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The Encounter of Blue and Scarlet
蒼緋の出会い
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なあ、お前はいつも理屈でものを考えがちだけどさ、世の中案外フィーリングってやつの世話になった方がいいこともあると俺は思うぜ。
蒼緋の焔~The Encounter of Blue and Scarlet
暗殺されたはずの三又聖…彼を連れて若市を歩けばおそらく市民の顔に浮かぶのは恐怖、驚愕、あるいは…狂喜。神や教祖と謳われた彼もただの人間であり、その時代はとても呆気なく終わった。たが聖電鉄はあの後新社長が就任し、彼の会社は今や大手と化したのだ。とにかくこの街は死人と散歩をするのには向いていない。次の目的地はそうだな…
「Hello!君はこの街の人かい?ちょっと道を教えてくれないかな?」
「なんだ?街中の案内なら他をあたってくれ…、注目を浴びたくないならな。」
「いや、任務を完了させて帰るところなんだけど…。出口を教えてくれないかい?」
「白城くん、これはチャンスだよ!」
「Chance?」
「ああ…、あんたどこから来たの?」
「俺?ちょっと遠くの華那千代ってところから来たんだ。ちょっとしたおつかいでね。」
「華那千代…聞いたことないところだな。聖はどうだ?」
「俺も知らないねぇ。まあ、この街出口は一つだし外に出られれば大丈夫でしょ。」
「連れていってくれるの!?」
「その代わり華那千代まで案内してねー。」
「Oh,華那千代に興味があるのかい?OK!案内するよ!」
こうして俺達は聖のことを知らない街に行くことに成功したわけだが、若市で出会った少年、名を宮間タイキと言うが、やたら喋る。故郷に帰るのが余程待ち遠しいのか彼の友人、中峰祐典と長畑友樹の話ばかり聞かされた。また顔も知らない人間の情報に詳しくなっていく。そして驚くことにその2人や宮間を含め華那千代に住む人間は大体が魔法を使えるらしい。華那千代はいわゆる魔法都市や魔法国家というものなのだろう。
「そういえばなんで宮間は若市に来たんだ?」
「この街には鉄で出来た自動で動く乗り物があると聞いてね。偵察、みたいなものかな。」
「偵察?」
「俺のschoolは国と密接に関わっててね、色んな司令、偵察とか買出しとかが課題として課されるんだ。ものによってはbonus scoreが付くからみんな進んでやるけどね。」
「鉄道技術を盗もうって言うなら俺の許可が必要だと思うけどねー?」
「君の?Why?」
「こいつは生前聖電鉄の若き社長として活躍していた人物だ。ここの鉄道は全てこいつの会社のものだからな。」
「Oh,you are a president! And…a g, GHOST!?」
どうやら宮間は聖のことを普通の人間だと思っていたようだ。“ 生前”という単語を聞いた瞬間腰を抜かして驚いた。なんともオーバーなリアクションだ。
「まあ足はあるけどねぇ。」
「なんで俺はghostが見えているんだ…?疲れているのかな…?いや、もしかして俺も死んだ!?」
「なら俺はどうなるんだ。俺だってこいつが見えているだろう。」
「カズも一緒に死んだ…とか?」
人を勝手に殺すな。
聖のことについて事細かに説明をしていたらいつの間にか城壁が見えてきた。あれが華那千代だろうか。
「おー、大きな壁!ヨーロッパみたい!」
「ヨーロッパ?」
「ヒジリはEuropeを知ってるのかい!?」
聖は幼少期旅行好きの父親と各地を旅していたらしい。おそらく“ ヨーロッパ”とはどこかの地名なのだろう。
「カズは知らないよね。Europeは俺が住んでいたところ、俗に言う表地球の地域名なんだ。俺はアメリカというところに住んでいたけど民族的にはEurope由来だよ。」
表地球、俺たちが住む地球とは別の世界と言われているがそちらからの来訪者は結構いるらしい。各地に存在する入口からこちら、裏地球へ移動することはできるらしいが一方通行のようで俺たちは表地球を知らないし、表地球に帰った者の噂も聞かない。俺のかつての知り合いでは台湾という地域から来たジャーナリストがいた。そいつ曰く俺たち若市や理研特区の住人は表地球の日本という国に住む民族に近いようだ。
「聖は何故表地球の地名を知っているんだ…。」
「書物だよ。元はと言えば鉄道だって表地球の技術を輸入した感じだもの。あっちは魔法が無い代わりに科学技術が発展しているんだ。」
「理研特区とどっちが凄いのだろうか…。」
「俺は理研特区については知らないからどうとも言えないかなー。」
色々話しているうちに華那千代の城壁内に入っていた。関所のようなものが存在したが宮間の顔パスで異邦人の俺たちも容易に入国できた。この世のものではない聖にはヒヤヒヤしたけれども。
蒼緋の焔~The Encounter of Blue and Scarlet
暗殺されたはずの三又聖…彼を連れて若市を歩けばおそらく市民の顔に浮かぶのは恐怖、驚愕、あるいは…狂喜。神や教祖と謳われた彼もただの人間であり、その時代はとても呆気なく終わった。たが聖電鉄はあの後新社長が就任し、彼の会社は今や大手と化したのだ。とにかくこの街は死人と散歩をするのには向いていない。次の目的地はそうだな…
「Hello!君はこの街の人かい?ちょっと道を教えてくれないかな?」
「なんだ?街中の案内なら他をあたってくれ…、注目を浴びたくないならな。」
「いや、任務を完了させて帰るところなんだけど…。出口を教えてくれないかい?」
「白城くん、これはチャンスだよ!」
「Chance?」
「ああ…、あんたどこから来たの?」
「俺?ちょっと遠くの華那千代ってところから来たんだ。ちょっとしたおつかいでね。」
「華那千代…聞いたことないところだな。聖はどうだ?」
「俺も知らないねぇ。まあ、この街出口は一つだし外に出られれば大丈夫でしょ。」
「連れていってくれるの!?」
「その代わり華那千代まで案内してねー。」
「Oh,華那千代に興味があるのかい?OK!案内するよ!」
こうして俺達は聖のことを知らない街に行くことに成功したわけだが、若市で出会った少年、名を宮間タイキと言うが、やたら喋る。故郷に帰るのが余程待ち遠しいのか彼の友人、中峰祐典と長畑友樹の話ばかり聞かされた。また顔も知らない人間の情報に詳しくなっていく。そして驚くことにその2人や宮間を含め華那千代に住む人間は大体が魔法を使えるらしい。華那千代はいわゆる魔法都市や魔法国家というものなのだろう。
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「この街には鉄で出来た自動で動く乗り物があると聞いてね。偵察、みたいなものかな。」
「偵察?」
「俺のschoolは国と密接に関わっててね、色んな司令、偵察とか買出しとかが課題として課されるんだ。ものによってはbonus scoreが付くからみんな進んでやるけどね。」
「鉄道技術を盗もうって言うなら俺の許可が必要だと思うけどねー?」
「君の?Why?」
「こいつは生前聖電鉄の若き社長として活躍していた人物だ。ここの鉄道は全てこいつの会社のものだからな。」
「Oh,you are a president! And…a g, GHOST!?」
どうやら宮間は聖のことを普通の人間だと思っていたようだ。“ 生前”という単語を聞いた瞬間腰を抜かして驚いた。なんともオーバーなリアクションだ。
「まあ足はあるけどねぇ。」
「なんで俺はghostが見えているんだ…?疲れているのかな…?いや、もしかして俺も死んだ!?」
「なら俺はどうなるんだ。俺だってこいつが見えているだろう。」
「カズも一緒に死んだ…とか?」
人を勝手に殺すな。
聖のことについて事細かに説明をしていたらいつの間にか城壁が見えてきた。あれが華那千代だろうか。
「おー、大きな壁!ヨーロッパみたい!」
「ヨーロッパ?」
「ヒジリはEuropeを知ってるのかい!?」
聖は幼少期旅行好きの父親と各地を旅していたらしい。おそらく“ ヨーロッパ”とはどこかの地名なのだろう。
「カズは知らないよね。Europeは俺が住んでいたところ、俗に言う表地球の地域名なんだ。俺はアメリカというところに住んでいたけど民族的にはEurope由来だよ。」
表地球、俺たちが住む地球とは別の世界と言われているがそちらからの来訪者は結構いるらしい。各地に存在する入口からこちら、裏地球へ移動することはできるらしいが一方通行のようで俺たちは表地球を知らないし、表地球に帰った者の噂も聞かない。俺のかつての知り合いでは台湾という地域から来たジャーナリストがいた。そいつ曰く俺たち若市や理研特区の住人は表地球の日本という国に住む民族に近いようだ。
「聖は何故表地球の地名を知っているんだ…。」
「書物だよ。元はと言えば鉄道だって表地球の技術を輸入した感じだもの。あっちは魔法が無い代わりに科学技術が発展しているんだ。」
「理研特区とどっちが凄いのだろうか…。」
「俺は理研特区については知らないからどうとも言えないかなー。」
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