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閑話7国の最害
しおりを挟む過去に最大の災害が起きた。
それを最害と呼んでいたのだが、その最害とは――。
不定期に起きる竜の暴動だった。
黒竜が翼竜の群れを引き連れ、人間の国を滅ぼそうとするのだ。
数百年前にも同じ現象が見られたが、国には強い結界が敷かれ。
尚且つ、他の長命種が抑止力となっていたので大事には至らなかったが、被害がないわけではない。
竜の力は未知数で、知性がない竜などは手がつけられない。
竜使いであっても黒竜を抑え込む程の力も魔力もないのだから。
過去に竜の大群の所為で滅んだ国は多い。
セレンティア王国はテイマーの数が少なく、竜騎士がいない。
故に、竜と対話も困難だった。
力で抑え込んで従魔にするにしてもかなりの犠牲を要する。
「この状況で黒竜が目を覚ませば最悪だな」
「国が亡びるだけでは終わりません」
「竜を鎮めることができなければ…」
「この世界は崩壊です」
それ程に竜の脅威は恐ろしいものだった。
「聖女様ならば…」
「あの女に邪竜を抑え込む力があるか?むしろ状況が悪化するだろう」
聖女様というのは言うまでもなくシャルロットの事だろう。
王宮内で他国の勅使に無礼を働き問題は既に外交問題に発展している。
「光魔法も発動できていないんだろう」
「本人曰く女神の神託がどうのこうのと」
「もう少しマシな嘘をつけないのか…馬鹿め」
吐き捨てるように言い放つリシウスはシャルロットの事を忌々しく思っている。
同時に一人の令嬢に振り回された者を軽蔑していた。
聖女取り巻き様一行。
彼らを皮肉くってつけられた名だった。
「そもそも何を持って聖女と言っている。聖職者の最高権力者は教皇だ。我が国の守護女神の加護を得ているのはエリザベート嬢ただ一人だ」
「はい」
「彼女を害そうとしたした時点で重罪だ。もし彼女が聖女なら悪女の間違いだ」
聖書にも聖女は平和の象徴として伝えられる。
真の平和を望む乙女が他人の婚約者を誘惑して、罪のない令嬢を傷つけても罪悪感の欠片も抱かないなんてありえない。
「人の心を持っているならば罪悪感を感じないはずがない…まぁ人の心を無くした悪魔もいるがな」
その最たる例がゲルツォーネ侯爵とその娘のヴィネラーナだった。
あの二人のような血も涙もない人間もいることは確かなのだから。
「竜の最害が直撃するとしたらあの領地だろう。竜にとっては理想的な領地だからな」
王都の中でも一番文明の発達が進んでおり、建物が多い。
その代わり飛行系の魔物の対策がまるでできていないのだから。
基本、どの国も建物を建てる際は規定がある。
あまり大きすぎる塔を建てるのは禁じられている。
その理由は過去に高すぎる塔を建てたことで竜がその塔を狙ったからだ。
色や形によっては竜を刺激することが多いのだから。
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