地獄の沙汰も慈愛次第!婚約者は姉を溺愛したので私は真実の愛を貫きます!

ユウ

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第三章時を超えた想い!純白の絆が奇跡を生む!

62大賢者の魂






驚愕の事実を知らされたディアナだったが、更に驚くべきことに風の精霊王は確信したように告げた。


「そなたはこの世界に属する者ではないな」


「えっ…」


「正確には魂がだ。それこそが証だ」


一つの体に二つの魂を持つことを示している。


「怯えるでない。賢者に覚醒する者は皆、厄介な事情を抱えているのだ」

「それは私のような…」


「似たり寄ったりじゃ。一つの肉体に二つの心…いわば別人格が現れる」


現実離れしていることだが、既にその現実離れをした状況にあるので否定できない。


「そなたのように、魂に限界が来た時にままあるのじゃ。器を守る為に…神々が愛し子を守る為に」

「守る?」

「我らは呪いとも言ったが」



神々の祝福は考えによっては呪い。
人が持たない力を持つのはある意味では不幸でもあるからだ。


「人にない才を持つ者は孤独じゃ。理不尽な理由で排除される」


「あっ…」


前世の頃を思い出す。
何一つとして悪い事をしていないのに生きているだけで罪だと言われるようだった。


人助けをしても責められ、何もしなければもっと責められる。
何をしても恨まれ、憎まれる存在だった。


「神も残酷よの…祝福を得た者達は皆、欲しくなかった力を得て同胞に恨まれ憎まれ殺される」


「もしかして…」

「大賢者も祖国から疎まれ母親に殺されかけたのじゃ。故に愛を知らずに育った」


そんな人間に世界を救えなんて無理な話だ。
深い愛情に包まれたこともなければ、愛情も知らずにただ憎まれる日々を送れば心が疲弊して感情もない。



「ならばどうして…」


「大賢者を愛した男がいたからじゃよ」

「え?」



「初代国王以外に大賢者に献身的に支えた男がいた。損得関係なく面倒を見ていた…まぁすり込みじゃな」



言葉がない。
偉大なる大賢者の理想はガラガラと音を立てながら崩れていく。



「そもそも賢者の体質そういった者が多い。孤独故に差し伸べられて手を取りやすいが、一度信頼が壊れれば二度と修復できないのじゃ」

「うわぁー…」


「懐かせるのは容易く、見限られるのも風の如く早い」



身に覚えがある。
まだディアナも身に覚えがある。


表向きはオルフェに従順に従っていたが心は離れていた。
ギリギリの所で繋がっていたのはルーズベルト伯爵夫妻の存在が大きかったと今なら分かる。


「当然じゃ。精霊とて契約者を見限るなんて普通にあるのじゃ」


あざ笑うように告げる風の精霊王。
人間は精霊との契約は永遠だと勝手に思い込んでいるが見限られることだってある。


「此度の事で人間とは何処まで欲深いか分かった」

「返す言葉もございません」

「故に妾はそなたと契約する」


「そうですか…はい?」


更なる不穏な空気が流れた瞬間だった。




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