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第二章
2侯爵令嬢の失態~オレリアside②
しおりを挟む「もう良い。しばらく部屋から出るな」
「そんな!」
傷ついている私を慰めてくれると思ったのに。
普段から忙しくて話も聞いてくれなかったけど、ここまで冷たいなんて思わなかった。
「貴方!王家からリシウス殿下との婚約を解消する手紙が…」
「何だと!見せろ」
婚約解消?
どうしてなのよ!
殿下だって私との婚約が解消となったら他の貴族からの反感がある事を解っているの?
解っているならあちらから解消はしないはずだ。
「オレリアとフォーカス家の嫡男が男女の関係である以上は婚約を続けるのは無理と書いてある」
「えっ…」
「学園内で堂々と浮気をし抱き合いキスをする写真も同封されている」
「してません!」
写真では位置からキスしているように見えるけど、目にゴミが入ったから取って貰っただけだし。
手にキスをされているのは薔薇の棘が刺さったから。
別に今までも同じようかとがあったわ。
だってロイドは騎士なのよ。
「私とロイドは幼馴染で彼は騎士ですわ!」
「貴族令嬢と騎士の関係を超えている。何より写真を同封する時点で疑いを持っている」
「貴方…こうなったらキャサリン嬢に!」
お母様が写真を握りしめキャサリンに否定してもらおうと言い出すが。
「今後一切クレイン家と関わる事は許しません」
「お祖母様!」
どうして王都に!
領地に引っ込んでいるはずなのに。
「とんでもないことをしてくれたわね。こんな恥知らずな真似を…ジュレイド家の名前に泥を塗ってくれましたわね?ねぇ?フォーカス伯爵閣下」
「えっ?」
お祖母様の視線の先にはフォーカス伯爵とロイドがいた。
「この度は誠に申し訳ありませんでした!ロイド!お前も頭を下げぬか」
「…申し訳ありません」
フォーカス伯爵はロイドの頭を掴み床にたたきつけ血が流れていた。
「誠意のない謝罪は結構。キャサリン嬢が貴方の息子の分もこれ以上無い程謝罪してくださいました。何処の世界に浮気した婚約者の代わりに謝罪をしますか。しかも病院に入院中にです」
「それは…」
「ご子息は勿論キャサリン嬢に入院中にお見舞いに行かれましたのよね?もう退院して学園に戻ってきていると聞きましたがお体はいかがだったのかしら?」
「それは…」
しどろもどろになっているロイド。
足がガクガク震えて情けなくて見ていられないわ。
「ちゃんと私の顔を見なさい!」
「はい!」
「なんて情けないのかしら?ロイド殿を護衛騎士に選んだのはキャサリン嬢の婚約者故に信用し過ぎましたの。ですが裏切られましたわ」
「前ジュレイド侯爵夫人…」
「今後二度と孫と会う事は許しません!そして不義を働いた慰謝料を一括でクレイン家に支払いなさい。婚約の時に持参金を受け取っているのであれば返金を一週間以内になさい」
お祖母様の怒りは相当で二人は口をつぐむことは出来なかった。
何も言えないなんてなんて情けないのロイド。
こんなの私の知っているロイドではないわ!
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