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第一章婚約破棄事件
閑話2.無責任な行動
しおりを挟む張りつめた空気の中、玉座に座る皇帝はただ静かに睨みつけていた。
「ハワード、此度の騒動は耳にした」
「それは!」
「発言を許した覚えたはない」
「…はい」
直ぐに弁解をしようとするも、皇帝は許さなかった。
傍にいる皇后は終始、ため息をつきながら失望感を隠そうともしなかった。
「学園で騒動を起こし、あげくの果てにアスガルト伯爵家の嫡男を階段から突き飛ばす等」
「あれは勝手に…」
「発言を許可した覚えはないと言ったはずだ。お前は鶏以下の頭なのか?数秒前に言われた言葉すら覚えられないとは幼児以下か?」
「そんな!あんまりで…」
「黙れ!」
自尊心の強いハワードはここまで言われるのが耐えがたかった。
直ぐに反論するも、ばっさり切られてしまい、言い返す事も叶わなかった。
「リリアンに怪我がなくて本当に良かった。レオナルドが庇わなかったら、騎士団は反旗を翻しただろう」
「は?」
「何を呆けている?彼女の父親は第二騎士団の団長であり、我が帝国の騎士団から騎士の鑑とまで呼ばれる男だ。そして奥方はかつて外敵からお前を命がけで守った方だ。いわば我が帝国の英雄だ」
「万一侯爵令嬢のお顔に傷一つでもあれば、お前は早々に騎士団に命を狙われるでしょう。恩をあだで返した礼儀知らずの皇太子だと」
「なっ…反乱ではありませんか」
「普通はそうだろうが、お前はこれまで彼女に一度でも敬意を持った事はあるか?騎士団、近衛騎士は知っているのだ!お前の傍若無人な態度をな!」
これまでリリアンを大切にして来た二人にハワードは反感を持ってた。
何故侯爵令嬢如きが自分よりも大事にされ評価されるのかと。
「お二人は何時もリリアンばかりを…」
「当たり前でしょう。リリアン嬢がこれまで貴方の尻拭いをどれだけさせれたか…政略結婚で愛など一切ない義務感でも限度があるわ」
「なっ!」
愛情が一切ないと言われショックを受ける。
「まさか?愛されていると勘違いをしていたの?王家、皇家の婚姻は愛など不要。そんなもので国を納められますか?感情に左右されたら真っ当な判断はできませんもの」
「ではアイツは…」
バシッ!
「いっ…!」
扇を投げられ、ハワードは痛みで顔を歪める。
「お言葉に気をつけなさい。リリアン嬢よ。彼女の母君は身分が低いとはいえ父君は高貴な身分なのです。リリアン嬢は肩書だけの貴方よりも他国からの覚えもめでたいのです」
「彼女がいたから立太子できたものを…何と馬鹿な真似を。いや馬鹿なのは私か」
深いため息をつきながらも怒鳴る気力すら怒らない皇帝は過去に戻れるなら戻りたいと嘆きながら悔やんだ。
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