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第三章
22すべては悪夢~ロイドside①
しおりを挟むずっと間違っていたことはない。
そう信じて疑わなかった。
なのにどこで選択を間違えたのか。
そう、キャサリンと婚約がなくなってからすべてが変わってしまった。
幼少期から恋心を抱いていたオレリアに身分違いの恋に苦しんだが、天は味方をしてくれた。
オレリアも王太子殿下と上手くいっておらず、苦しんでいた。
俺に対して好意的でもしかしたらという淡い期待を抱いていたが、既に婚約者はいる身ではかなわない。
俺とオレリアは身分違いの恋に苦しんでいた。
だが、紆余曲折を経て結ばれることになったのだが、現実は…
「どうして私を守ってくれないの!」
「守っているじゃないか」
「何所がよ!あんな底意地の悪い義母と同じ邸で暮らすなんて。それになんて狭い邸なの」
幼少期は自信を無くしていたが成人してから貴族令嬢としての自信を取り戻したオレリアを誇らしく思っていたが、俺と婚約してからオレリアの我儘は酷くなる一方だった。
最初は愛する人への我儘は可愛いモノだと思っていたが、オレリアの我儘は度が過ぎていた。
母との衝突は日常茶飯事、それだけならまだしも使用人にまでつらく当たり、勝手に乳母や幼少期から仕えていた侍女を責め立て。
「ロイド様、私はお暇をいただきます」
「申し訳ありません」
「二人共…何故だ」
クレイン家の援助が無くなってから我が家は困窮していた。
そんな中で優秀な侍女の二人が辞めたらどうなるか解らないというのに。
「オレリア様の相手はもう耐えられません」
「私のような身分が低い侍女は目障りだそうで…」
普段弱音を吐かない二人がこんなことを言うなんてと思ったが、そこはプロだろう?
「君たちは何年侍女をしているんだ。その程度我慢できないのか」
「申し訳ありませんロイド様」
「私は限界です。キャサリン様ならばこのようなことは…」
この時俺は二人がどんな顔をしているなんて気づかなかった。
「あんな女の事を話すな」
「ロイド様…いいえ、無駄ですね」
「もう手遅れですね」
何か言いたげな表情をしていたが、俺は聞こうともしなかった。
「ロイド様、私はあの方が本当に貴方様を支えてくださるとは思えません」
「キャサリン様のように傍で支えてくださる奥様には…」
「煩い!使用人の分際で弁えろ!」
愛する人を侮辱された怒りが勝り、二人が何を思っていたかなんて知ろうともしなかった。
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