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53ある男の末路~ハルバードside
狭い道をみすぼらしい馬車が通る。
この道を通った後に馬車を乗り換える事になっている。
その一瞬の隙を狙えば。
「そうだ。すべてをあの女の所為だ」
俺がこんな惨めな思いをして、こんな汚い服を着ているのも。
人前に出ることもできなくなり、何もかも奪われたのはすべてあの悪女の所為だ!
全て悪いのはあの女なんだ。
「そうだ。あの悪魔さえ消えればすべて元通りだ」
馬車が止まり俺は人込みの中に紛れ込んだ。
「通せ、ここから先はダメだ」
「人が多すぎるな」
「見世物状態だな」
無能な騎士達に、悪魔を見たいと言う馬鹿な群衆共。
だが感謝するがいい。
これから悪魔を滅する瞬間を見せてやるのだから。
そして俺は悪魔を滅した勇者だ!
「さぁ出ろ」
「待ってください先輩…」
俺は一瞬の隙をついて短剣を取り出した。
「邪魔だどけ!」
「え?」
「きゃああ!」
真っすぐにナターシャの元に走り短剣を向ける。
「何だお前は!」
「くっ!」
衛兵とは言え、懐にある薬草を顔にぶつける。
「馬鹿め!」
「うわぁ!目が…」
「何だ!」
傷薬に使う薬草であるが、目に入れると毒だった。
ここに来る前に薬屋で盗んでおいて正解だったな。
「死ね!ナターシャ」
「えっ…きゃあああ!」
俺は真っすぐにあの女の胸を短刀で刺し殺そうとした。
「あっ…がぁ…どうして」
「どうしてだと?」
「ハルバート…」
俺からすべてを奪い魔力で俺を誘惑してなんていう性悪だ。
「貴様さえ死ねばすべて元通りだ!」
「アンタ…」
「お前さえ!」
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かつての栄光を取り戻せるんだ。
俺は光の下で生きるに相応しいんだ。
日陰でいきる人間じゃない。
「何をしている貴様!」
「こいつです!」
俺が英雄になるのを見に来たのか。
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「なっ…」
俺が殺人未遂容疑だと?
「ナターシャは出血はしているが、生きているな」
「幸いだったな」
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「気にするな。狂っているんだ」
何故だ。
どうして俺をそんな目で見るんだ!
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待っていたのは罪人というレッテルと、死ぬよりも惨い生き地獄が待っているのだった。
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