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第一章婚約破棄事件
5.目覚め
しおりを挟むまた誰かが呼んでいる気がしました。
耳元で叫ぶような声で私を呼ぶ声は喧しくて鼓膜が破れそうです。
「うっ…」
体の全身が動きません。
「何です、鉛のように重くて…」
「レティ―!」
「旦那様!いい加減にしてください!」
何でしょうか?この光景は。
まるでお通夜に参列する方の如くすすり泣き、重苦しい空気です。
「旦那様!邪魔です!」
「わぁ!」
私にしがみ付くように泣いている旦那様を突き飛ばしたヴィルマと産婆さんにお医者様。
「奥様、お気づきですか」
「はい、これは…」
「産気づかれた後に運ばれたんです。子供は無事だったのですが奥様が意識を手放され、三日間眠り続けていたんです」
「まぁ、三日も…三日ですって!」
「奥様ぁ!」
私は旦那様の胸倉を掴みました。
「旦那様、商談はどうなりました!」
今日は大事な取引の日ではありませんか!
「レティーちゃん、アンタって子は!」
「私の出産で仕事を失敗などあってはならない事です!私が今から」
「お前達!今すぐ奥様をお止めするんだ!ご乱心だ!」
私は冷静です。
大事な商談の失敗は商会を傾かせ、傘下にある商会やお店をも巻き込んでしまうのです。
「奥様!商談は問題ありません!」
「そうですか…あら?」
「ああ!無理をなさるからです!」
眩暈がして来ました。
「ぶぇぇぇん!」
「あら、この子は?」
「奥様のお産みなられたご子息です」
リゼットに差し出されたのはよく眠っている子でした。
「この騒ぎでも眠って起きられないとは、流石ですわ」
「まぁ…」
本当によく眠って起きる気配もありません。
「良く泣き、よく眠る。ここまで元気で子は久しぶりです。最近の赤ん坊は体が弱く生まれても未熟児なのが多いんですよ」
「そうですか、では将来大物になるかもしれませんね」
なんせあの旦那様の子ですから。
どんな子に育つか楽しみでなりません。
「何時まで踏んでいるんだ…」
「旦那様、奥様は大事を取っていただかなくてはなりません。ですので、このままですわ」
「リゼット!」
本当に逞しいですねリゼット。
商会では旦那様が唯一敵わない人になります。
そしてその一年後。
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二人共元気にすくすく育ちました。
長男をレオナルド、長女セレニティーと名付けた。
二人は元気いっぱいに育つも、レオナルドは利発で聡明に育つも少し控えめで、セレニティーは明朗快活で興味のある事には突進します。
「だぁ!」
「わぁぁ!セレニティーの頭から血が…三秒以内に医師を呼べ!」
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「きゃっきゃっ!」
周りを振り回す事に関してはダントツです。
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「ひっく…ふぇ」
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それが後の悪役令嬢となる方だったのでした。
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