【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯

文字の大きさ
63 / 66
第四章

第23話『挑戦しなければ始まらない』

しおりを挟む
「お、これは思ってもみなかった好条件なんじゃないか」

 再び階層を移動した一行は、見渡す限りは誰も居ないことを確認。
 しかし、それと同じく撤退前はあれほどいたモンスターの数も見当たらなくなってしまっていた。

「だがどうしたものか」

 和昌かずあきは、顔をしかめる。

「でもでも、討伐数だけを確認されるんだったらこのままでもいいんじゃない?」
「だね。数を倒せる人達に諸々任せて、私たちは自分たちのペースを崩さないようにすればいい」
「私も同意見」
「それもそうだな」

 一行は剣を抜刀し、少しだけ足を進める。

「さっきまでの光景が嘘だったみたいだね~」
「だな」

 ダンジョンの中は基本的に殺風景なのだが、モンスターの姿が見えなくなってより拍車がかかっていた。
 そして、他の探索者の声はなく、モンスターの声もない。
 何かしらの反響音が少しでもあれば変わるのだが、それすらもなく。

「お、ちょうどよさそうなの発見」

 芹那せりなが指を差している方向には、5体のスライムの姿。緑色が2体、黄色が3体。
 それぞれがタイミングを合わせることなく、ぽよんぽよんと跳ねたり動かずにいる。

「私たちが知っているスライムだけど、アレより大きいし、色によって若干の状態異常があったりするんだったよね」
「状態異常のことは詳しく知らないが、耐久力と攻撃力は増している」
「油断せずに戦いましょう」
「まずは俺が先導する」

 和昌かずあきは、【朱護の盾ヴァーミリオン・プロテクトシールド】を左手だけ小さめに展開して前進。

(一人では戦わず、モンスターの注意を引きつけ……全員で連携して倒す)

 心の中でそう言い聞かせ、連携力強化が目的ということを肝に銘じる。

 全体を注視しながら足を進めること10歩程度でスライム達の目の前に辿りついた。

「【叶化の剣エテレイン・ソード】なら、たぶん1撃で討伐できるだろうが……どうやったて注意を引けばいいんだ……? わからんから、1撃だけ!」

 その場でぽよんぽよんと跳ねているだけのスライム達――の、正面に居るスライムへ【叶化の剣エテレイン・ソード】を突き刺した。
 すると、

「あ」

 剣が体内にぶにゅっと刺さったと思ったら、ドロドロに溶け始めてしまった。

「やらかした――が、これでよさそうだ」

 故意ではないが、開幕早々に1体のスライムを討伐してしまった。
 しかし、残りの4体が敵意をむき出しにしているかのように近づいてきたから、和昌かずあきは後方へ駆け戻る。

「ごめん、上手くいかなかった!」
「よーし、やっるよー」
「うん」
「よしきた」

 まず初めに跳び出したのは真綾まあや
 大体同じ速度でスライム達は接近してきているものの、向かって一番右のスライムだけ少し早い。
 それに目をつけ、正面衝突をしないよう手前で足を止めて薙ぐ。

「次!」

 真綾の右側を通過し、天乃そらのが少し間を空けて上段から剣を振り下ろし――討伐。

「よし」

 だが、その間にもスライムの進行は止まっていない。
 視野が狭くなっていた2人は気づいていないが、3体が同時に飛び掛かって来ていた。

「ここは俺が!」

 2人と3体のスライムの間に和昌かずあきが割り込んで、【朱護の盾ヴァーミリオン・プロテクトシールド】を大きく展開。
 スライム達は、盾沿いにズルズルと地面へと落ちた。

「チャーンス」

 その隙を芹那せりなが見逃さず、1体のスライムの頭上から剣で串刺しにし――討伐。
 残り2体。

「少し下がって態勢を整えよう!」

 このまま討伐することは可能だが、和昌はあえてその指示を出した。

「スライムは残り2体。だが、周りも警戒しつつ確実に仕留めよう」

 足並みと呼吸を整えながら、スライム達との距離を把握しつつ辺りにも視線を動かす。

「ごめん、ちょっと視野が狭かったかも」
「だねー。さっきのは、さすがに反省しないと」
「大丈夫、これも練習の一環だ。体は熱く、頭は冷静にだ。とは言ってるが、俺自身も冷静じゃなくなってるなって思ったから、こうしてるわけだけど」
「あいや~、私もさっきは正直油断してた。このままなら余裕って思っちゃってたから」
「――よし、呼吸も整ったし周りにモンスターの気配もない。このまま視野を広くしつつ、行こう」
「じゃあさ、さっき真綾まあや天乃そらのがやってたやつ、やってみようよ。今度は私と天乃、和昌と真綾って感じで」
「おっけーっ」
「わかった」
「いいな、それ」
「それじゃあお先っ」

 今度は芹那せりなが先に前へ、それを追うように天乃も前へ出る。

「よっと」
「はっ!」

 事前の打ち合わせもあり、流れるような連携で1体を討伐。

「じゃあ、俺が前に行く――」
「はーいっ!」
「おらっ!」
「よいしょっと」

 和昌は先ほどの反省を活かし、盾でスライムへタックル。
 少しだけ後方へ押し出すかたちになり、真綾がスライムの頭上から剣を串刺しにして、討伐。

「おぉ! 上手くいったねー!」
「ああ、みんないい感じだった。ちゃんと連携しているって感じで」
「だね」
「うんうん。私、良い案出したでしょ」
「よし、まだまだ始まったばかりだ。このまま、いろんなことを試して経験を積んでいこう」

 一行は成功体験を噛み締め、辺りへの警戒を怠らずに次の標的を索敵し始める。

(この調子だったら、本当にいい感じだ。このまま油断せず、みんなでどんどん強くなっていきたいな)
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

処理中です...