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第一章婚約破棄事件
2.天敵は戦友
しおりを挟む私がアスガルト家に嫁いでからは裏方。
外回りの仕事はさせてもらえなくなりましたので、経理、企画を行っています。
マルグリット商会では現在、人材を育成することに力を注いでいるので、その為に必要なマニュアルも私の担当です。
本来ならば教卓の前に立ち、講習を行いたいのですが。
「絶対ダメだ」
以前に交渉しましたが旦那様は許してくださいません。
結婚後も一人で出歩くのは危険だと言われてしまいました。
貴族とは本当に不便です。
前世を思い出してから余計に思いました。
ですが、アスガルト家では窮屈さはありません。
早くにご両親を亡くされているのでお姑さんはおられないのです。
「レティ!」
「お帰りなさいませ旦那様」
予定よりも随分お早いお帰りのようですね。
「長期決戦をしていたあれがうちに決まった」
「ありがとうございます。ですが、売り込みに行ってらしたのに何故お花が」
「ああ、帰りに花屋を見つけたんだが。君のようにだったので買ってしまった」
そう言いながら、営業に出向いては花やお土産を買ってきているので困っております。
「だが、どんな花も君の前では霞んでしまう」
「あの…」
「本当ならもっと愛でたいんだが」
そして結婚してから旦那様は以前よりも気障な台詞が悪化しました。
セールストークと思って受け流していた私ですが、彼は私を本気で攻めて来ています。
これは本当に困っているのです。
「旦那様、時と場合を考えてください。そしてここは仕事場です」
「そうだ、仕事場じゃなかったら遠慮なく愛の言葉を囁けるんだが」
「既に遠慮はしてないじゃないですか。奥様、嫌ならなはっきり言うべきです」
一番困ったのは、二人が事あるごとに対立している事でした。
旦那様が私が私に愛の言葉を囁けば、必ずリゼットが咎めるのです。
「重すぎる愛は体に毒です。愛情は程よい温かさが必要かと。燃やしすぎると燃え尽きてしまいます」
「ならば定期的に燃料を入れて燃やす続ければいいだろう」
「話になりませんわ。その燃料が無くなったら火は消えます」
「無くなれば作ればいいだけだろ」
リゼットは優秀なメイドです。
悪戯に敵を作るような女性ではないのですが、何故か旦那様とはことある事に張り合っていたのです。
ですが、二人で仕事をする時は円滑に事を進める為には手を組むこともしばしば。
「次の標的とのアポを取りました。まずは若い子で誘惑させましょう」
「お色気担当の受付嬢にボーナスを弾ませよう。後標的のクライアントは他所で浮気をしているのでそこを付け」
「はい地獄に叩き落す前に出口をチラつかせます」
このように、手段を選ぶ事無く二人は契約をもぎ取るようにまでなりました。
そんなこんなでわりと上手くやっていました。
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