディアッカがようやく振り返ってくれた」


「シオン…お前な」


「私はディアッカにもちゃんと自分を大事にして欲しい」


ちゃんと自分の幸せを考えて欲しかった。


「これからが大変だぞ」

「だけど、歩いて行けるだろ？」

困難が待っているかもしれないが諦めなければ道は繋がっている。


これから先も歩いて行ける。
立ち止まった時間は無駄じゃない人は前に進むことができるが、時には振り返る事も必要で。


振り返りながらも道を見つけて進んでいける。


「私達の未来は明るいはずだ」


「ならば王太子殿下にはその先に進んでもらわいとな」


「ああ」


優しい風が吹く。


「シオン様」

「リディア」


新しい命がまた生まれる。
その命がまた新しい命を生み出すだろう。





　　　　――完結