僕を君で満たす方法

ぐざい

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コーヒー

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君は美味しそうにコーヒーを飲むね。今日も君はコーヒーカップにその綺麗な指をかけ、カップのふちの曲線を美しい唇に当てる。君は唇をすぼめてコーヒーに息を吹きかける。そっとすする。コーヒーは君の中に落ちていく。舌の上をコーヒーが流れるのを君は意識する?くすぐったくないかな、コーヒーが舌の上を流れる時。熱いコーヒーを飲むときは気を付けてね。口を火傷したら、いけないからね。

僕は豆の煎り方も覚えた。ゆっくり丁寧に煎った豆を挽く。君はそのさまを楽しそうに見ているね。僕はゆっくり豆を挽くんだ。ごりごりと音がする。コーヒーの香りがたつ。君は良い香りだねと笑うんだ。君はそうやっていつも僕の手元を眺めてうっとりするんだ。僕は君のその表情が好きだよ。香りの向こうで君が笑っている。僕はとても幸せだなと思うんだ。

熱でゆっくりと煎られた豆をミルで挽く。ごりごりと細かくなるまで。それに熱湯を注ぎ、蒸らして抽出する。それを君は美味しいと言って笑うんだ。
僕は思うんだよ。もし、それが豆じゃなかったらどうだろう。
君はどう思う?そんなことを考える僕はおかしいかい?僕はそんなことを考えながら、君のためだけにコーヒーを淹れるんだよ。

君はわかるかい?僕が考えていること。
君は理解するかい?僕が想像すること。
僕は君のためじゃなくて、僕のためにコーヒーを淹れて、君がそれを飲むのを見ているんだ。わかるかい?僕がそうする気持ち。

君は、どんな香りがするんだろう。まずは焙煎するところから。ゆっくり煎る。回しながら。ゆっくり。君を挽くためのミルは素敵なものを選ぶよ。挽き目は細挽きを試してみたいけど、中細挽きにしておくよ。君を蒸らして抽出したものは、君なんだろうか。コーヒー豆から抽出したものがコーヒーなんだから、君から抽出したものは、間違いなく君だよね。僕は想像するんだ。絶対にできないこと。絶対にしてはいけないこと。君はどんな味がするんだろう。

君は今日も僕の淹れたコーヒーを飲んで美味しいと言って笑っているね。あなたの淹れてくれたコーヒーが一番好きだと言ってくれた。今日も僕は、君がドリッパーからゆっくり滴り落ちるのを想像しながら、君にコーヒーを淹れたよ。だとしたら、君が飲んでいるのは、本当にコーヒーなのかな。君が飲んでいるのはなに?僕にはそれがコーヒーに見えない。なにに見えるか、ということもわからないのだけど。
なんだかわからないものを、君は美味しいと言って笑うんだ。僕はとても幸せだよ。とても。
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