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第三章
第13話『初めて感じる温度』
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先生が離れてすぐに周りはパーティの結成が始まった。友人同士、近くの人同士で。
パーティ勧誘、それは僕にとって縁がない話。
何よりもこの時間が一番嫌いかもしれない。
どうせ、わかっている。このまま時間が過ぎることを。
どうせ、わかっている。このまま空きのパーティへ惰性で入れてもらうことを。
そうだ、他クラスよりも不遇で活躍の場なんてない。
分かり切っていることじゃないか。しょうがないことじゃないか。
僕の予想は的中している。すぐ隣、すぐ前では瞬く間にパーティが結成されていく。
桐吾の顔が脳裏に過ぎった。だけど、そんなことはありえない。彼の能力はかなりのもの。そんな彼が他から勧誘されるのは何ら不思議ではない。
いつものように待っているだけでは時間が勿体ない、と期待薄に足を進めようとした時だった。
「よし、僕たちはどうしようか?」
耳を疑った――予想だにしていない言葉。
勧誘、そうではない。それだったら、まだ反応に困らない。こんな想定外の流れから更なる追い討ちを食らう。
「ねえねえ、志信。私たちもパーティに加えてくれないー?」
「私からもお願いするわ。もし迷惑じゃなかったらでいいんだけど……」
「僕的には大歓迎だけど……2人には申し訳ないんだけど、志信に判断を任せるよ……どうする志信?」
「……」
これは……一体どういう……?
淡い希望。そんなものが魅せた幻覚?
こんなことはありえない。今までもそうだったじゃないか。易々とメリットもない僕とパーティを組もうとする人なんていない。
霞む視界を腕で拭い現実を直視する。
いつも通り、そう、現実を見るだけ。
いつも通り、そう、いつも通り。
だが、晴れた視界が映したしたのは――。
「ねえ聞いてる? あっ、もしかしてもう戦術を考えてちゃったり?」
「ふふっ、志信くんだったらありえそうね。でも、こちらとしては返事がほしいところよね」
「そうだよ志信」
――3人からの視線が集まっていた。
美咲が黒髪のもみあげを耳に掛けながら前屈みになって覗き込んでいる。
これは現実――先ほどまでの出来事は幻覚でもなく、まごうことなき事実だった。
「固まっちゃってるし、もしかして図星だった?」
「志信くんも動揺することがあるのね」
「僕も初めて見たから、これはかなり貴重なシーンかもしれない」
こちらの気も知らずに盛り上がる3人。でも、嫌悪感の一つすら覚えはしなかった。
冷え切った心が初めて触れた温度。ぽっかり空いた心の隙間が少しずつ埋まるような感覚。
離れたところから何やら賑やかな声が湧き上がっている。
誰かがこちらへ向かって来ているのか、かなりの人達の声に応えながら進んでいるようだけど……。
「もし良かったら私たちをパーティに加えてくれませんか?」
関係のないことだと見向きもせずにいると、背後からそんな言葉が聞こえた。
どこか聞き馴染みのある声、この声の正体を僕は知っている。
一同がその声の方向に振り向くと、
「え、どうしてここにいるの?」
「やっほー、来ちゃったっ。そりゃあ合同授業だから居てもおかしくないと思うよ?」
「まあ確か……に? 言われてみればそうかもしれないけど……」
桐吾と美咲は疑問のを抱いているようだ。
それに加え、もう2人が後を追いかけてきて、あっという間に7人が集まった。
「えーっ、うそうそ、以外というか抜け目ないというか」
「え、そういう感じ?」
「いやいや2人とも……知らないの?」
顎に手を当てて感心している2人に、彩夏は疑問を投げかけた。が、心当たりがないようで、首を傾げて「「なにが?」」と返した。
「あぁ、えっとね――」
「彩夏、大丈夫だよ。自分で説明するから」
「おっけー」
「この人は僕の姉で、二年二組の楠城守結だよ」
「楠城、くすのき……あぁ――なるほど」
「なるほどね」
2人は僕と守結姉を交互に数回見比べて納得したようだ。
一旦、状況も整理がついたところで話を進める。
「じゃあまずは自己紹介からだね。こちらがクラスメイトの桐吾、彩夏、美咲だよ」
「初めまして、よろしくお願いします」
「お願いしまーす!」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いねっ、彩夏さん、美咲さん、桐吾くん」
4人は笑顔で握手をした。すると、守結姉に手を引かれて少し離れたところまで連れていかれた。と思ったら、肩を組んで前屈みに。
「へ、へぇ~、あの子たちと結構、仲が良いんだー?」
「どうしたの守結姉。なんだか怖いよ」
「いいえ、別に? いつも通りだけど?」
ニコニコと口角を上げ、目も笑っているけど、笑顔の仮面を被っている様にしか見えない。
正直、その矛先に全く検討がつかないけど、ここはお利口に……。
すぐに拘束を解除され、ビシッと気をつけの姿勢をとる。
守結姉は腕を組んで目を閉じ、何かを決めたかのようにこちらへ指を差した。
「私も、今日から敬称なしの名前で呼んでちょうだいっ!」
「え、それってあの時だけだったんじゃ……?」
「もう、決めたったら決めた! そういうことだからよろしくっ」
そういうと、守結はみんなのところへ戻っていった。
僕も振り返ると、守結を追ってきていた2人は既に自己紹介を始めている。
強制連行から解放された僕も合流することにした。
「ごめんごめん、おっ待たせーっ」
「お、やっと戻ってきたなー。俺は島田康太、よっろしく! やれやれだぜ。パーティの話になった瞬間、守結さんが走り出すもんだから何事かと思ったわ」
「あははっ、ほんとそれ。守結ったら私たちに声掛けてくれたのは嬉しかったんだけど、沢山の勧誘を全部断って行っちゃうんだもん。私たちは3人パーティかあ、って思ってたら――こういうことねえ~」
「ちょともう、幸恵っ! そんなことは言わなくていいのよ! そんなことはもういいから、さっさと自己紹介してよ!」
「あーはいはい、これは失敬失敬。私は石宮幸恵、よろしくね~」
3人は気軽に談笑できる仲のようだ。流石のコミュニケーション能力。複数人から勧誘されていたことから、【結姫】というのは伊達じゃないみたいだ。
少し、落ち着きのあるこちら側と温度差があるようにも思えるけど……。
そんな感じに、みんなの顔色を窺いながら場の雰囲気に飲み込まれていると、気づけば静まり返り全員の視線が僕に集まっていた。
「それで、志信。全員とパーティを組んでも大丈夫?」
「……あ……うん。みんな、よろしくね」
桐吾からの問いに迷いなく答えると、歓声が溢れ始めた。
こうして、僕、桐吾、彩夏、美咲、守結、康太、幸恵の計7人でパーティが結成となった。
パーティ勧誘、それは僕にとって縁がない話。
何よりもこの時間が一番嫌いかもしれない。
どうせ、わかっている。このまま時間が過ぎることを。
どうせ、わかっている。このまま空きのパーティへ惰性で入れてもらうことを。
そうだ、他クラスよりも不遇で活躍の場なんてない。
分かり切っていることじゃないか。しょうがないことじゃないか。
僕の予想は的中している。すぐ隣、すぐ前では瞬く間にパーティが結成されていく。
桐吾の顔が脳裏に過ぎった。だけど、そんなことはありえない。彼の能力はかなりのもの。そんな彼が他から勧誘されるのは何ら不思議ではない。
いつものように待っているだけでは時間が勿体ない、と期待薄に足を進めようとした時だった。
「よし、僕たちはどうしようか?」
耳を疑った――予想だにしていない言葉。
勧誘、そうではない。それだったら、まだ反応に困らない。こんな想定外の流れから更なる追い討ちを食らう。
「ねえねえ、志信。私たちもパーティに加えてくれないー?」
「私からもお願いするわ。もし迷惑じゃなかったらでいいんだけど……」
「僕的には大歓迎だけど……2人には申し訳ないんだけど、志信に判断を任せるよ……どうする志信?」
「……」
これは……一体どういう……?
淡い希望。そんなものが魅せた幻覚?
こんなことはありえない。今までもそうだったじゃないか。易々とメリットもない僕とパーティを組もうとする人なんていない。
霞む視界を腕で拭い現実を直視する。
いつも通り、そう、現実を見るだけ。
いつも通り、そう、いつも通り。
だが、晴れた視界が映したしたのは――。
「ねえ聞いてる? あっ、もしかしてもう戦術を考えてちゃったり?」
「ふふっ、志信くんだったらありえそうね。でも、こちらとしては返事がほしいところよね」
「そうだよ志信」
――3人からの視線が集まっていた。
美咲が黒髪のもみあげを耳に掛けながら前屈みになって覗き込んでいる。
これは現実――先ほどまでの出来事は幻覚でもなく、まごうことなき事実だった。
「固まっちゃってるし、もしかして図星だった?」
「志信くんも動揺することがあるのね」
「僕も初めて見たから、これはかなり貴重なシーンかもしれない」
こちらの気も知らずに盛り上がる3人。でも、嫌悪感の一つすら覚えはしなかった。
冷え切った心が初めて触れた温度。ぽっかり空いた心の隙間が少しずつ埋まるような感覚。
離れたところから何やら賑やかな声が湧き上がっている。
誰かがこちらへ向かって来ているのか、かなりの人達の声に応えながら進んでいるようだけど……。
「もし良かったら私たちをパーティに加えてくれませんか?」
関係のないことだと見向きもせずにいると、背後からそんな言葉が聞こえた。
どこか聞き馴染みのある声、この声の正体を僕は知っている。
一同がその声の方向に振り向くと、
「え、どうしてここにいるの?」
「やっほー、来ちゃったっ。そりゃあ合同授業だから居てもおかしくないと思うよ?」
「まあ確か……に? 言われてみればそうかもしれないけど……」
桐吾と美咲は疑問のを抱いているようだ。
それに加え、もう2人が後を追いかけてきて、あっという間に7人が集まった。
「えーっ、うそうそ、以外というか抜け目ないというか」
「え、そういう感じ?」
「いやいや2人とも……知らないの?」
顎に手を当てて感心している2人に、彩夏は疑問を投げかけた。が、心当たりがないようで、首を傾げて「「なにが?」」と返した。
「あぁ、えっとね――」
「彩夏、大丈夫だよ。自分で説明するから」
「おっけー」
「この人は僕の姉で、二年二組の楠城守結だよ」
「楠城、くすのき……あぁ――なるほど」
「なるほどね」
2人は僕と守結姉を交互に数回見比べて納得したようだ。
一旦、状況も整理がついたところで話を進める。
「じゃあまずは自己紹介からだね。こちらがクラスメイトの桐吾、彩夏、美咲だよ」
「初めまして、よろしくお願いします」
「お願いしまーす!」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いねっ、彩夏さん、美咲さん、桐吾くん」
4人は笑顔で握手をした。すると、守結姉に手を引かれて少し離れたところまで連れていかれた。と思ったら、肩を組んで前屈みに。
「へ、へぇ~、あの子たちと結構、仲が良いんだー?」
「どうしたの守結姉。なんだか怖いよ」
「いいえ、別に? いつも通りだけど?」
ニコニコと口角を上げ、目も笑っているけど、笑顔の仮面を被っている様にしか見えない。
正直、その矛先に全く検討がつかないけど、ここはお利口に……。
すぐに拘束を解除され、ビシッと気をつけの姿勢をとる。
守結姉は腕を組んで目を閉じ、何かを決めたかのようにこちらへ指を差した。
「私も、今日から敬称なしの名前で呼んでちょうだいっ!」
「え、それってあの時だけだったんじゃ……?」
「もう、決めたったら決めた! そういうことだからよろしくっ」
そういうと、守結はみんなのところへ戻っていった。
僕も振り返ると、守結を追ってきていた2人は既に自己紹介を始めている。
強制連行から解放された僕も合流することにした。
「ごめんごめん、おっ待たせーっ」
「お、やっと戻ってきたなー。俺は島田康太、よっろしく! やれやれだぜ。パーティの話になった瞬間、守結さんが走り出すもんだから何事かと思ったわ」
「あははっ、ほんとそれ。守結ったら私たちに声掛けてくれたのは嬉しかったんだけど、沢山の勧誘を全部断って行っちゃうんだもん。私たちは3人パーティかあ、って思ってたら――こういうことねえ~」
「ちょともう、幸恵っ! そんなことは言わなくていいのよ! そんなことはもういいから、さっさと自己紹介してよ!」
「あーはいはい、これは失敬失敬。私は石宮幸恵、よろしくね~」
3人は気軽に談笑できる仲のようだ。流石のコミュニケーション能力。複数人から勧誘されていたことから、【結姫】というのは伊達じゃないみたいだ。
少し、落ち着きのあるこちら側と温度差があるようにも思えるけど……。
そんな感じに、みんなの顔色を窺いながら場の雰囲気に飲み込まれていると、気づけば静まり返り全員の視線が僕に集まっていた。
「それで、志信。全員とパーティを組んでも大丈夫?」
「……あ……うん。みんな、よろしくね」
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