ゲーマーパーティ転移―ゲーム中に異世界へ飛ばされましたが、レベルアップやステータスがあるので俺達は余裕で生き残ります―

椿紅颯

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第四章

第22話『こんな雑用をしないとダメなのか』

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「それで、今日は何をさせようって話なんですか」

 昨日のお達し通り、俺達は再びギルドへ足を運びリラーミカさんに挨拶を済ませた後、「場所を移動しましょう」とのことで、ここに行き着く。
 どこに行くのかと思うも敷地内を移動しただけで、蔵のような場所の前だった。

 俺達は、ギルドに対しての信頼をなくし、疑いの目でしか見れなくなっていた。
 しかしリラーミカさんは悪びれる様子は何一つなく、いつも通りに澄ました顔をしながら用紙に目を通しながら話を進める。

「今日は、みんなに沢山働い――頑張って役目を果たしてもらいます」

 今、この人間違いなく働いてもらうって言おうとしたよね?
 もうギルドのパシリとして扱っているのを隠すつもりなくなってきてるよね?

 俺達は昨晩話し合い、一つの結論へ辿り着いた。

 各々がある程度の予想はしていたらしいが、情報を出し合った結果なのだが、ギルドはどの冒険者に対してもあのような試験で一度不合格にし、それでも冒険者になりたいのであればギルドのパシリとして働けと。
 その後、目の前に人参を垂らされたようになる新人を最低の級へ配属し、再び下請けのような仕事をさせているのではないか、という風に。

 みんなと話し合った結果はここまで。

 ここからは個人的な見解。

 冒険者というのは名前の通り冒険して行く者、それは素材収集だったりモンスターと戦ったり人と戦ったり。
 そんな人達が長生きできるはずはない。
 少なからず危険が隣り合わせの職業でありながらも、自由奔放に行動できることから魅力的であり、新米かつ若人ともなれば若気の至りで無茶をしがちになる。
 ともなれば自然と危険度が跳ね上がり、本人達は命を落とすその時まで自覚を持てないだろう。

 これは憶測ではなく経験測だ。
 つい楽しくなって、深夜テンションで、好意を寄せている人と一緒に冒険できるから、なんてそんなくだらない理由で注意散漫してしまってパーティが壊滅するなんて珍しいことじゃなかった。
 ゲームでは死んだとしても復活地点に戻されるだけだったが、こちらではどうなるかわからないし、そもそも現地で生活している人はそのまま命を落としてしまうだろう。
 だから、ギルドはあえて反感を買いそうな立ち回りをして新人を鍛えているのではないか、と勝手に予想立てた。

「それで、いつまでに終わらせればいいんですか」
「そうね……ここもなかなかな感じに仕上がっているから、お昼ぐらいまでに終わればいいんじゃないかな」
「……わかりました」
「それじゃあ私はいつも通りの仕事に戻るから、頑張ってね」

 そう言い終えるとリラーミカさんはスタスタとこの場を去って行った。

 俺は「わかりました」と言ったが、当然納得なんてしていない。
 だってやばいだろ。
 この蔵は俺が掃除した図書室より大きい。
 今回は五人だから進行速度は一人の時より早いだろうが。
 しかしリラーミカさんは言った、お昼まで、と――五人居るのに。

「ため息しか出ない状況だが、やるしかない」
「気が滅入るっていうのはこういうことだね」
「ケイヤが珍しく弱音を吐いている。でも、隣に同じ」
「うおぉぉぉぉっ! やってやるぞおぉぉぉぉっ!」
「ミサヤはいつも通りね。あたしもため息しかないわ」

 各々が思うことはあるだろうが、とりあえず始めるか。

「うっっっっっっっっっっわ」

 俺は思わず顔をしかめた。
 扉を開けた瞬間、蔵内から埃がぶわっと外へ飛び出したからだ。
 当然、扉を開けた俺に容赦なく埃の風が飛び込んできたわけだが……人生で初めて扉をもう少し慎重に開ければ良かったな、と思っている。

 今回は図書室と違って高い窓から光が射し込んでいるため、作業はしやすそうではある。
 だーがしかし、もはや何が置いてあるかわからないほどの埃が物の上に乗っているのは、図書室よりヤバい。
 広さは……なんでだ、外観で見た印象より少し広く感じる。
 たぶん壁とかの素材が薄かったんだろうが、絶望感が勝手に上乗せされてしまった。

「用具はある。とりあえず手前から作業をやっていくしかないな」

 ミサヤ以外からはかなり気怠そうな声が返ってくる。

 今回は箒・袋・塵取りに加え、マスクとして使うであろう薄手の布がある。
 簡単に言ってしまえばただのタオルなんだが、あるだけで全然違うはずだ。
 こういう配慮をしてもらえるんだったら、増員とか日数分割とかしてくれりゃあ良いのに……。

「さて、始めるか」



「お、終わった……」

 俺達は見事この地獄の所業としかいえない試練を乗り越えた。
 装着し続けていたマスクを脱ぎ捨て、俺達は地面に座り込む。
 全員がまるで長距離走でも行ったかのように息切れしている。

 たぶん、昼ぐらいまでには間に合ったはず。
 時間を確認できれば良いんだが……案外ストレスになっているかもしれない。

 疲れた体に鞭を打ってリラーミカさんに報告へ行こうと立ち上がろうとした時だった。

「様子を見に来ただけだったんだけど、終わってしまったのね」

 ご本人の登場。
 なんでなのか、と思わずにはいられないぐらいには残念そうな顔をしている。
 本当になんで残念がってんのよ。

「まあいいわ。体とか衣類とか綺麗にした方が良いから、また使って良いわよ」
「ありがとうございます」

 たった昨日やった流れをまたやる羽目になるとは、と思っていると、俺以外から歓声が湧き上がっている。
 そういえば昨日は俺だけしか利用してなかったから、みんなは嬉しいよな。
 俺も最初耳にした時は喜んだ。

「そして、これをあげるわ」
「これは?」

 リラーミカさんは俺に歩み寄り、五枚の横がなく食券と読める文字が記入されている紙を手渡される。

「これを使用すれば、食堂の品が無料で食べられるからお腹一杯食べるといいわ」
「おぉ」
「それじゃあ、私は他の業務があるから」

 リラーミカさんはもはやいつも通りの流れでこの場を後にした。

 なんだこれ、ちょっと嬉しくなっている自分が居るんだが。
 これが俗に言う、飴と鞭ってやつなのか。

「じゃあとりあえず、好意に甘えさせてもらうか」

 俺達は重い腰を持ち上げ、場所を知っている俺を先頭にシャワールームへ向かった。
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