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しおりを挟む法律の改正は以前から考えていた旦那様だったけど、先帝陛下でも法律の改正はすぐにはできなかった。
男尊女卑が当然という考えがまだ根強いこともあり、女性を対等に扱わない男性があまりにも多すぎた。
故に今回の裁判は、女性を軽視している為政者に貴族等からすれば不快だっただろ。
「今回の裁判は二重の意味がある。表向きはあの女を裁く名目だが…あの男は再逮捕となる」
「それは私への虐待ですか」
「そうだ」
表立って被告人として裁かれたサンディさんであったけど、彼は別件で再逮捕となった。
赤ん坊の姪に対する虐待と、元妻に対する長年の虐待に搾取され続けたこと。
私の両親にも迷惑行為をしたこともだ。
「ジャンはすべてを明らかにした…そのおかげで10名の貴族夫人が離縁を申し立てた」
「え!」
「以前から嫁ぎ先で酷い仕打ちを受けていた。だが身分とは厄介だ…しかも嫁ぎ先は隠すだろうからね」
私以上に意外になっている女性は多いともことだ。
「嫁は嫁ぎ先にしたがうもの、夫の忠実な奴隷だという腐った考えを変えるにはきっかけが必要だった」
「だからあんなにも必死で…」
今回の裁判ではライアスさんから依頼はほぼ受け取らなかった。
その代わり今回の裁判ではジャンのシナリオに乗って欲しいという条件を突きつけた。
裁判の際にほぼ反論もなく耐えていたのはそういう意味もあった。
ジャンは今回の裁判でサンディさんを裁く名目でロンドを裁くことにした。
ただしロンドを裁判で裁くには私が公に立つ必要があるので、あくまでミレイの親権を得るためと、これまでサンディさんが行った行為を世に知らしめることにした。
だが、サンディさんを裁くと同時にシンパシー家がどれだけのことをしたか。
同調してロンドが私にした行為を公にさせることで別件で逮捕することができたのだ。
「今では世の妻の敵になってしまったが、自業自得だ」
「あまりいい気持ではありませんが」
「君は根が優しいからね」
「そんなこと…」
本当に優しい人は切り捨てたりしないわ。
私は彼への愛情の欠片もない。
可哀想だとも思わないのだから。
「本当に甘すぎますわね」
「え?」
「マリー、また勝手に入って来た…なんだその恰好は!」
何時ものように音もなく現れるお嬢様。
なのだけど、看守の恰好をしている。
右手には鞭を片手に胸元に血がついている。
今度は一体何をしたの!
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