75 / 156
第一章
64承諾
この場で聞くのは無粋かと思ったが国王はこの場で許可を求めた。
「モリアル殿、アスランは将来有望で国一番の剣の使い手だ。身分は平民であるが後に爵位を与える予定だ」
「陛下!」
「何より人柄は保障しよう。融通は利かないが忠誠心は強く…その潔癖症であるゆえにな」
唯一の欠点と言えばそこだった。
とにかく生真面目で融通が利かない男であるがそれ以外はこれ以上無いほど有能だった。
「どうであろうか…そなたの娘を妻に」
本来ならば許可を取るような事を言う必要はない。
なのにあえてこんな方法を取ったのはせめてもの誠意だ。
命令ではなくどうかと聞いている。
「陛下、今更ではございませぬか」
「お父様…」
「娘はずっと心を殺して婚約を受け入れ、我慢を強いて来ました。私が非力だった故に…亡くなった妻にも詫びても足りぬと思っておりました…ですが天は私を助けてくださった」
モリアルは目を閉じた。
ようやく安心できると思ったのだ。
「娘を不幸にしてしまう所でした」
「では…」
「アスラン殿、どうか娘を貰ってやっていただけますか」
「ありがとうございます!」
深々と頭を下げるアスランは心のどこかで不安があった。
自分は平民で既に親はいない身で貴族であったグレーテルを嫁にくれるかはわからない。
だがその心配は杞憂だった。
「私はもう平民で言ってみればただの商人でアスラン殿よりも格下になりますぞ」
「いいえ…そのような」
アスランにとってモリアルは舅となり、そして尊敬できる人だった。
貴族籍から除籍した元貴族は過去の栄光を忘れることができず傲慢な態度を取る人間がいるのだが、モリアルは腰が低かった。
爵位は高くないこともあるが苦労してきたことが解る。
「モリアル殿はこれからどうされるのだ」
「一度国に戻ります」
「え?お父様…そんな!」
このタイミングで国に戻るなど自殺行為だった。
「幸い各地で商売をしたいましたので貿易をしていましたので…食料を国に援助する伝手があります」
モリアルはグレーテルが見つかり、この国で生きていくならば安心だと思った。
「待ってくださいモリアル様。今国に帰ればどうなるか!」
「そうでしょうな…あまり良い状況ではないでしょう」
「解っておるのか!現在クロレンス領地はほぼ無傷な状態で他の領地に貴族達は領地を奪おうとするだろう!」
王妃も真っ青な表情になる。
このタイミングで戻るなど思わなかったのだから。
あなたにおすすめの小説
願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
*らがまふぃん活動三周年周年記念として、R7.11/4に一話お届けいたします。楽しく活動させていただき、ありがとうございます。
何もしなかっただけです
希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。
それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。
――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。
AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。
白い結婚のまま、旦那様は薔薇のような美人に夢中になりました
柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢リディアは、美貌で有名な侯爵レオンハルトに嫁いだ。
けれど結婚して二年、夫婦は一度も結ばれないまま――白い結婚だった。
それでも旦那様は優しかった。
冷たいわけではない。気づかいの言葉も、穏やかな笑顔もくれる。
だからリディアは、愛されてはいなくても、いつか少しは夫婦になれるのではないかと信じていた。
そんなある日、彼女は知ってしまう。
旦那様が薔薇の君と呼ばれる絶世の美女に心を奪われていることを。
彼が触れなかったのは私にだけだったのだと。
都合のいい奥方として、役に立っていたと悟る
静かに離縁を決意したリディアは、実家へ戻ったあと、女子学院で働き始める。
すると侯爵夫人時代には当たり前だった実務のすべてが、外では驚くほど必要とされていた。
感謝され、認められ、自分の足で立ち始めた彼女は、少しずつ見違えるほど美しくなっていく
文句を言わない婚約者は、俺の愛する幼馴染みを許していなかった【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
幼馴染を優先しても、婚約者アウローラは何も言わない。だから、これからも幼馴染みとイチャイチャできる──
侯爵令息トリスタンは、そんな甘い幻想を信じていた。
だが婿入りした瞬間、彼の“軽んじた態度”はすべて清算される。
アウローラは冷徹に、トリスタンの傲慢と欲望を1つずつ暴き、労働と屈辱を与える。
そして最後に残ったのは、誰にも必要とされない現実だけ。
「どうして……俺は、こんなにも愚かだったんだ」
これは愛を勘違いし、身分を過信し、自分の価値を見誤った男の終焉を描くダークドラマ。
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています。過激ざまぁタグあります。
4/1「エステルに対する殺意」の内容を一部変更しました。
【完結】ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望
「離縁状の印が乾く前に、王太子殿下から花束が届きました」〜五年間「置物」と呼ばれた侯爵夫人、夫が青ざめるのは王家との縁が切れてからでした〜
まさき
恋愛
侯爵夫人として過ごした五年間、夫に名前を呼ばれたことが一度もなかった。
愛人を夜会に連れてきた翌朝、私は離縁状を置いて屋敷を出た。
夫は「すぐ戻る」と思っていたらしい。
でも届いたのは、王太子殿下からの白薔薇だった。
「五年、待ちすぎました。今度こそ私の隣に」
幼馴染の殿下は、いつも私を「アメリア」と呼んでくれた。
ただそれだけで、五年分の何かが、ほどけていった。
夫が全てを失うのはこれからの話。
私が本当の笑顔を取り戻すのも、これからの話。
夫は私を愛していないそうなので、遠慮なく離婚します。今さら引き止められても遅いです
藤原遊
恋愛
王妃付き護衛騎士である夫に、「お前を愛したことはない」と告げられた。
理由は単純。
愛などなくても、仕事に支障はないからだという。
──そうですか。
それなら、こちらも遠慮する必要はありませんね。
王妃の機嫌、侍女たちとの関係、贈り物の選定。
夫が「当然のように」こなしていたそれらは、すべて私が整えていたもの。
離婚後、少しずつ歯車は狂い始める。
気づいたときにはもう遅い。
積み上げてきた信用は、静かに崩れていく。
一方で私は、王妃のもとへ。
今さら引き止められても、遅いのです。
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。