4 / 7
もしかして自転車は初めてですか?
しおりを挟む
水泳連盟主催の大会が近づいていた。
大会まで残り二日と迫っている。参加資格があるのは市内在学の水泳部のみ。合計で八校。
二日前から準備が始まり、内容は会場設営と現地練習が主となる。
つまり、今日から二日間は会場練習になるということだ。
俺は出発前、顧問から職員室に呼び出されていた。
内容は、「今後水泳部を続けるなら、部長になることを考えてほしい」というもので、あっという間に話は終わった。
去り際に副部長は部長が決めることになるから、とサラっと言われたが、今考えてもよくわからないから、とりあえず軽い返事をして退室した。
五分程度しか経っていないな。けど、遅れるわけにはいかない。
このまま急ぎ足で自転車置き場に向かった。
会場に着くには十分ぐらいか。
さっきの話、先輩達からの推薦らしいから、そこら辺は大丈夫だな。
他は、まあ適当にはぐらかすか、お叱りを甘んじて受けるしかないな。
いっそげええー。
自転車置き場から自転車を出し、会場へ向かおうとした時、美雪が立ち尽くしているのを見つけた。
「あれ。美雪どうしたの?」
「あっ、直輝、私どうしたら……」
「ん? 何かあった?」
「私としたことが、今日が会場練習だと忘れていて、爺やに送迎をお願いするのを忘れてしまいまして……今から連絡しても、到着に数十分は要してしまい、歩いて行こうにも経路がわからなく、頭を抱えていましたの……」
「じゃあ、後ろ、乗ってく?」
「えっ……いいんですの?」
美雪は両足を左側に揃え、お淑やかな座り方で荷台に腰掛けた。
俺も自転車に跨り、ペダルを踏み込んだ。
だが、ほんの少し進んだだけで、美雪が「きゃぁっ」と言い出し、一度停止。
「怖い? 大丈夫?」
「ええ、少し驚いてしまいましたわ」
「じゃあ、俺の服を掴んでみたらいけるかな?」
「やってみますわ」
そして、再び漕ぎ出した。
美雪は言葉には出さなかったが、口を閉じて悲鳴擬きを上げている。
スピードが出てくると、より一層引っ張られているのがわかった。
「こんな感じで行くからー!」
美雪からの返答はなかったが、気にせず進むことにした。
道中、転ばないように必死で段差に気づかず、スピードを落とさず通過。当然ながらゴンッという衝撃に美雪は「ひぃ」と声を上げ驚いていた。
その悲鳴の後、美雪は俺の体に抱き着き始めた。
それには俺も驚き、つい足を止めてしまった。
「ごめん、大丈夫?」
「はい大丈夫です。ですので、このまま行きましょう」
「え、でもこの状況は――」
「さあ行きますわよ」
時間にも余裕はなく、美雪からの圧に反論できず再び足を動かした。
それからの道中は、違和感しかなかった。
怖いからだろうが、抱きしめる腕はがっちりと、押し付けられる顔は終始動いていた感じがした。
会場に着いた俺達は自転車置き場で帰りについて話していた。
「できれば帰りも学校までお願い致しますわ」
「え、でも今から連絡す――」
「お願いしますわ」
「あ、はい……」
来る時は良かったけど、帰りって他人の目があるよな……。
こんなの誰かに見られたら、やばい奴ら認定されるよな。
帰る時間をずらすしかないのか、でも学校で美雪の送迎車が……。
はぁ、どうしたらいいのやら……。
大会まで残り二日と迫っている。参加資格があるのは市内在学の水泳部のみ。合計で八校。
二日前から準備が始まり、内容は会場設営と現地練習が主となる。
つまり、今日から二日間は会場練習になるということだ。
俺は出発前、顧問から職員室に呼び出されていた。
内容は、「今後水泳部を続けるなら、部長になることを考えてほしい」というもので、あっという間に話は終わった。
去り際に副部長は部長が決めることになるから、とサラっと言われたが、今考えてもよくわからないから、とりあえず軽い返事をして退室した。
五分程度しか経っていないな。けど、遅れるわけにはいかない。
このまま急ぎ足で自転車置き場に向かった。
会場に着くには十分ぐらいか。
さっきの話、先輩達からの推薦らしいから、そこら辺は大丈夫だな。
他は、まあ適当にはぐらかすか、お叱りを甘んじて受けるしかないな。
いっそげええー。
自転車置き場から自転車を出し、会場へ向かおうとした時、美雪が立ち尽くしているのを見つけた。
「あれ。美雪どうしたの?」
「あっ、直輝、私どうしたら……」
「ん? 何かあった?」
「私としたことが、今日が会場練習だと忘れていて、爺やに送迎をお願いするのを忘れてしまいまして……今から連絡しても、到着に数十分は要してしまい、歩いて行こうにも経路がわからなく、頭を抱えていましたの……」
「じゃあ、後ろ、乗ってく?」
「えっ……いいんですの?」
美雪は両足を左側に揃え、お淑やかな座り方で荷台に腰掛けた。
俺も自転車に跨り、ペダルを踏み込んだ。
だが、ほんの少し進んだだけで、美雪が「きゃぁっ」と言い出し、一度停止。
「怖い? 大丈夫?」
「ええ、少し驚いてしまいましたわ」
「じゃあ、俺の服を掴んでみたらいけるかな?」
「やってみますわ」
そして、再び漕ぎ出した。
美雪は言葉には出さなかったが、口を閉じて悲鳴擬きを上げている。
スピードが出てくると、より一層引っ張られているのがわかった。
「こんな感じで行くからー!」
美雪からの返答はなかったが、気にせず進むことにした。
道中、転ばないように必死で段差に気づかず、スピードを落とさず通過。当然ながらゴンッという衝撃に美雪は「ひぃ」と声を上げ驚いていた。
その悲鳴の後、美雪は俺の体に抱き着き始めた。
それには俺も驚き、つい足を止めてしまった。
「ごめん、大丈夫?」
「はい大丈夫です。ですので、このまま行きましょう」
「え、でもこの状況は――」
「さあ行きますわよ」
時間にも余裕はなく、美雪からの圧に反論できず再び足を動かした。
それからの道中は、違和感しかなかった。
怖いからだろうが、抱きしめる腕はがっちりと、押し付けられる顔は終始動いていた感じがした。
会場に着いた俺達は自転車置き場で帰りについて話していた。
「できれば帰りも学校までお願い致しますわ」
「え、でも今から連絡す――」
「お願いしますわ」
「あ、はい……」
来る時は良かったけど、帰りって他人の目があるよな……。
こんなの誰かに見られたら、やばい奴ら認定されるよな。
帰る時間をずらすしかないのか、でも学校で美雪の送迎車が……。
はぁ、どうしたらいいのやら……。
0
あなたにおすすめの小説
美少年幽霊の狂愛〜私は彼に全てを奪われる
べーこ
恋愛
小さな町の高校に通う信濃ほのかは平凡な女子高生だ。
彼女のクラスには一度見たら忘れられない壮絶な美貌を持つ男子生徒がいた。
彼の名前は赤城陽光。黒い滑らかな髪の毛に整った顔立ちの白皙の美貌の少年で芸能界でもお目にかかれないレベルの美形だ。
とある偶然をきっかけにほのかと赤城は意気投合し仲良くなる。
しかしある日ほのかは訳あって彼を遠ざけてしまう。そして赤城がほのかに淡い恋心を抱いてるのをほのかは知らなかった。
不慮の事故で亡くなった赤城は淡い恋心が独占欲と執着心に塗れてしまい悪霊となってほのかの元へと現れた
絶世の美少年幽霊ヤンデレと臆病なヒロインの物語です。
つよつよヤンデレに何もかも奪われて人生を引っ掻き回される連作短編です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい
みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。
それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。
願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。
スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。
ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。
※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる