乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

文字の大きさ
60 / 216

53従魔契約

しおりを挟む





「大変です旦那様!」


普段、冷静沈着なレナが珍しく声を荒げた。
対する私は、ワンちゃんが大人しいことをいいことに膝に乗せてブラッシングを始めたりしてモフモフを堪能していた。


「レナ様、どうなさったんですか?トイレですか」

「ジル。淑女としてアウトよ」

最年少のジルはレナが声を荒げたことにキョトンとしながら淑女としてはアウトな質問をしたことをメープルに注意をする。


「どう見ても違うでしょ?それに自分よりも地位の高い方にそんな質問はダメよ」

「すいません」


ジルの発言はまぁ、問題かもしれないけど。
今は何があったか聞くのが先なのだけどみるみる顔色が悪くなっている。


「レナ。本当に具合が悪いんじゃ…」

「申し訳ありません。そうではなく…いいえ、ある意味具合が悪いと申しますか」


要領を得ない言い回しだわ。
普段のレナらしくないと思ったのだが…


「なんてことだ」

「レオ?」

今度はレオまでも同じ表情をしている。


「魔眼で見たんだが…君、従魔契約をしているぞ」


頭を抱えながら告げられた言葉に首をかしげた。

「んん?」


従魔契約とはその名の通り、人間が魔物と主従関係を契約する。


「嫌ですね。私はこの国に来て一度も魔物に遭遇していないのに」

どうやって従魔と契約するんだ。
通常は魔物と戦い弱らせて服従するのが従魔契約だ。


これまで領地で共に過ごした魔物はいたが、従魔契約をしたことがない。


…というか従魔契約をした経験はないしできない。


「君の膝にいるのがだ」

「え?ワンちゃん?」


「ワン!」


私の膝の上で大人しくしているワンちゃんが魔物?


「それ…フェンリルです」

「は?」


フェンリルって北欧神話に出て来る巨大な狼だっけ?
伝説の魔獣と言われ、国によって神の使いとも言われている存在だった。


「あはは…レオったら冗談でしょ?」

「私が胃を抑えながら冗談を言うと思うか?」

言わないことは知っている。

でもでも、ありえないでしょ?


「君、ワンちゃんよね?フェンリルじゃないよね?」

「ワン!」

「どっちのお返事なの?」

お願いだから違うと言って!


「ご主人!私はフェンリルです」


「「「は?」」」」



私達は固まった。
他の誰かが言ったのではない。


間違いなくワンちゃんだ。



「えーっと。君しゃべれるの?」

「普通のフェンリルは無理でございます。純血種ならば可能です!」


「純潔のフェンリル…フェンリルの長か!」


フェンリルの長って何?
彼らにそんなものがあるの?


だって子犬でしょ?


「人間界には知られておりません我らのような種族は生まれながらにして長となることは珍しくありません」


「そーですか」

「私はフェンリルの中でも純潔です。同時に女神より祝福を頂き生を受けてる聖獣なのです」

魔獣でありながら聖獣なんて聞いたことがない。
魔獣に関しては人間側の資料しかないのだけど、嘘を言う必要はない。


「ご主人。私はこの時を待ちわびていたのですよ」

「へ?」

「貴女がこの世界に再び転生して貴女が貴女になる日を…」


私が私になる日って何?
まるで私を知っているかのような言い方だった。


「まだ私が名もなき子犬だった頃。人間の理不尽で捨てられた価値のない犬だった私」



いやいや待てよ。
耳を下に向けて首をかしげながら鳴くしぐさ。


思いっきり見覚えが…
しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

砕けた愛

篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。 あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

王子様への置き手紙

あおた卵
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯

【完結】出来の悪い王太子殿下の婚約者ですって? 私達は承諾しておりません!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
真実の愛は策略で生まれる ~王太子殿下の婚約者なんて絶対に嫌ですわ~  勉強は出来ず、実技も酷い。顔だけしか取り柄のない一番最初に生まれた王子というだけで、王太子の地位に就いた方。王国を支える3つの公爵家の令嬢達は、他国にも名の知れた淑女であり、王太子レオポルドの婚約者候補に名を連ねた。 「絶対にお断りだわ」 「全員一緒に断りましょうよ」  ちょうど流行している物語の主人公のように演出し、道化を演じて退場していただきましょう。王家も貴族のひとつ、慣習や礼儀作法は守っていただかないと困ります。公爵令嬢3人の策略が花開く!   ハッピーエンド確定、6話完結 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、ノベルアップ+ ※2022/05/25、小説家になろう 恋愛日間20位 ※2022/05/25、カクヨム 恋愛週間27位 ※2022/05/24、小説家になろう 恋愛日間19位 ※2022/05/24、カクヨム 恋愛週間29位 ※2022/05/23、小説家になろう 恋愛日間27位  ※2022/05/21、完結(全6話) ※2022/05/21、カクヨム 恋愛週間41位 ※2022/05/20、アルファポリス HOT21位 ※2022/05/19、エブリスタ 恋愛トレンド28位

私を追い出した後に後悔しても知りません

天宮有
恋愛
伯爵家の次女マイラは、結婚してすぐ夫ラドスに仕事を押しつけられてしまう。 ラドスは他国へ旅行に行って、その間マイラが働き成果を出していた。 1ヶ月後に戻ってきた夫は、マイラの姉ファゾラと結婚すると言い出す。 ラドスはファゾラと旅行するために、マイラを働かせていたようだ。 全て想定していたマイラは離婚を受け入れて、家族から勘当を言い渡されてしまう。 その後「妹より優秀」と話していたファゾラが、マイラより劣っていると判明する。 ラドスはマイラを連れ戻そうとするも、どこにいるのかわからなくなっていた。

妹と再婚約?殿下ありがとうございます!

八つ刻
恋愛
第一王子と侯爵令嬢は婚約を白紙撤回することにした。 第一王子が侯爵令嬢の妹と真実の愛を見つけてしまったからだ。 「彼女のことは私に任せろ」 殿下!言質は取りましたからね!妹を宜しくお願いします! 令嬢は妹を王子に丸投げし、自分は家族と平穏な幸せを手に入れる。

某国王家の結婚事情

小夏 礼
恋愛
ある国の王家三代の結婚にまつわるお話。 侯爵令嬢のエヴァリーナは幼い頃に王太子の婚約者に決まった。 王太子との仲は悪くなく、何も問題ないと思っていた。 しかし、ある日王太子から信じられない言葉を聞くことになる……。

「君はカビ臭い」と婚約破棄されましたが、辺境伯様いわく、私の知識が辺境を救うのだそうです

水上
恋愛
【全11話完結】 「カビ臭い女だ」と婚約破棄されたレティシア。 だが王都は知らなかった。 彼女こそが国の産業を裏で支える重要人物だったことを! そして、追放先の地で待っていたのは、周囲から恐れられる強面の辺境伯。 しかし彼は、レティシアの知識を称え、美味しい料理と共に不器用に溺愛してくれて……? ペニシリンから絶品ワインまで。 菌の力で辺境を大改革! 一方、レティシアがいなくなったことで、王都では様々な問題が起き始め……。

処理中です...