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第35夜 特別大尉
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※35話はカラス特別大尉の目線で進みます。
精霊王が設立する新しい魔導組織の名前は『夜明けのリミニス団』という名前になったらしい。
リミニスはラテン語で「境界の」という意味だ。
悪魔ゴエティア達の強襲を受けて、境界ランプの持ち主達を囲い込むために精霊王が作った新組織だ。
組織と言っても本当に名前を作っただけで、まだ実態のほとんどない組織であると推測される。
新たな組織の設立ほど骨の折れる仕事はない。
今までの任務で実感している。
そんな急ごしらえで面倒くさそうな組織作りの重役をよりによって精霊王はオレに押し付けてきた。
「どうだね、カラス大尉……キミに新組織の設立任務をお願いしたいのだが……もちろん特別大尉としてだよ」
どうだねも何も拒否権なんかこちらにはないことを精霊王は知っているはずなのにズルいお人だ。
珍しく精霊王が直々にオレ達の組織にやってきてオレに面会を求めてきたと思ったらいきなりこれだ。
オレはちょうど休憩時間で職務中の唯一の楽しみであるミルクティーを味わっていた最中だったので、気持ちが削がれて少々機嫌が悪かった。
話によると境界ランプの持ち主の中には最近魔法を覚えたての若者もいるらしい。
組織の設立に携わると共に彼らの育成役を引き受けてほしいとのことだった。
つい最近まで一般人だった若者を危険な魔導の世界に引きずり込むのは抵抗があったが、すでにもう戻れないところまでこちら側の世界に足を踏み込んでしまったらしい。
悪魔ゴエティアに命を狙われているなら尚更だろう。
「分かりました。引き受けますよ。任務はいつからですか?」
オレがそう答えると精霊王ガイアスはニヤリと笑って
「今すぐ」
と答えた。
やれやれだ。
特にオレが任されることになる若者は響木千夜(ひびきせんや)という日本人の若者でまだ高校生だという。 境界国に語学留学をするという形で魔導王になる試練を受けることになったそうだ。
オレが精霊王に連れられて宮殿の会議室に向かうと茶色い髪で黒い目の日本人がどうしていいか分からない……という表情で座らされていた。
「あの……オレ……響木千夜(ひびきせんや)といいます。カラス大尉ですね。よろしくお願いしま……」
バチバチッ!
千夜君が自己紹介をしてくれているのに魔法を放ったオレに千夜君は驚いていたようだったが、ちょうど彼の背後に悪魔ゴエティアが現れたので討伐させてもらった。
おかげで怖い上司と認識されてしまいそうだ。
まあ常に悪魔に命を狙われているのだから次第にこれくらいのことには慣れるだろう。
せっかくオレが担当するのだしどうせなら魔導王に本当になってもらいたいものだ。
「君の上司になるカラス特別大尉だ。よろしく頼むよ」
オレはこれから長い付き合いになる若者に無愛想な自分に出来る限りの感じの良い笑顔で優しく挨拶をした。
精霊王が設立する新しい魔導組織の名前は『夜明けのリミニス団』という名前になったらしい。
リミニスはラテン語で「境界の」という意味だ。
悪魔ゴエティア達の強襲を受けて、境界ランプの持ち主達を囲い込むために精霊王が作った新組織だ。
組織と言っても本当に名前を作っただけで、まだ実態のほとんどない組織であると推測される。
新たな組織の設立ほど骨の折れる仕事はない。
今までの任務で実感している。
そんな急ごしらえで面倒くさそうな組織作りの重役をよりによって精霊王はオレに押し付けてきた。
「どうだね、カラス大尉……キミに新組織の設立任務をお願いしたいのだが……もちろん特別大尉としてだよ」
どうだねも何も拒否権なんかこちらにはないことを精霊王は知っているはずなのにズルいお人だ。
珍しく精霊王が直々にオレ達の組織にやってきてオレに面会を求めてきたと思ったらいきなりこれだ。
オレはちょうど休憩時間で職務中の唯一の楽しみであるミルクティーを味わっていた最中だったので、気持ちが削がれて少々機嫌が悪かった。
話によると境界ランプの持ち主の中には最近魔法を覚えたての若者もいるらしい。
組織の設立に携わると共に彼らの育成役を引き受けてほしいとのことだった。
つい最近まで一般人だった若者を危険な魔導の世界に引きずり込むのは抵抗があったが、すでにもう戻れないところまでこちら側の世界に足を踏み込んでしまったらしい。
悪魔ゴエティアに命を狙われているなら尚更だろう。
「分かりました。引き受けますよ。任務はいつからですか?」
オレがそう答えると精霊王ガイアスはニヤリと笑って
「今すぐ」
と答えた。
やれやれだ。
特にオレが任されることになる若者は響木千夜(ひびきせんや)という日本人の若者でまだ高校生だという。 境界国に語学留学をするという形で魔導王になる試練を受けることになったそうだ。
オレが精霊王に連れられて宮殿の会議室に向かうと茶色い髪で黒い目の日本人がどうしていいか分からない……という表情で座らされていた。
「あの……オレ……響木千夜(ひびきせんや)といいます。カラス大尉ですね。よろしくお願いしま……」
バチバチッ!
千夜君が自己紹介をしてくれているのに魔法を放ったオレに千夜君は驚いていたようだったが、ちょうど彼の背後に悪魔ゴエティアが現れたので討伐させてもらった。
おかげで怖い上司と認識されてしまいそうだ。
まあ常に悪魔に命を狙われているのだから次第にこれくらいのことには慣れるだろう。
せっかくオレが担当するのだしどうせなら魔導王に本当になってもらいたいものだ。
「君の上司になるカラス特別大尉だ。よろしく頼むよ」
オレはこれから長い付き合いになる若者に無愛想な自分に出来る限りの感じの良い笑顔で優しく挨拶をした。
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