34 / 136
第二章
1侯爵令嬢の失態~オレリアside①
しおりを挟む自宅謹慎を言い渡された後に私は邸に戻り憂鬱な気分だった。
何故こんな目に合わなければならないのか解らない。
学園での事は誤解なのに。
クレイン家から手紙もキャサリンからの謝罪がまだない。
絶対に許せない。
私がこんな目に合ったのはキャサリンの不注意の所為だわ。
顔に傷を負ったとしてもたいした傷じゃない。
なのにロイドを責めてあんな真似を。
キャサリンはおかしくなってしまったのだわ。
「オレリアはいるか!」
馬車が止まる音が聞こえ、玄関からお父様の声が聞こえた。
「お父様…」
私を心配して早く仕事を切り上げてくださったのね。
「お父様…」
「お前はなんて真似をしてくれたんだ!」
「えっ?」
私を見るなり顔を真っ赤にさせて睨んだ。
怒鳴り散らし私がいかに愚かな行いをしたか怒り罵倒を浴びせられた。
「クレイン家は今回の事は公にしたくないとの事だ。キャサリン令嬢は顔に大きな傷が残り背中にも傷が残っている」
「そんな大げさな…」
「馬鹿もんが!」
「きゃあ!」
思わず私は何があったか理解できなかった。
頬に痛みが走った。
「幸いにもキャサリン嬢は今回の事でお前を咎める気はない。むしろ母に謝罪文を送っている」
「お祖母様?」
嫌な名前を聞いたわ。
お祖母様は厳格な性格で、私とは相性が悪かった。
「本来なら慰謝料を請求して糾弾されてもおかしくない。にも拘らずキャサリン嬢は自分の所為だと謝罪の手紙を送り、これ以上噂を広めないように努めてくれている…なのにお前は謝罪の手紙を書いていないそうだな」
「何故私が謝らなくてはならないの?謝るのはキャサリンでしょう?」
「本気で言っているのか」
「だって、あの事故の後から私と一緒にいないし。私を差し置いて特別クラスに」
本当は私が生徒会に入るはずだった。
なのにキャサリンが特別クラスのSクラスに入り生徒会の幹部にも推薦されたのよ。
詫びを入れるべきだわ。
「キャサリン嬢は以前から優秀だった。お前に遠慮をしてテストもわざと手を抜いていたのだぞ」
「は?」
「優秀な彼女をお前の友人にと頼み込んだが、召使のようにするとは何事だと宰相閣下もお怒りだ」
何で宰相閣下が出てくるのよ。
それに私はそんな扱いはしていないわ。
ただキャサリンは目立たないから引き立て役になるのは仕方ないわ。
幼少期から友人がいないから私が傍にいて上げていたのに。
「当初私も憤りを感じたが、お前とあの男が不義を働いていると聞いた時言葉を失った」
「何を言っているのですお父様。ロイドは友人です」
「既に友人の域を超えてる!まだ解らないのか」
私を責める言葉しか言わないお父様。
どうして私を責めるの?
誰も私を心配してくれない。
悪いのはキャサリンなのに。
139
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?
綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」
婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。
ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。
表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723)
【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19
【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+
2021/12 異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過
2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過
【完結】やり直そうですって?もちろん……お断りします!
凛 伊緒
恋愛
ラージエルス王国の第二王子、ゼルディア・フォン・ラージエルス。
彼は貴族達が多く集まる舞踏会にて、言い放った。
「エリス・ヘーレイシア。貴様との婚約を破棄する!」
「……え…?」
突然の婚約破棄宣言。
公爵令嬢エリス・ヘーレイシアは驚いたが、少し笑みを浮かべかける──
完【恋愛】婚約破棄をされた瞬間聖女として顕現した令嬢は竜の伴侶となりました。
梅花
恋愛
侯爵令嬢であるフェンリエッタはこの国の第2王子であるフェルディナンドの婚約者であった。
16歳の春、王立学院を卒業後に正式に結婚をして王室に入る事となっていたが、それをぶち壊したのは誰でもないフェルディナンド彼の人だった。
卒業前の舞踏会で、惨事は起こった。
破り捨てられた婚約証書。
破られたことで切れてしまった絆。
それと同時に手の甲に浮かび上がった痣は、聖痕と呼ばれるもの。
痣が浮き出る直前に告白をしてきたのは隣国からの留学生であるベルナルド。
フェンリエッタの行方は…
王道ざまぁ予定です
婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。
國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。
声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。
愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。
古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。
よくある感じのざまぁ物語です。
ふんわり設定。ゆるーくお読みください。
【完結】謀られた令嬢は、真実の愛を知る
白雨 音
恋愛
男爵令嬢のミシェルは、十九歳。
伯爵子息ナゼールとの結婚を二月後に控えていたが、落馬し、怪我を負ってしまう。
「怪我が治っても歩く事は難しい」と聞いた伯爵家からは、婚約破棄を言い渡され、
その上、ナゼールが自分の代わりに、親友のエリーゼと結婚すると知り、打ちのめされる。
失意のミシェルに、逃げ場を与えてくれたのは、母の弟、叔父のグエンだった。
グエンの事は幼い頃から実の兄の様に慕っていたが、彼が伯爵を継いでからは疎遠になっていた。
あの頃の様に、戻れたら…、ミシェルは癒しを求め、グエンの館で世話になる事を決めた___
異世界恋愛:短編☆(全13話)
※魔法要素はありません。 ※叔姪婚の認められた世界です。 《完結しました》
お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
【完結】キズモノになった私と婚約破棄ですか?別に構いませんがあなたが大丈夫ですか?
なか
恋愛
「キズモノのお前とは婚約破棄する」
顔にできた顔の傷も治らぬうちに第二王子のアルベルト様にそう宣告される
大きな傷跡は残るだろう
キズモノのとなった私はもう要らないようだ
そして彼が持ち出した条件は婚約破棄しても身体を寄越せと下卑た笑いで告げるのだ
そんな彼を殴りつけたのはとある人物だった
このキズの謎を知ったとき
アルベルト王子は永遠に後悔する事となる
永遠の後悔と
永遠の愛が生まれた日の物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる