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102暗躍する者~ステラside
しおりを挟む「鬼退治が必要ですよね」
「うむ」
王宮内にある一室にて会議が行われていた。
…と言っても二人きりだけど。
「お師匠様。私はリゼ様を虐め倒した鬼夫人に復讐を決行したいです」
「フッ、当然だ」
現在私は王宮内にある秘密基地、正確には大公様が勝手に地下に作った秘密基地で作戦会議を行っていた。
ティメリア王国にいた頃、何度か目にした鬼夫人はリゼ様を犠牲にして邪魔者を排除しようとしていたらしい。
最悪、あの性悪元婚約者と結婚してもリゼ様もろとも葬れば効率が良く。
シネンシア辺境伯爵家を潰せると思ったのだろうとのことだ。
弱肉強食の世界で優しいだけでは生きていけない。
正しいだけでは生きていけない。
汚い水を飲んだ私も色々学んだけど。
自分の手を汚さずになんて許せないし、裁かれるべきだわ。
「お師匠様!ああいうタイプはプライドをズタズタにする方が効果的です」
「だろうな…」
「貴族をやめさせて終わりなんて生ぬるいです。このまま貴族として生きてじわじわ痛めつけるべきです。長年リゼ様を苦しめていたんですから」
赤の他人に手を差し伸べる義理はない。
ならば自分が同じ立場になってみればわかるはずだわ。
別に何かして欲しいわけじゃない。
私は当初、孤独な自分を救って欲しいとか。
嫌がらせを無くして欲しいとか思ったんじゃない。
ただ手を差し伸べ、話を聞いてほしかった。
それだけだった。
「四面楚歌状態になって、追い詰められればいいんです」
「ステラ…」
「私はリゼ様のように聖女じゃありません」
学園でもずっと我慢していたけど。
辛いに堪え続けて、最後は笑顔で許せるほど人間出来ていない。
手を出さなかったのは自分の為だわ。
学園に送り出してくれた両親の為にも問題を起こしたくなかった。
「お師匠様、私は悪い子になります。とっても悪い子に」
「お前はいい子じゃ…リゼ以上にな」
「お師匠様」
私の頭を優しくなでるお師匠様に泣きたくなったけど、今は泣いている暇はない。
「鬼夫人を徹底的に潰す為の次にステージです」
「領土を返還した次か?」
「ええ、兵の返還はもちろんですが他にも返せない者を返させます」
同盟が無くなれば通常は領土や、派遣していた兵を返してもらう。
「兵はもちろんですが、ヒギンズ家は武人の家系ですよね」
「ああ…何代も続く」
「ではその武力を根こそぎ奪ってしまえば相当な痛手になりますよね?」
騎士の家柄でもあるならその力の象徴を奪えば、どうなるか明らかだった。
じわじわ奪って最後に自分がどれだけ酷いことをしたか思い知ればいいのよ!
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