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108隣国での現状~リオネルside②
しおりを挟む隣国では女性だから政治にかかわれないことはない。
女性を軽視することは女王陛下の侮辱に値する。
だが、未だに男尊女卑を唱える者はいるだろうが。
ティメリア王国よりも動きやすいだろう。
なんせやり手のあの方が傍にいるのだから。
「団長、また招かざる客がクレームです」
「今日は誰だ?廃嫡になった馬鹿息子か?それとも男爵夫人か?いや、元侯爵夫人か?」
部下の疲れ切った表情に私も頭を抱える。
ここが領地ならば、領民に殺されているだろうが。
「ヒギンズ夫人です」
「とりあえず相手を少ししてお帰りいただくか」
手紙で何度も会って話がしたいと言っていたが今まで散々私に辺境貴族としての自覚がなさすぎる等暴言を吐いていたのに今更なんだと言うのだ。
現在ヒギンズ夫人は跡取り息子が度重なる失態により前代未聞の学園側から強制退学となった。
基本王立学園は学園側から生徒を退学することはない。
寛容と慈悲を持って生徒の感性を伸ばすことを第一と考え、流石に犯罪等を行えば退学になるが。
今回はまぁ妥当だろう。
学園の品位を汚し他の生徒が学園にこれ無くするような行為をした。
本人は悪気はないと言っているが、よくもそんな言葉が言えたものだ。
散々リゼを令嬢としてなっていない。
辺境伯爵家の面汚しだと口汚く罵倒されたことは今も覚えている。
どうせすぐに没落すると思っていたのだろう。
ヒギンズ家とは家格が違うことは解っているからな。
だから距離を置いた。
王家、国民を守ることに異論はない。
だが、王家派、貴族派などの馬鹿げた争いに介入する気はない。
国の兵力を強固にするべくやり過ぎた彼女は敵も多い、今は彼女を攻撃する絶好の好機と言えるだろうね。
「さてと…お茶の用意を」
「団長!そのようなことは私が」
「君はしばらく執務室から離れてくれるかい?」
「いけません!」
年若い女性騎士。
彼女は下級貴族でありながら才能あふれ、私の秘書も兼任してくれている。
リゼと少ししか歳も変わらない。
彼女もヒギンズ夫人の改革の為に犠牲になった身だ。
ヒギンズ夫人は国を強度にすることに力を入れ過ぎて国に住まう民の事を忘れている。
国なんてただの箱だ。
人がいなければ宝を奪われた空っぽの箱だと言うのに。
「気持ちは嬉しいが…君はヒギンズ夫人と良い関係ではないだろう。後から悪い噂を流されて欲しくない」
「団長…」
「嫁入り前だろ?」
私はこれ以上大人の勝手で傷つく人を見たくなかった。
浅はかだった過去の私。
今更悔やんでも仕方ないのだ。
だから私は償いもかねてこの国で骨を埋める気だ。
「さぁ、行きなさい」
だからこれから待っている罵倒を一人で受けるつもりだ。
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