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間章

13.似た者三世代

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「待ちなさいエリーゼ!束縛魔法!」


逃げる私を追いかけるお祖母様は束縛魔法を使うも、私はスキルを使って逃げる。

「緑の魔法、ツルの鞭!」

傍にある植物に魔法をかけツルの鞭を作り、窓から飛び降りる。

「あーああー!」


ターザンの如くロープに捕まって握るも。


「待ちなさい!」

「クソ!何でそんなにフットワークが軽いのよ!」


老人とは思えない身の軽さだった。

「貴女が教えてくれた筋肉強化の運動のおかげですわ」

「クソ!まさか、こんなことになるとは…開花!」

そのまま着地する為に真下にある花を活性化させ、巨大化させる。

「まったく無駄な魔法の使い方を覚えて!」

「地味スキルですけど、私は長年の修行の末習得したんです!お母様から逃亡するべく必死に」

「くだらない事に必死になる暇があるなら淑女教育をもっと必死におやりなさい!」


お祖母様の淑女教育は既に軍人の訓練に近しいのだ。

お母様以上に厳しいし私は最低限のマナーは身に着けているのだから。



「縄縛りの術!」

「妙技・縄抜けの術!」


お祖母様がツルを使って縄のように私を縛るも即座に縄抜けをする。

これも長年の努力の成果だ。


「まぁまぁ、賑やかです事」


「伯母様ぁ!」

聞きなれた優しい声が聞こえ私は油断をした。


「甘い!」

「うわぁ!」


私の隙を見逃さなかったお祖母様は魔法で地引網を作り出し、私を拘束した。


「いやぁぁぁ!伯母様!」

「さぁ、今からマナーレッスンです。ご友人は頼みましたよシェリラ」

「はい、お母様」


伯母様、そこで普通に去らないでください。


「助けてぇぇ!」

「これ、暴れるのではありません!」



結局私がその後お祖母様に扱かれてしまった。




「お疲れ様」

「はい…」


広間に戻るとお茶をしている皆はそれずれ好きに過ごしていた。


「伯母様」

「ごめんなさいね?お母様ったら元気が余り過ぎていて」


私に労いの言葉をかけてくれる伯母様は私の大好物のアップルパイを用意してくれた。


「美味しい、流石伯母様の腕は世界一だわ」

その辺の一流パティシェが作るよりもずっと美味しい。


「まぁ、大袈裟ね」

「お母様はお菓子なんて作れないし。私も作るけど形が崩れちゃうし」

見た目も綺麗で、味も最高なんて伯母様は完璧な女性だわ。


「美人で穏やかでお料理も上手だもの。お母様は気性が荒いし」

「お嬢様、奥様も穏やかになりたいはずです」

「そう?」

ランが再三私に言うけど、だったら穏やかに過ごせばいいのに。


しばらく私はアップルパイの味を噛みしめていた。


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