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第一章
31.先手必勝
今日の食事はやや塩分が多いと感じた。
特にスープ等は味が濃すぎると思っていたけど、ベッキーが何か仕組んでいるのは安易に想像がついた。
何故なら調理場でコソコソするベッキーをセバスチャンから報告を受けたのだ。
だから私は前もって塩分を調和する薬を飲み、尚且つ薬草の入ったお茶を用意させていた。
まぁそのお茶にも仕組んでいたのだろうけど。
「食事には塩分がありますが、中には塩分の摂取が過敏だと病になり死に至らしめる事もございます。私は漢方医学を学んでおりましたので知識がございますわ」
「ではサブリナの食事にも問題が…」
「ええ、随分と塩分が強めでしたようで。ですが私が見たところ料理人はカロリーにも気を配り、奥様が食べやすいように工夫をしていたと見受けますわ」
サブリナ様の食事改善をするときに担当していた料理人の話を聞く限り、悪いメニューを用意していたとは思えない。
ならばすり替えられたと考えるのが妥当だ。
「確かに料理長ゼフは腕が良く、私が信頼する料理人だ」
「ええ…なので誰かが故意的に食事に塩分や病人に負担がかかる者を入れた可能性がありますわ。例えば…」
「何を言うの!私達を疑う気!無礼だわ」
ベッキーが声を上げるも、誰も使用人を疑うような真似を言っていない。
「何をそんなに興奮しているんだ。ランはお前達を犯人とは言ってない。外部の人間の可能性があると言っているんだろう?」
「ええ、使用人の皆様を疑うなんてとんでもございませんわ」
「くっ…」
一度だって使用人がしたとは言ってないのに過敏に反応するベッキーは真っ青な表情になる。
それは、ユアン様が厳しい表情をなさったからだろう。
何時もなら軽く流していたのかもしれないけど。
「ランに対してもそうだが、君はエリーゼに対して物言いが傲慢だ。今までは許していたが…本来ならば許しがたい事だ」
「旦那様…」
「私は君をこれまで信頼して来たが、けじめはしっかりつけてくれ。君は使用人という立場をしっかり弁えて欲しい。何よりエリーゼは私達の大事な義娘であるのだから」
ユアン様は私に視線を変えて優しく告げた。
「すまないエリーゼ。嫌な思いをさせてしまって…公爵家で慣れ親しんだマナーと異なっても仕方ない。これからはもっと君の事を知るべく努力しようともう」
「そんな…お気になさらないでください」
「いいや、君にとっても居心地の良い家であって欲しい。これからは私の視察に君も同行して欲しい。私の仕事を魔近くで見て、ロミオを支えてくれないかい」
かなり距離が近すぎて少し困ったが、何故かサブリナ様が嬉しそうにしているのは何故?
「そうですわ貴方、今後は補佐を任せていたどうかしら?エリーゼは本当に気が利いきますし」
「奥様!何を…」
「これまでは私の体の所為で貴方にも不便をかけましたが、もう心配ありませんわ。今後は旦那様の傍には私いますし、やはり外聞も良くないわ…侍女が常に傍いてはあらぬ疑いを招きます」
「そんな!」
ベッキーの表情が真っ青になる。
これまでは病気の所為で精神的に弱腰だったサブリナ様は強気に出ていた。
常識的に考えても侍女がしゃしゃり出る事であらぬ疑いが浮上しているのは事実だ。
使用人が愛人となるパターンも少なくないので、正論だ。
「…承知しました」
断る理由もなく、頷いたのだが、ベッキーは悔しそうに私を見ていたが第一ラウンドは私の勝ちだわ!
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