月の破片を受け取って 〜夢の続きはあなたと共に〜

琴音

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五章 平穏から一転

1 今度は僕がおかしい

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 翌日アンジェはいつも通り城に出仕して行った。僕は普段、玄関の大扉まではお見送りしないんだけど、心配で馬車までついて行った。

「クルト、ここまでしなくても」
「でも心配なんだもん。それと、これをハンネス様の奥様フロレンツ様にごめんねって。あの、アンジェ無理しないでね」

 僕は家で一番キレイに咲いたお花とお手紙をアンジェに託した。きっとハンネス様の奥様怒ってるだろうからね。僕は個人的にお金を動かせなくて、屋敷にあるものしか差し上げられない(下さいとエルムントに言わなきゃならないし、今日じゃ間に合わん!)彼の奥様とは仲良くはさせてもらってるけど、それに甘えることは出来ない。

「ありがとう。無理はしないし渡しておく」
「うん。アンジェキスして」
「ああ」

 優しく触れる唇が今までとやはり違う気がする。ものすごく幸せな気分がする。

「はふ…アンジェ……」

 僕はつい抱きついた。ヤバい僕が離れがたい。心がザワザワする……行って欲しくないとかおかしな言葉が頭に浮かぶんだ。

「行ってくる」
「うん……いってらっしゃい」

 僕は寂しくて声が小さくなったけど、アンジェはにっこり微笑み馬車に乗る。なんだこれ……腰が抜けそうだし、離れがたいし……

「クルト様?」
「ティモ……ちんこ痛い」
「え?」
「はっ!なんでもない!」

 僕はなにを口走ってるんだ!焦って車止めから階段を駆け上がり、自室まで全力疾走した。なんだよ!いつもしてることだろ!ちんこ破裂しそうなこんな情欲が朝っぱらから!僕はどうしたんだと部屋に駆け込んで、そのまま寝室に飛び込んで布団を被った。

「アンジェを更に好きになってるかも」

 アンジェの雰囲気が変わったんだ。そう包み込むような優しいなにか……今までは俺を愛してって強い思いを受け取ってたのに、優しくおいでって感じの……ゾワゾワする。昨日のエッチじゃ感じなかったのにな。少しするとドアが開く音がして、

「ハァハァ…クルト様?いかがしましたか?」
「いえ……ちょっと……ちんこの…イヤイヤ…少し寝るから」
「さっきからちんこちんこと……朝っぱらから」

 うー……僕は布団から目だけ出した。

「ティモ、アンジェ変じゃない?」

 ティモはうん?と一瞬考えた。なんだろうと顎に人差し指を置いて天を仰ぐ。

「ああ!雰囲気が一晩で変わりましたね。とても素敵になりました」

 ティモも気がついてたか。よかった。

「僕の気のせいじゃないよね!」
「ええ、柔らかい感じになりましたね。あ…それで朝からちんこと下品発言ですか。ふふっ」
「うん……」

 出て来てと布団を剥がれた。クルト様聞いてと、ティモは僕の肩をポンポン。優しい声色で話し始めた。

「クルト様。旦那様の今の雰囲気が普通の夫としてのノルンです。今までがおかしかったんですよ」
「そうなの?」

 ティモはベッドに腰掛けてよかったですねと言う。

「あなたを求めすぎて前のめりだったのが、穏やかにあなたを愛すようになっただけ」
「そうなの?なんかふわふわした感じがして、ゾクゾクして股間に響いて……その……」

 ふふっあなたに眠っていたアンの本能が動いたんですね。本来はノルンが強く求めるんじゃなくて、アンの方がよりノルンを求めるのが通常なんですよと言う。

「それは知ってるけど……」
「あまりに求められて、あなたの本能が全部働いてなかったんですよ。きっとね」
「そっか……これはおかしくないんだね?」
「ええ、普通です」

 僕の肩を撫でながらおかしくないから安心してと。見上げるティモはいつも通りで、嘘を言ってる感じではない。

「よかった。ほんのりのアンジェの匂いでちんこもげるかと…」
「ふふっ急に本能が目覚めたから、初夜っぽくなったのかもですね。そのうち落ち着きますよ」
「うん……」

 ティモのその言葉を信じてその日は過ごし、夜はアンジェが心配で大扉まで迎えに出た。少し疲れている感じだったけど、おかえりと抱きついて見上げると僕は鼻血がタラリ。なんで!おかえりだけで鼻血出るんだよ!

「ク、クルト体調が悪いのか?」
「違う……その……あの…」

 アンジェは少し狼狽えたけど、ヒールと言いながらただいまってチュッと頬にキスしてくれた。すると再びツツーっと。おいおい……アンジェドン引きだよ。

「クルト?本当にどこか……」
「違うの……ごめんなさい!イヤーっ」

 アうっ僕は真っ赤になって振り返ると全力疾走で逃げた。後ろからおい!どこに行くんだと声がするけど、こんなの恥ずかしすぎる!
 逃げたところで着替えに来るから自室に!中に入って手元のカッギィーッ締めらんねえんだよ!この屋敷、廊下の外カギしかねえんだ!内扉にもつけろや!イヤーッ魔法使ったら怪しいよな。仕方ねえ、布団被って隠れた。自分で鼻血を止めて布団をしっかり掴み、恥ずかしさのあまり震えながら息を殺していた。

 そのうちガタゴトと、隣のアンジェの部屋に通じる内扉の奥から音がして、ローベルトの声がボソボソと聞こえる。アンジェの笑い声もね。しばらくすると声が止まり、ガチャッと僕の寝室の扉が開いた。絨毯を踏み締める音がして、ギシッとベッドが軋んだ。僕は冷や汗が出て、ドキドキと心臓が早くなる。

「クルト、顔を出してくれ」
「イヤッ!」
「クルト?そんなこと言うなよ。俺嬉しいんだから」
「イヤッ!今更こんなになるなんて、イヤーッ」

 しっかり布団を掴んでたんだけど、力でアンジェに勝てるはずもなく、ガバっと剝れた。顔を見られたくなくて、ミンミーみたいに丸くなった。さらに手のひらで顔を隠し枕に顔をボフン。恥ずかし過ぎる!

「クルト、そんなこと言うなよ」

 よっこらしょってひっくり返された。やだもう!膝に座れと持ち上げられて跨ったけど、顔を見られたくなくて手のひらはどけない。

「お前はなにしても仕草がかわいくていいな」
「褒めてないもんそれ!」
「いや、俺は好きだよ。夫にいつまでも照れてくれるなんてさ」

 ほら手をどけてと手首を掴まれてグイッと。まともにアンジェの目が見れなくて、あわあわした。

「アンジェ……なんでこんななるの?」

 顔が見られなくて下を向いてたけど顔が熱い。真っ赤なのが更に恥ずかしい。

「俺が悪いが、新婚の頃を思い出している」

 そんでこんな硬くしてと下着に手を入れてくる。アッ…ダメッ気持ちよくてアンジェの首に腕を回してしがみついた。ヤダッ腰が勝手に反るぅ

「んっ…ダメ……」
「俺が側にいるだけでこれか」
「あっ…はっ……やめ……」

 ニチニチと擦られて……あはっ…うっ……

「こんなんじゃ夕食ムリだろ?」
「そうだ…けど…ふう……あっ…」

 お前の本能が俺を求めるのは気分がいいと、ニチニチと擦り、先から漏れたものでヌルヌルと刺激する。

「ここ好きだろ?」
「ヤッッ…うーっ」

 先の……指が気持ちいいトコを!あっという間に彼の手に……ハァハァ…んあっ

「少しは落ち着いたか?」
「うん……」

 アンジェのこの余裕にやられる。どうとでもしてと言う気分になって、抱かれていたくなる。理性を働かせないと、アンジェのちんこ出してしゃぶりたくもなる。これマジで初夜の……異常に求めるあの感覚に近い。ハァハァと息も上がるし、一回抜いただけじゃダメそう。何度でもしたいし、アンジェに溺れたい……いやダメだろ。

「クルト、体の熱が抜けなさそうだな」
「うん…ごめんなさい」

 ちょっと待てとアンジェは僕を降ろし、横に寝かせると外に出てすぐに戻った。そして無言で僕を脱がして上に乗った。

「夕食は待ってもらった。交われば落ち着くかもだろ?」
「してくれるの?疲れてるでしょ?」
「まあな。でもこれじゃお前が辛いだろ。俺はお前抱くのが好きだし、こんな硬くして」

 んふふっアンジェは優しいね。話しをしてる間に脱いでくれる。あー……彼の匂いで僕は誘惑するように首に腕を回した。アンジェと名前を呼び、腕を伸ばした彼を引き寄せてキスをねだる。それだけで甘イキするし、求めを受けてくれて乳首を捏ねる指で震えるし……んふぅ…強いアンジェの匂いに欲が増す。欲しくて中が痺れて勝手に体が震える。

「ふふっ……クルトこんなに蕩けて」
「うっ…アンジェ…もう…僕…がま…んッあー……できな……いれてぇ」
「そうだな。こんなだもんな」

 指がぬるっと入って来る。ヌルヌルと捏ねる指にうぅ…あ…ガタガタと腰が上がるぅ

「アンジェの入れてぇ」
「たまには指もいいだろ?」
「いじわるしないでぇあっ!ソコ!グッ」

 腰が勝手に……うーっぎもぢいいーっ

「こうして指を締め付けるの、俺は好き」
「やめて!クッ……恥ずかしいッでしょ!」

 捏ねるのを止めずにニヤッと悪い顔をする。

「俺しかここに入れないんだ。それにこんなクルトはもう二度とないんだから、楽しませてくれよ」
「見られるのは……恥ずかしいもん」

 いつもはもっと欲しがってるだろって。いやそうなんだけど、気持ちまであの頃に引っ張られてるみたいになって、アンジェを見上げたら、なんか心臓がバクバクする。アンジェは分かってるくせに、どうしたと不敵に微笑む。

「アンジェあの……」

 鼻で息したらなんかブシュッと出た。はあ?

「おまっヒール!どんだけ興奮してるんだよ」
「僕おかしいんだよ!興奮して変なの!入れて!アンジェのちんこ欲しい!もうやだぁ」

 僕はなに言ってんだよ。エロ動画みたいな……でももう欲しくて頭おかしいんだ。指じゃなくて中にアンジェの熱い……そう思うだけで穴から溢れてしまうんだ。

「ああごめん。またせすぎたな……クッフフッ」
「笑うな!」

 俺のを少し舐めろ。少し落ち着くかもよって僕の口に突っ込む。ンくっうまっ…ネロネロ舐めているとお尻から派手に漏れて、ブチュッと恥ずかしい音がした。

「少し落ち着いてからの方がいいだろ」
「んっ…アンジェの魔力が……」

 久しぶりに感じたね。交わると魔力をお互い吸ってる感じになるんだけど、今ではあんまり感じなかったんだ。なのにスーッと漏れる精液から流れ込むのが分かる。

「出して……飲みたい」
「ふふっ」

 エロい……アンジェの赤らめた頬と目付き。彼の気持ちよさそうな顔はいい。ネロネロ舐めて口に入れてると、頭を掴まれて離された。

「ハァハァ…なんで?」
「俺がもう入れたい」

 僕を仰向けに寝かせ、興奮したアンジェにブルッとした。僕は欲しくて自分で脚を掴んで広げて、

「アンジェ……欲しいの」
「……こんなことしたことないのに」

 アンジェは驚いたような顔したけど、待てねえんだよ!まあいいと先が当たるとぐぷぐぷと……ああっ…奥に届く。気持ちいい…熱くて太くて僕は締め上げる。

「動かしたらクルトはイキそうだな」
「ハァハァ気持ちい…」

 ならとキスだなと舌を……あっんくっ…アンジェ…動いてよ、なんで意地悪すんの?

「俺が欲しいと言ってくれ」

 言わなくてもわかるでしょ!と喘ぐように言うと、言葉が欲しいって。もーっ

「アンジェが欲しいんだ。大好きなんだ……アンジェ僕のアンジェ……アンジェ…動いてよ」
「僕のアンジェか……いいな」

 見上げるアンジェは幸せそうに蕩けた微笑みを浮かべた。僕は分からん幸福感でまぶたが熱くなり、瞬きしたら目尻から溢れた。彼への愛が溢れ、僕を愛して欲しくて堪らない。アンジェと何度も呼んだ。

「そうか……俺が……お前はこんな顔するのか」
「ハァハァ…アンジェ…?」

 なにかに気がついたようだけどお尻が欲しくて死ぬ。穴がビクビクしてるの!動かしてぇ

「アンジェ辛いぃ」
「うん」

 ゆっくり腰を引いてドンッと。クハッ…たま…らんっこれ…キューッとアンジェを締め付けるけど、アンジェはお構いなしでグチュグチュ

「ごめんな。俺の押し付けた愛がクルトの愛を抑えてたようだ」
「いい……ぎもぢい…がら…うっアッ……」

 アンジェは僕の脚を掴んで激しくて!全身が喜ぶ感覚に飲まれて、激しく押し込まれて揺れてるだけになった。

「アンジェもっと……アアッもっと…んあっ」
「こんなに求められると……クッ俺がおかしくなる」

 アンジェと名前を連呼して求めた。気持ちいいんだ。いつも気持ちいいけど、何度イッても欲しくて欲しくて足りないんだ。僕は彼の吐息を感じたくて、力の入らない腕を彼に回した。ズルっと落ちそうになると彼が手を掴んで、僕を睨みつけるように見つめながら、キスしてくれる。それにゾクゾクして絶頂するけど、すぐに欲しくて………

 その気持ちがなんとか落ち着く頃には……え?二時間以上してた?横のコンソールの上の時計見てビクッとした。夕食!グレゴールに迷惑を!起き上がろうとすると、肩を掴まれて彼の胸にポスン。

「誰も怒らないよ」
「そうかもだけど、アンジェお腹すいたでしょ?」
「うん。でもいい」

 アンジェは今までのアンジェじゃない。たぶん僕も違うんだろう。僕は胸に擦りついた。

「なんかね。胸の奥にあった、硬い塊が溶けたみたいな感じがするんだ。それのせいで肩に力が入っていたというかな。それがなくなった」
「ごめん。俺が求めすぎたから無意識に怖かったのかもな」

 アンジェも僕の見送りの様子がおかしいから、お昼休みに城のお医者さんを訪ねたそうだ。そしたら、初夜で相手が愛しいと思う気持ちは開放はされたけど、アンジェが押し付ける愛に僕が不安になってどこかの扉が閉まった。それがまた開放されたのでは?って。

「なにそれ」
「あー……俺は病院でたくさんの領民と話したんだよ。そこで聞いたのが「運命の番」という言葉だ」

 僕を撫でながらアンジェはなにか考えていた。ほほう、「運命の番」か。なんか神に運命を決められた番みたいだと思った。物語の中の純愛のような、そんな言葉だね。

「なんかいいものっぽく聞こえるね。この世にこの人しか相手がいないみたいだ」

 そうだなあって。でもな、これはノルンに対する揶揄やゆの言葉だって話す。そうなの?相性がこの上なくいいカップルみたいだけどなあ。

「違うんだ。番を愛しすぎて、束縛や執着する夫や夫婦に対する言葉だ。そのまんま俺だな」
「ふーん」

 ごめんなってアンジェは僕のまぶたにチュッ
 こうなる原因は、相手が自分を裏切るかもって不安だそうだ。アンの番の本能は、他のノルンに興味を示さなくなるのが普通なんだけど、ノルンは他のアンと子どもを作る能力がある。番にはなれないけど、噛めば妊娠させることは可能なんだ。その機能のせいで相手を疑う人が出るらしい。まあ、他も原因はあるけど、大元はここからだとアンジェは言う。俺はちょっと違うけどと苦笑い。

「そっか。でもね、僕は大切にされてたのは分かってたから嫌でもなかったけどな。暴力はダメだけどさ」

 ありがとうとチュッチュッと、色んなところにキスが降る。

「昼に聞いたら行き過ぎるとアンを監禁、そのうち自分も引きこもり、アンもそれに同調してふたりとも最悪餓死だそうだ。クルトが言ってたツルのようになる」
「ゲッ……」

 そしてありふれた病だけど治りにくい。愛しい気持ちのなにが悪いと逆ギレして、ふたりはゆっくりと狂って行く。それにふたりは気づくことが出来ずに、病は進行してしまうそうだ。

「周りの目が大切なんだってさ。うちの家臣はそろそろ俺を病院にぶち込むかと、相談はしてたそうだ」
「そっか、だから誰も驚かなかったのか」

 様子見ではなく言ってくれればいいだろと俺が言うと「これは外の言葉は届かず、強制になるからムリ!」と言われたよと笑う。

「ふーん」
「クルトに対する態度が少しおかしいくらいなら放置と、最初は思ってたらしい」
「ほほう。それで僕はお外に出れなかったのね」
「ごめん」

 これからは好きにすればいい。友だちの手紙も渡すよって。まだ握りつぶしたのか!

「嫌だったんだよ。俺の目がないところで食われたり、お前が自分からとか……ユリアンとかやりかねんし」
「ねえよ!」

 アンジェまだ治ってない……?いや、そんなではないか。

「ふん。あいつだけは正気になっても疑っている」
「あはは……それだけ疑われるとはあの人なにしてたんだか」

 なら聞かせてやると言うが、食事の後にと起きて、遅い夕食に向かった。
 この余裕のある年上らしい包容力は以前より心地いい。愛されてるって心から思えて、安心の度合いが違うんだ。僕もどこかがアンジェに引きずられて、気持ちが前のめりだったのかもね。今はいい関係になったんだと思う。ふふっ僕の未来は安泰だね!うははは!







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