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107隣国での現状~リオネルside①
しおりを挟む娘が隣国に旅立ってからしばらく、ティメリア王国では様々なことが起きた。
国時代の弱体化と新時代の為の改革が行われる中、辺境貴族夫人の失脚や、学園内の騒動。
とにかく怒涛のような日々を過ごした気がする。
特にヒギンズ夫人の失脚は多くの者を混乱させた。
その所為で以前から女性が地位を得るとろくなことがないと言う典型的な男尊女卑な貴族は批判したが、彼らも裏ではあくどい真似をしていたので一緒になって粛清された。
まぁ、粛清という表現はおかしいかもしれないが。
王妃陛下はかつての戦友にも情けようしゃがなかったようだな。
「やはり怒らせると恐ろしいな」
「それは何方に対してですか」
「勿論王妃陛下だ」
現在国王に変わり国を動かしている王妃陛下。
彼女は国を内からも外からも作り直す気なのだろう。
その為に生贄にされたと言っても過言ではない。
「だが、私は王妃陛下を好ましく思うよ」
「団長…」
私自身も上手く立ち回れなかった。
なのにあの魔の巣窟である社交界、王宮を管理するのは不可能だ。
しかも息子の後始末だけでなく部下の後始末も追っておられる。
「あの方は最後まで逃げないだろう」
動乱の時代、率先して戦う道を選ばれた強気方だ。
かつて戦友であり同士だった間柄なのに時間とは残酷なものだ。
「志が違ってしまったのだろうな…」
ヒギンズ夫人は強くなくてはならない。
弱いことを恐れて不要ならば切り捨てるようになり、王妃陛下は弱い立場の者を守ることこそが強い立場の役目と考え双方は強い信念を持っていた。
悲しいことに交わることはなかった。
「団長、何時までもセンチメンタルにならないでください」
「手厳しいな」
確かにもう過去の事だ。
悪いニュースばかりで気がめいってしまう一方で…
「良いニュースもあるな」
「ご息女は隣国で大活躍中のようですよ。財務大臣の秘書官に就任成されたとかで」
「これは妻の血だな…私では到底無理だ」
こう言ってはなんだが、私も息子も政治家には不向きだ。
騎士ならばそこそこできるが、改革に関しては妻の方が得意だった。
リゼも環境さえしっかりしていれば利用されるようなことにはならなかっただろう。
「様々な改革を行いカリスタ王国に利益をもたらし、賢者の姫君とよばれているそうですね」
新聞には見開きで映っている。
他にもファッションリーダーとしても取り上げられている。
「良かった…」
隣国で幸福になってくれるならそれでいい。
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