娘の様な義理の妹に俺が恋なんてするわけが無い。

新名天生

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キャンプ!

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 電車に揺られる事1時間ちょっと……俺たちは山間の河原にあるキャンプ場に来ていた。
 さすがに何も無い所は無理だろうって恵ちゃんも思ってくれたらしく、駅からそれほど遠くない、整備されたキャンプ場。

 まずはキャンプ場入口にあるログハウスの建物の中に入り受付をする。
 焚き火やゴミの注意等を受けこの間妹と泊まったホテルとは比べ物にならない位安い料金を払う。
 キャンプ道具はかなり持ってきたらしいが、それでも薪等諸々足らないらしく、あらかじめ借りる物を予約しているらしく、後程テントに持ってきてくれるとの事……これ以上は持てないしね。

 そのままログハウスを出て、木々に覆われた歩道を歩いて行く。
 鳥のさえずりを聞き、心地よい風を感じながら歩いていくと、水の流れる音が聞こえてくる。

 俺たちは、そのまま歩き遊歩道を抜けると、河原のキャンプ場に到着した。
 
 広い川岸に整備されたキャンプサイト、ゴールデンウィークだがあまり混んではいなかった。
 それでも周囲には、ちらほらとキャンパー達がテントを張り、川では子供達が水遊びをしている。

 大きな荷物を積んだキャスターを河原の石に悪戦苦闘しつつ、ゴロゴロと転がしながら区割りされたテントを張る場所に到着。

 まずは、テントを張らなければ……。
 恐らくこれだろうと、荷物の中で最も大きい袋を下ろした。

「で? どうやって張れば良いんだ?」
 キャンプ初体験の俺には、全くわからない……いや、誰もわかっていない……。

「えっとねえ、とりあえず、石とか取り除いて、シートを敷くってさ」
 漫画を読みつつ俺にそう言う恵ちゃん……てか、マジでそれ見て張るんかい?
 と思ったが、テントの袋の中に一通りの説明が書かれていた。

「お兄ちゃんできる?」

「……まあ、なんとか?」
 ざっと見た所、身長が高い方が何かとやり易そうと言う事で、俺と恵ちゃんが作業をし、妹が取説を読みながら指示をする事にした。


「えっと……最後にふらいーしーと? をかけて完成だって?」
 フライシート雨が降った時にそれで防げるらしい?

「……これか」
 俺と恵ちゃんが折り畳んであるシートを広げ、テントの上にかけて固定した。

「やったね完成! マジ凄い、やれば出来んじゃん!」
 約2時間以上、悪戦苦闘しながら、俺たちはテントを張る事に成功した。
 新品のテントは思ったより大きくて、イメージしていた三角形の味気ない小さな物とは違い、二つのテントがくっついた様な形をしており、3人寝ても余裕そうな大きさで……って、そうか……今日はここで寝るのか……。

 完成して気付いた……俺は今日二人と一緒に寝る……い、いや、別に変な事をするわけじゃない……そもそもこの二人は俺にとって身内なのだから。

 お父さんが子供とキャンプしに来るのと一緒だ、一緒……そう……一緒。

「じゃあ、次は火を起こしてご飯だ~~」

「……マジか……」
 テント張るだけですっかり体力を奪われた俺……ここからさらに火を起こすなんて……。

「えっととりあえずこれを組み立てて……そんでこいつを敷き詰めて……ライターで火をつけて、完成っと」
 恵ちゃんは、パタパタとコンロを組み立て、炭を敷き詰め、俺に頼る事なく難なく火を起こした。
「え?」

「ん?」

「いや、あっという間なんだって……」

「……あははは、賢にいちゃんこう、木の棒でゴリゴリやったり、虫眼鏡で光を集めたりとかって思ってる? マジでうける」

「いや、そこまでじゃないけど、ほらこう言うのって火がつかねええ~~とかってなるもんじゃないのか?」

「これ形成炭って言うんだって、今は便利な物が一杯あるんだよ~~本当はグランピングに行きたかったんだけど、こっちの方が青春ぽいでしょ?」
 グランピングってなんだ? いや、まあ……てか、なんだこの青春ごっこは……。

「とりあえずお昼ご飯を食べよう!」
 
「えっとバーベキューするんだっけ?」

「あ、バーべキューは夜だね」

「……へ? じゃあ何か別な物作るの?」

「ううん、ママに手伝って貰って私がお弁当作ってきたから食べよう!」
 そう言って弁当箱を取り出す恵ちゃん……。

「いや、じゃあ……この炭は?」

「え? えっとねえ、賢にいちゃんに出来る所を見せたかっただけ? 夜のテストみたいな?」

「……なんじゃそりゃ?!」
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