幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

文字の大きさ
27 / 62
幼なじみと隣の席の女の子

じゃあ、良いのかな?

しおりを挟む
 
「ふーーーん、ふん、ふふーーん」
 何か気持ち悪い……お姉ちゃんは仕事から帰って来るなりずっとこんな調子だった。
 ニコニコしながら鼻歌を歌っているお姉ちゃんなんて、あまり見ない。
 そんなお姉ちゃんの姿を見て私は何だか不安が過る。
 
 なので、夕御飯を食べながら私はお姉ちゃんに聞いた。

「あ、あのさ……お姉ちゃん……何か良いことでもあったの?」

「……へ? 何で?」

「いや……なんか……機嫌が良いから」

「えーー? そ、そうかなあ? べ、別にい~~いつも通りでしょ?」

「嘘、今日の仕事初の水着で、私に散々嫌だ代われって、ずっと言ってたのに」

「えーーそうだっけ?」

「そうよ、そもそも私が水着で人前に立てるわけ無いし、それに今日は夏期講習で付き添いも出来ないって言ったら、凄く不機嫌になってたじゃない」

「えーーーそうだっけ?」

「そ、う、だ、よ!」
 なんだこのテンションは? やっぱりおかしい……。

「そうかなあ、ふふふ」

「ほら! それ! さっきからニコニコしちゃって、キモいよお姉ちゃん」

「うるさい、キモいって言うなし」
 そう言うとお姉ちゃんは乱暴にバクバクとご飯を食べ始める。

「そういえばさあ……明日菜ちゃん、例の王子様とは進展あったの?」
 そしてある程度ご飯を食べると、お姉ちゃんは箸を置き何故か突然……彼の事を聞いてきた。

「王子様って、別に日下部君とは……」

「ふふーーん、王子様って言ったら日下部君を思い出す時点でもう好きって事なんじゃない?」
 ニヤニヤしながら私にそう言う『いわる』……なお姉ちゃん。

「引っかけないで! それを揚げ足って言うんだよ!」

「まあまあ、それで本当の所は、どうなの?」

「え? いや、本当に日下部君とは友達で、本の事とか──たまに話す程度だから……」
 私は自分の事を深く話せない、日下部君に嘘ばかりついている……だから……彼には相応しくない……彼は優しくて思いやりがあって……それに引き替え、私は暗いし……人見知りだし……。

「そんな事言ってたら、誰かにとられちゃうよ~~」
 お姉ちゃんが笑いながらそう言う、でも目は笑ってなかった。お姉ちゃんは何か私に対して一家言ある時はいつもこんな顔をする。

「……でも……ほ、本当にただの友達……だから」
 彼だってこんな私になんて、興味ない……あんなに綺麗な人が振りとは言え彼女なんだし……。

「へーーそうなんだあ、へーーーー」

「な、何よお!」

「べっつにい~~じゃあ良いのかなあ?」

「……な、何が?」

「えーーべつにいいぃ」
 お姉ちゃんはニヤニヤ笑いながら再びご飯をパクパク食べ始める。
 一体何を言っているのか? 一体何が言いたいのか? 
 でも……一つだけわかっているのは、今日お姉ちゃんに何か良い事があったって事だ。
 そしてそれは多少なりとも私に関わる事だって……双子である私にはわかった。
 仕事の事? プライベートの事? そこまではわからない。
 お姉ちゃんはよく隠し事をする。モデルの仕事もずっと隠していた。
 勿論お母さんには言ってたらしいが、私には隠していた。

 中学生の時、私が知らない人からファンですって話しかけられ、お姉ちゃんの仕事が発覚したのだ。
 私はそれ以来変装するかの様に眼鏡をかけ前髪伸ばしうつ向いて道を歩いている。

 それ以来お姉ちゃんと私が双子だと、同一の顔を持っているって事を知られた事は無い。

 でも……違う……私とお姉ちゃんは全く違う……私の明るさは、全てお姉ちゃんに奪われた、先に生まれたお姉ちゃんに全て奪われた……って、私は思っている。

 だから私は……相応しくない……彼には……相応しく……ない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

処理中です...