獄中令嬢モモ・クルツバルグの華麗なる復讐レシピ

ひるね

文字の大きさ
7 / 13

『復讐レシピ』の効果は抜群

しおりを挟む
 『リオナ・ヘッセへの嫌がらせ』なんて言い出すから、一体モモはわたしに何をやらせる気だろう、と戦々恐々としたものだ。
 しかしモモの言う『嫌がらせ』とは、わたしが想像したほどには大したことではなかった。
 社交界の集まりで、リオナを無視する、というだけのことだ。

『彼女が近寄ってきたら席を外す。話しかけてきたら誰かに助けを求める。アイラさんがするのは、それだけです』

 わたしはモモのこの言葉通りに、わたしに話しかけてこようとするリオナを無視し始めた。
 彼女がカートと浮気をしていることは周知の事実であったし、彼女がわたしに話しかけてくるときはいつもしらばっくれた顔でカートの話題を出してくるものだから、わたしの行動を訝しむ者も、諫める者もいなかった。
 むしろそれが当然である、というようにわたしの行動を受け入れ――
 それだけでなく、わたしに追従する人もいた。
 一人だけではない。多くの人がわたしと一緒になって、リオナを無視し始めたのだ。

 モモに指示されたわけでもないのに、そんなことをする人が、わたし以外にもいるなんて思わなかった。
 だからわたしはリオナが来た途端席を立った令嬢たちを相手に「なぜそんなことを?」と聞いたのだ。
 すると、リオナを無視し始めた令嬢たちは、善意百パーセントの暖かい感情を込めた瞳をわたしに向けて、こう言った。

「だってずっとアイラ様が耐えてきたことを知っていますもの」
「わたくしたちは、あなたの味方です。それをお伝えするには、行動で示すのが一番だと思ったのですわ」

 衝撃を受けた。
 モモの言っていた通りになった、と思った。

 人は、虐めようと思って人を虐めるわけではない。それが正しい行いだと信じているからこそ人を虐めるのだ、と以前彼女は言っていた。
 その通りになったのだ。

 わたしがやったのは、カートとリオナを攻撃する理由を、その『正しさ』を用意することだけだ。
 それだけで、貴族令嬢や夫人たちは、積極的にリオナを社交界から排除しようと動き始めた。
 モモの、思惑通りに。

 そして、こうなるとさすがのリオナも、社交界全体から無視されていること、その原因がわたしが広めた噂にあることに気づいたみたいだった。
 こんなことになるとは想像もしていなかったのだろう。この期に及んで状況を理解していないカート以外、誰も自分の相手をしてくれないパーティで、激しい怒りを込めた視線をわたしに投げかける彼女を見て、わたしは確信した。

 『復讐レシピ』の完成が、近いということを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

婚約破棄された公爵令嬢は、漆黒の王太子に溺愛されて永遠の光を掴む

鷹 綾
恋愛
### 内容紹介 **タイトル**: 「婚約破棄された公爵令嬢は、漆黒の王太子に溺愛されて永遠の光を掴む」 **ジャンル**: 異世界ファンタジー恋愛 / 婚約破棄ザマア / シンデレラストーリー / 溺愛甘々 **あらすじ(ネタバレなし)** 公爵令嬢ヴィオレッタは、幼馴染の王太子アルディオンに長年婚約を誓われていた。美しい容姿と優しい性格で宮廷でも愛されていたが、ある舞踏会の夜、アルディオンは突然平民出身の偽聖女セリナに心変わりし、ヴィオレッタを公衆の面前で婚約破棄する。「君はただの飾り物だ」との屈辱的な言葉とともに、家族からも見放され、追放の危機に陥る。 絶望の底で、ヴィオレッタの中に眠っていた古代の「影の魔法」が覚醒。影を操り、幻影を生み、予知する強大な力だ。一人旅立った彼女は、冒険者として生きながら、復讐の炎を胸に秘める。 そんなヴィオレッタの前に現れたのは、銀髪銀瞳の謎の美男子セイル。彼は隣国アストリアの「漆黒の王太子」で、政争から身を隠していた。最初はヴィオレッタの影の力を利用しようとするが、彼女の強さと純粋さに惹かれ、互いに心を開いていく。 二人は共闘し、アルディオンとセリナの陰謀を暴き、王国を救う。ヴィオレッタは屈辱を乗り越え、セイルに溺愛されながら、王妃として輝く未来を掴む。影と光が調和する、真実の愛と逆転の物語。

豪華客船での結婚式一時間前、婚約者が金目当てだと知った令嬢は

常野夏子
恋愛
豪華客船≪オーシャン・グレイス≫での結婚式を控えたセレーナ。 彼女が気分転換に船内を散歩していると、ガラス張りの回廊に二つの影が揺れているのが見えた。 そこには、婚約者ベリッシマと赤いドレスの女がキスする姿。 そして、ベリッシマの目的が自分の資産であることを知る。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

あなたがそのつもりなら

素亭子
恋愛
リリアーナはランス侯爵からの求婚をうけて結婚したが、わずか一年で夫は愛人を持った。リリアーナの仕返しの話です

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

天真爛漫な婚約者様は笑顔で私の顔に唾を吐く

りこりー
恋愛
天真爛漫で笑顔が似合う可愛らしい私の婚約者様。 私はすぐに夢中になり、容姿を蔑まれようが、罵倒されようが、金をむしり取られようが笑顔で対応した。 それなのに裏切りやがって絶対許さない! 「シェリーは容姿がアレだから」 は?よく見てごらん、令息達の視線の先を 「シェリーは鈍臭いんだから」 は?最年少騎士団員ですが? 「どうせ、僕なんて見下してたくせに」 ふざけないでよ…世界で一番愛してたわ…

処理中です...