幼馴染に良い様に使われた、だから俺は彼女を見返す為にいい女と付き合う事にした。そして出会った女子はモデル活動をしていた隠れ美少女だった。

新名天生

文字の大きさ
51 / 62
綾波明日菜の正体

神の目線?

しおりを挟む

「お兄ちゃんと同じ学校なんだ、頭いいんだねえ」

「いえ……」

「来年私も入るから、宜しくね先輩」

「……あ、はい」
 それはさりげに自分の事を自慢しているのでは?
 余裕な表情の楓さんに私は相変わらずオドオドしていた。
 私と楓さんはあれから二人で近くの喫茶店に入っていた。
 夏休みではあったが、平日とあって店内はそれほど混んではいない……とはいえ、私達の格好に周囲は注目していた。

 なれているのか? 店員さんはそれほど驚いた顔をせずに注文を聞きに来たので、楓さんはアイスコーヒ、私はアイスカフェラテを注文する。

 私の目の前に座る楓さん、サングラスを外し髪をおろした姿は、やはり兄妹なのか? どことなく日下部君の面影があった。

 そうか、日下部君て実は可愛いんだ……って思ってしまう程に妹ちゃんは可愛い。

「それで、なんであんな所でお兄ちゃんの事を見ていたの?」
 自分の事を差し置いてまずそれを聞くか? とは思ったけど、相手は身内、私は、お姉ちゃんとの関係を言えない……。

「えっと……あの……日下部君が……綾って人と会うっていうのを聞いて……それで心配で」

「────えええ! あ、あれが綾?」

「え、あ、うん……多分?」

「──マジか……お兄ちゃん……神ってそういう事か……」

 何やら考え事を始める妹ちゃん……なんかこの娘……日下部君とは正反対の性格な気がする。
 まあ……双子の私とお姉ちゃんが正反対な性格なのでお前が言うなって事なんだろうけど……。

「なんで綾と知り合ったんだろう? お兄ちゃんがまさか芸能人と付き合ってるってなんて」

「え? いや、多分付き合ってはいないと……そして綾は芸能人ではない様な……」

「そうなの?」

「あ、多分……まだ」

「詳しいね」

「あ、えっと、多分……」
 ニコニコと笑う妹ちゃん……でも……その目は笑っていない……。
 私の中の警報装置が鳴り響く……この娘は危ないって……まあ、あんな物を懐に隠し持っている時点で危なすぎるけど……まさか本物じゃないよね?

「それで、綾波さんは、お兄ちゃんが好きなの? まあ、後をつける位なんだから聞くまでもないか」
 妹ちゃんが真顔になって射る様な目で私を見た。その時私の中を、考えを、心の中を読まれた様な、そんな気持ちになる。
 
「…………」

「──まあ、まだ知り合ったばかりって感じかな?」

「……あ、はい……」

「──そか……お兄ちゃんには雪乃さんってずっと好きな幼なじみがいるのは知ってる?」

「え? あ、うん……でも最近裏切られたって……」

「……そうか、そこまで知ってるのか、それでお兄ちゃんの事が好きって事なんだ~~」

「……」
 なんだろう……この私はなんでも知ってるっていう様な言い回しは?
 なにか……日下部君を中心に俯瞰で見ている様な、神目線な様な……例えていうのならば、妹が大好きな作家が書いている本のキャラクターの様なそんなイメージ……。

「うーーん、とりあえず連絡先だけでも教えて貰えるかな? それでこの後なんだけど、多分二人は買い物をしている筈、でも二人でお兄ちゃんの後をつけるとバレるから私が調べて、何があったか後で送るから」

 だから私は帰れと? でも確かにそれも一理ある。
 この妹ちゃんの言う事は信用出来ないけど、でも……帰ってきたお姉ちゃんの話と妹ちゃんの話を合わせれば、ある程度の事が想像出来るかも知れない。

 そもそも嘘をついているのは、隠し事をしているのは私なのだから。

 私は妹ちゃんにアドレスを教えた。

「じゃあ、私行くから」
 もう用は済んだとばかりに妹ちゃんは立ち上がると、伝票を持ってレジに向かう。

「あ、お金」

「いいのいいの、じゃあ……またね」
 そう言って伝票をヒラヒラさせてその場を後にする妹ちゃん。

 その後ろ姿を見て……私は不安が過った。
 いいのだろうか? この娘と絡んで……でも日下部君とこれ以上仲良くなるなら、この妹ちゃんとも仲良くならなければいけない……。

 そう思いながら、妹ちゃんの背中をじっと見つめていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

処理中です...