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第1章白銀の錬金術師の奮闘記
69究極の選択
急いで砦に乗り移り、シリルの元に向かうが既に体温は冷たくなり呼吸がなかった。
「副会長!」
魔力を抑え込んでいたら間に合わない。
「くそっ…魔力を吸い出して尚且つ体を温めないと」
一刻を争うのだが、一番確実に魔力を吸い出す方法は一つしかない。
「ブルッ…」
「それしかないかな?」
「ヒヒィン!」
まるで肯定するかのようだ。
だが、ディアナはその方法に躊躇していた。
緊急事態だとしても後々のシリルの精神的ダメージを考える。
「うっ…」
「ええい!根性!」
ディアナは杖を握りながらシリルの首に手を回す。
(ノーカウント。これは人命救助)
自分に言い聞かせる。
「ごめんなさいシリル様」
頬に触れながらディアナはシリルの唇に触れる。
(氷のように冷たい中に血の味がする)
唇を噛みしめ、どれだけ耐えたのかと思うと悲しくなる。
(ありがとうございますシリル様)
強く首に手を回しながら唇を強く寄せて魔力を吸収して、代わりに自身の魔力を入れて術式を行った。
(彼方を死なせたりしない)
吸い取った氷の魔力に熱を入れ、尚且つロシナンテが炎の魔力を運んできたことにより氷の砦から解放され、シリルは目を覚ます。
「んっ…」
「シリル様」
唇がゆっくり離れ、二人は見つめ合う形になる。
「お前…」
「申し訳ありません」
シリルは目を開けた瞬間驚いた表情をしていたが、いつものように怒鳴り散らすことはなかった。
「馬鹿者が…何をしている」
「申し訳ありませ…」
「馬鹿か。凍傷になっているだろ」
右手を見せられると凍傷になり、手の感覚はほとんどなかった。
「もっと自分を大事にせんか…馬鹿者」
「シリル様!」
そのままディアナに身を預ける形で意識を手放す。
氷の砦は完全に消えた。その場の氷もすべて解ける中、風が吹きローブが飛んでいく。
「あれは…銀のローブだ」
「伝説の大錬金術師様だ!」
神秘的な錬金術の光で白いローブが銀色に見えたことで生徒達は勘違いする。
「空を飛ぶ馬…天馬だ」
光の反射でロシナンテの体の色も白く見え、なおかつ魔力を利用して宙を舞っていたので勘違いした生徒達は声を荒げた。
「白銀の錬金術師様と天馬だ!」
偶然が重なり生徒達は勘違いの末に、伝説の錬金術師が救ってくれたと思い込んだのだった。
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