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第一章婚約破棄事件
22.努力の結晶
しおりを挟む努力だけではどうにもならない壁があります。
けれど、努力しなくては手に入らない物が多くあります。
「生まれ持った淑女等存在しない」
「ケネシー?」
旦那様が小さく呟きました。
「努力し続けた者がその品格を得られるんです。皇族も貴族も…お嬢様はずっと頑張っておられました。努力の結果です」
「ええ…家庭教師の私が保証いたしますわ。リリアンお嬢様は帝国一、いいえ世界一のレディーです」
あの方以上の淑女がいるというなら見ていただきたいですわ。
「幼少期から最高の教育を受け、苦しみながらも耐え忍ばれました」
「ありがとう伯爵夫人」
ご自分が努力を怠ったのが原因なのに、リリアン様に八つ当たりをするとは何事でしょう。
「ですがリリアン様に怪我がなくてようございました」
「それなんだが…」
「はい?」
表情を険しくする侯爵様に戸惑いを感じます。
先程の口ぶりではリリアン様には怪我はなかったように見受けるのですが。
「もしやお怪我を!」
「いや、娘は怪我がなかったのだが。公の場でさらに問題が起きてだな」
「問題?」
冷や汗を流す侯爵様が言葉を放とうとするも、馬車が止まりました。
「話は後にしよう」
「はい」
「かしこまりました」
とにかくレオナルドの安否を確認してから話を聞くべきですわね。
私達は侯爵様に招かれ、邸に入りました。
「レティー先生!」
「お嬢様」
「申し訳ありません。私の所為でレオが…」
泣きそうな顔のお嬢様に私は言葉をかけられませんでした。
ただ、抱きしめる事しかできなかったのです。
「リリアン、伯爵夫人を部屋に」
「はい、レオは部屋にいますので」
意識を取り戻し、話を聞くと軽い脳震盪を起こしたようですが、脳に損傷はないそうです。
傍にセレニティーがいたおかげで大事に至らなかったとか。
普段は好き放題している娘ですが、こういう時はなんて頼もしいのでしょう。
「レオナルド!」
「母上!」
部屋に入りレオナルドを抱きしめました。
「普段から武術のお稽古をしていたのに…」
「申し訳ありません。受け身を取る事もできました」
「お母様、お兄様は悪くないわ。悪いのは全部あのバカボンよ」
背後からセレニティーの声が聞こえました。
振り返ると、またしても奇天烈な格好をしていました。
「セレン…何という格好を!」
「いいでしょ?このアフロ」
頭にカツラを被ってました。
しまもフワフワのアフロヘア―で虹色です。
「セレニティー、また新しい発明をしたのですね」
「ええ、ついでにお兄様にモニターになってもらうべく薬も作ったのよ?」
片手にはフラスコが握られ、液体は沸騰し真っ黒に染まっています。
これをレオナルドに飲ませるのでしょうか!
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