【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯

文字の大きさ
16 / 66
第三章

第16話『新しい名前で、新しいメンバーと再出発』

しおりを挟む
「あ」

 和昌かずあき芹那せりなの一件を、真綾まあや天乃そらのへ連絡を入れ忘れたまま当日を迎えてしまった。

 そして今――芹那と合流を果たした後、とりあえずなんとかなるだろうと2人とも合流した瞬間……やはりよろしくなかったなと後悔している。
 なんせ、物凄い剣幕でこちらへ視線を突き刺しているのだから。

「その人、誰?」

 と、邂逅一発目に口を開いたのは、真綾まあや

「連絡を入れ忘れてすまない。こいつは芹那せりな。中学からの知り合いで、昨日電話していて探索者だったことがわかったんだ。それで、どうせなら一緒にパーティを組もうって話になったんだ」
「なるほど」
「ふぅーん」

 腕を組んだまま尚も変わらぬ目線を送り続ける天乃そらの

「"こいつ・・・"、ねえ。随分と仲がよろしいことで」
「いやいやいや。実は中学1年で知り合って、なんだかんだで疎遠になってたんだ。それで、久しぶりに連絡したらって感じだから」
「そう。ならわかった」
「じゃあそれぞれ自己紹介ってことで」

 芹那は和昌の隣まで半歩前に出る。

「私は安久津あくつ|芹那、よろしくね。みんなとは同い年って聞いているから、最初から敬語はなしで大丈夫だよね」
「ええ、問題ないわ。私の名前は白鹿しらじか真綾まあや、よろしく。探索者歴はそこまで長いってわけじゃないかな」
海音うみね天乃そらの。真綾とは中学からの知り合いって感じで、後は大体一緒」
「よし、自己紹介が終わったわけだし。パーティ申請は活動後ってことで」

 数分間の話し合いを経て、4人は歩き出した。

 施設内を歩く最中、女性同士でいろいろと話をしていたが、和昌はどことなく話に入ることができなかった。
 ダンジョン入り口前、それぞれが武器を受け取る。さあいざダンジョンに入った途端、つい後回しにしていた話題が真綾かや切り出された。

「そういえば、和昌って配信とかって興味はあったりするの?」
「んー、どうなんだろう。やってみたいって気持ちはあるけど、どうやって始めたらいいのかサッパリなもんで」

 当然、嘘である。
 そして、平然とそんなことを言い出すものだから、「ここに嘘つき野郎が居るぞ」という目線を芹那は送り続ける。和昌はそれに気づいてはいるが、尚も変わらず態度で振舞い続けた。

「言い忘れてたんだけど、私達って一応は配信者として活動してるの。だから、これからはダンジョン内での様子を配信したいなって思っていて」
「さすがに無許可で配信を続けるのは違うよね、って2人で話し合ったってわけ。それでそれで、じゃあだったら和昌も配信者になっちゃえば一石二鳥なんじゃないかなって」
「なるほどな。じゃあそうなると、芹那もってことになるけど。俺はいいとして、どうなんだ?」
「質問を質問で返す感じで悪いんだけど、ペアチャンネルってことにしちゃえばいいんじゃない? たぶん、そっちもそんな感じでしょ?」
「うん、そうだよ。私がチャンネル主で、ペアとして天乃がいる」
(ふむ。グループ系のチャンネルみたいにしているってことか。言われてみればそっちの方が楽だな)

 和昌は「ほおほお」と、まるで初見ですと言わんばかりに表情をも寄せて話を聴く。

「じゃあ俺は真綾がチャンネル主の配信にそのまま出るってだけでいいんだな?」
「いや、そっちはそっちでこっちはこっちでもいいんじゃないかな」
「なんで?」
「どうして」

 芹那の提案に、真綾と天乃は間髪入れずに疑問を投げかける。

「理由としてはせっかく人数が居るんだから、複数の視点があったら面白いと思わない? コラボみたいな感じになっちゃうけど、同じパーティっていうんだったら不思議ではない」
「……たしかに。かといって視点を増やすために4人全員で配信をしたとしても、視聴者は画面を追いきれないってわけね」
「そういうこと」

 今更ながらに、和昌は「いつの間に敬称略かつ下の名前で呼び合うようになったんだ」と内心思う。

「なんだか丸め込まれているような気がしなくもないけど、それは一理ある。和昌の装備は絶対に配信映えするから、脇役じゃもったいないってのはその通り」
「配信映えっていうのがいまいちわからないが、そうなのか?」
「そうだね。映えるっていうのは、まあ調べてもらって。簡単に言ったらド派手な演出的なのが、配信や動画では注目を集めやすいって感じ。自分で使っていてそんな憶えはない?」
「あるな」
「でしょ」

 天乃との、ほぼ完璧なやりとりに「俺ってもしかして役者の才能があるんじゃないか」とか思っている。当然、芹那は「後で罰が当たるぞ」と目線を送り続けていた。

「じゃあチャンネル名とかアカウント名とかを設定してみるか」

 和昌と芹那は2人から少し距離を空け、背中を向けるかたちで作業を進行させる。

 アカウント登録をするといっても、ダンジョン内ではスマホを持ち歩くことはできない。
 ではどうやってインターネットに接続するかっていうと、ダンジョンへ入る前に装備と一緒に渡されるネックレスで可能。操作は至ってシンプル。ほぼ全てが音声入力が可能で、文字入力を必要とする動作に関しては空中にキーボードが出現する。

「さて、どうしたものか」
「今回は1人分だし、パパっとやっちゃおうよ」
「いやさ、名前系はいろいろと考えなきゃだろ」
「あー、そういえばそうだった」
「まあ手こずっている風にしながら、でもふざけた感じが出ない名前にしたいな」

「実は登録者数3万人のゲーム実況者です」なんてことは口が裂けても言えない。いや、そこまでは言っても問題ないが、『大炎上をしてアカウントがバンされた挙句に業界から追放された』人間ということがバレるのは非常にマズい。
 だからこそ、大根役者を演じている。

「【紅の剣盾クリムゾン・ソード&シールド】とか」
「控えめに言ってカッコいいが、長いだろ」
「じゃあ普通な感じかつ、らしさを取り入れる感じで【紅の探索者】とか?」
「お、それいいな。もしも装備を売る時はチャンネル名を変更しなくちゃだが」
「その時はその時」

 初心者とは、とツッコミが入れられそうなぐらいのタイピング速度で入力を終える。

「もろもろの登録も完了させてっと。後は活動名だな」
「私はSNS用の……って思ったけど、いろんな可能性を考えたら新規に考えた方がよさそうね」
「そうしてもらえると助かる」

 2人は頭をこねくり回して思考を巡らせるも、やはり名前を決めるというのは即決できるものではない。
 閃き、とは言わずとも、逆に理論で芹那からの提案が出る。

「逆に考えて、本名をカタカナで呼び合えばいいんじゃない。ゲーム内とかって、そんな感じでやってる人もいるでしょ」
「ほほー、リスクを避けるとかってのを取っ払う感じか」
「そうそう。本名っぽい名前でも、感じなわけじゃないし名字がついているわけでもない。だから、変な前より呼びやすくて親しみやすい」
「芹那、お前天才か」
「ふふんっ、もっと褒めなさい」

 鼻を高くする芹那を放置し、和昌は2人の元へ戻る。

「こっちのチャンネル名は【あけの探索者】で、活動名は【カズアキ】にした」
「ほほぉ~、全然ありありだねっ。私達も活動名は本名のままなんだよ。だからこれからも気兼ねなく【マアヤ】って呼んでね」
「私も同じだから【ソラノ】って呼んで」
「わかった。てか今さらだけど、うちの女性陣は名前の響きが綺麗だよな」
「わわわぁ~っ! そんなこと初めて言われたぁっ。超嬉しいっ!」
「そう直球で言われると、恥ずかしいわね。でも、悪い気は全然しない」
「んー、そういうのって、私にも直接言ってほしいなって思うんだけどねー」

 と、背後に立っている芹那は釘を刺す。

「いろいろと慣れなきゃだし、スローペースでいろいろとやっていきますかっ」

 ノリノリなマアヤを先頭に、4人はダンジョンの奥へと足を進めていった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...