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第一章
65器
例えどんな中傷を言われようともモリアルは国が危機的状況ならばあらゆる手を使って救うつもりだった。
「私は最後の務めを果たす前に国を出ました」
「出たのではなく追放されたようなものではないか」
「ええ、そうでしょうが…故に最後の務めを果たさなくてはなりません」
モリアルにとって国を民を守ることは亡き父との約束だった。
例え貴族で亡くなったとしても民をこれ以上苦しめたくないのだ。
「私の最後の責任です。領主を任せた腹心の部下に最後にしてやれることを。そしてこんな私を息子のように愛情を持ってくださった先王の為にも」
過ごした時間はわずかだったが、早くに父を亡くしたモリアルに先王は惜しみない愛情を注いでくれた。
「私にできる最後の務めです」
「お父様…だったら私も!」
「それはならん」
グレーテルも中途半端な状態で国を出た。
同じくケジメをつけたいと言うがモリアルが止めに入る。
「今、フェスト男爵は最悪な状況だ」
「解っています」
「そんな中くに行けば生贄だ。例え婚約していようとあの男は己の欲の為にお前を手籠めにするだろう」
ないとは言い切れない。
フリーシアとのことを思い出せばグレーテルを脅してでも婚約を再び結ばさせるだろう。
「ないとは言い切れぬな…婚約者を夜遅くに置き去りにしたのだからな。下手をすれば人さらいに合っていたかもしれぬというのにな」
「どんな教育を受けたのか…ありえないであろう」
王妃と国王も頭が痛かった。
グレーテルがもし加護持ちとすれば非常識な真似をしてでも取り戻そうとするだろう。
「どうしたものか…」
「まずは私はフェリス侯爵夫人に説明をして、手助けをしていただけないかと…娘を探しているでしょうし」
単独で国へ戻るのは危険だが、グレーテルの身を最優先に考えたかった。
「国同士の諍いになるのも避けたいのだが…」
「一番良い方法はカステア王国の国王陛下にアスラン殿との婚約ことをお話ししたいのですが…」
「緊迫している状況下だ。何か見返りを求めて来る可能性があると」
「ないとは言えません」
藁をも縋る思いだったのだが、ここではいそうですかという気はない。
「その点は問題ない。あちらは既に我が国を侮辱しているのでな?のぉ?アスラン」
「はい、使えるならば…」
「良く申した。では交渉に関しては私に任せてくれぬか」
遠回しに圧力をかけると言っているようなものだが、こちらも手段を選ぶつもりはなかった。
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