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第六章
3.自称妖精
美味しそうにパンを頬張るお爺さんを見て可愛いと思う。
なんせ元の職業柄と私はお年寄りが大好きだ。
『素敵なお爺さん、私とデートしましょう』
「デート?」
『一緒に幸せになるパンを食べませんか?パンの国が貴方を待っています。私はパンの国の妖精です』
「何…まさか貴方はあの伝説のパンデランドの妖精様なのか!」
パンデランドって何?
聞いたことがないけど、とりあえず案内しよう。
『さぁ行きましょう。エスコートさせていただきます』
「うむ、頼もうか」
お客様第一号をお連れする事が叶い私は背中お爺さんを背負い一輪車に乗る。
「おお、綱渡りか」
『大丈夫です。落としませんから』
実は言うと、この綱には仕掛けがしている。
一輪車も魔道具なので、魔石を入れたバッテリーを入れれば王都内の距離は走れるのだ。
バランスだって簡単に安定する優れモノだ。
「おお!良い景色だ」
うん、中々ノリの良いお爺さんだわ。
文林様と似通う所がある。
「随分と賑わっているな。楽しい祭りだ」
『祭りはお好きですか』
「ああ大好きだ。しかし最近の祭りはどうも好かない。見た目だけで中身がないのだ」
なるほど、お爺さんはお祭りが大好きなんだ。
「貴族の主催する祭りは祭りではない。気軽に屋台で気取ることなく食べてながら楽しめるのが祭りだ」
『解ります。お祭りの基本は食べ歩きです。気軽な値段で食べ歩きを楽しみ、そして夜は花火』
「流石妖精殿だ。解っているな」
本当は妖精じゃないんだけど、あぁいいか。
「ん?パンの建物?」
『パンの家ですよ』
程なくしてパン工場とカフェに到着した。
「パンの良い香り…」
「食べますか?」
さっき沢山食べたけどまだ食べたりないのかな。
「エリーゼ、遅かったな…って、誰だ?」
『お爺さんです』
「いや、見れば解るが…」
手伝いとして駆り出されているのに、既に手伝いというレベルではなかった。
『ロミオ様、白衣が良くお似合いで』
「ああ、最初は店にでいようと思ったんだが…エカテリーナに客を誘惑するなと怒られたんだ。何故だ」
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