幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

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綾波明日菜の正体

もしもお姉ちゃんを選ぶなら……

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「あううううう……うえええええええん」
 また涙が……お姉ちゃんのばかあああぁぁ……。

 ふええええん、日下部君がああ……。

 勝てない……お姉ちゃんに勝てるわけがない……。

 私なんかと付き合っても……面白くない……コミュ障の私とじゃ日下部君の迷惑になる。

 まさか……綾のファンだったなんて……。
 しかもお姉ちゃんと知り合ってたなんて……。

「しかもおお……お姉ちゃんも……あううううぁああああぁぁ」
 私はスマホをそっと開く……メッセージがありますの文字……でもクリック出来ない……。
 未読のまま……既読にすら出来ない……。
 怖い……この表示メッセージの下に何が書いてあるのか……。

 ショックだった……綾の大ファンって言われて……。
 私は少しだけ期待してた……日下部君ってちょっと変わってるから……私みたいな地味な女の子が好きなのかもって……雪乃さんみたいなコミュ力が高くて、綺麗な人には……うんざりしちゃったのかもって……。

 でも違った……。

 やっぱり男の子って……明るい人が良いんだなって……そう思った。
 日下部君もそうだって思ったら……悲しくなってしまった。

 多分日下部君は、優しいんだろうって……だからひとりぼっちで可哀想な私に声をかけてくれたんだろうって……だから構ってくれたんだろうって……。

 そんな事で、私は舞い上がっていた。
 私は思い上がっていた。

 もしかしたら……なんて思っていた。

 バカだ……私はバカだ……そんな筈がない……そんなわけがない。

 こんな暗くてじめじめした喪女の事を好きになってくれる一人なんて……いるわけがなかった。

 私はいい気になっていたんだろうって、お姉ちゃんの物真似をして綾になっていたから、自分もお姉ちゃん少しはみたいになって来た……だから日下部君も……なんて思ってしまった。

 そんなわけ無いのに……そんな事ある筈が無いのに……。

 明日……確認しよう……待ち合わせ場所は……確か池袋のイケフクロウの前って言ってた。

 確認しよう……そうこれはストーカー行為ではない……ただの確認だ。

 でも一番の問題は……。

 お姉ちゃんにもバレない様に、尚且つ日下部君にもバレない様に、さらには私が綾だって周りにバレない様に……後をつけなければいけない……。

「そんな格好なんて……」
 私は立ち上がると、部屋をそっと出て衣装部屋に向かった。
 今までの衣装や大量の服をまとめて置いてある。

「池袋……って確かオタクの町だとかって……日下部君が前に言ってた様な……で、でも……ふえええええ、でも……これを着るの? 私が?」
 綾のキャラには全く合わないからとしまっていた服……恐らくお姉ちゃんも知らない服が一着ある。

「これを……着るしかない……」
 私はその衣装一式を掴み取ると一目散に部屋に戻って袖を通した。

「多分バレない……と、思うけど……あ、明日……この格好で……表に出るの? ふええええええ…………!」
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