クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

新名天生

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天使と朝ごはん

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 食卓には純和風の食事が用意されていた、イメージ的に泉は洋食だと思っていたんだけど、やっぱりほら、お嬢様って洋食って感じだよね?

 でも、焼き鮭に味噌汁卵焼き迄は分かる、揚げ出し豆腐、うん美味しそう、ふろふき大根、きんぴらごぼう、里芋の煮っころがし、ほうれん草のおひたし、茶碗蒸しっておーーーーい!

「ど、どんだけ作ってるの!?」
 何? このどこかの高級旅館並の朝食メニューは……

「え? あ! ご、ごめんなさい、つい……楽しくて」

「楽しい?」

「だって……お兄様が私のご飯をいつも美味しそうに食べてくれるんですもの、私……つい嬉しくなって一杯作ってしまいました……」

「あ、えっと、うん美味しいよ、いつもありがとう、でも大変でしょ? 朝からこんなに……」

「いいえ、結構簡単なんですよ、市販の物に付け加えたり、沢山作って小分けにして出したり、あ、おかわりもありますからおっしゃって下さいね? お兄様」
 にこりと笑う泉、ああ可愛いな~僕の天使、朝から天使に見つめられるなんて。

「あ、うん、ありがとう、とりあえず冷めちゃうから食べよっか」

「はい! お兄様」

 僕がテーブルに座ると泉はご飯をよそったり、お茶を入れたりと甲斐甲斐しく世話をしてくれる。

 いや、本当になんでここまで……いくらなんでもやり過ぎじゃない?
 僕は心底疑問に思った、ついこの間迄赤の他人、ただのクラスメイトの彼女が。

 そんな彼女が僕に対して、いくら兄妹になったからと言ってここまでするなんて……

 ひょっとして、ひょっとしてだよ、泉は前から……僕の事が………………いや、ナイナイあるわけ無い。

 な、何僕は自意識過剰になってるんだ、泉が僕の事を前から……なんて事あるわけないのに。

 ああ、あれだ、あの、よくあるじゃない、たまたま目が何度かあったりすると、あれ? あの子いつも僕の事を見てる? って意識するよね、すると他にも偶然近くにいるな~~とか、その娘から何か渡される時に良く手が触れるな~~とか。

 まあだいたい勘違いなんだけどね……小学校の時朝教室に入ろうとしたら、中から女子数人の話し声、扉を開けるのをためらったその時、僕が意識していたその娘が大きな声で喋り出す。
「あいつ佐々井だっけ? あいついっつも私の事見てるんだけど、キモいよ~~プリント渡すと私の手触ってくるんだよ、ねえ○○ちゃん今日私の代わりに渡してよ~~~」

 ゲラゲラと大笑いしながら話すその娘の声を聞き、僕はショックでそのまま教室に入らずに保健室に直行した……いや、本当にお腹痛くなったんだよね……

 ましてや彼女はクラスカースト最上位、クラスでトップ、いや学年でもトップと言って良いくらいの存在、しかもお嬢様、僕はしがない一般人…………あれ?

 泉って見た目お嬢様だけど……本当にお嬢様? こんなに料理が出来るなんて……普通お金持ちの家ってお手伝いさんとかが作るんじゃ?

「お兄様? お口に合いませんでしたか?」
 僕はそんな考え事をしていて、つい食べる手が止まっていた……

「え? いや、そんな事ないよ!」

「そうですか、浮かないお顔をされていましたので」

「あ、いや、えっと……いつも泉にしてもらってるばかりで、僕は泉に何もしてないなって」

「そんな事無いです、お兄様が居てくれるだけで私は幸せなんです」

「そんな……色々してもらってるばかりじゃ悪いよ、僕に出来る事は無い?」

「うーーん」
 僕がそういうと泉少し困った顔をする。ベタに指を顎に当てて考え込むその姿、他の娘がやったら何作ってるんだよと思ってしまいそうなその姿、泉がやると本当にめちゃくちゃ可愛い。


「それじゃ、お兄様、一つだけお願いがありますが、言ってもよろしいでしょうか?」

「え! うん、勿論よろしいよ!」

「お兄様とお買い物を、一緒に行きたいなって……良いですか?」

「え、そんな事? うん、全然行くよ!」

「ありがとうございます! お兄様! 嬉しい……」
  満面な笑みで僕を見つめる泉、その笑顔に僕はドキドキしてしまう。
  
 そして、思った……えっと……これって……デートじゃないって?

 僕の初デート、どころか女の子と二人きりで出かけるなんて事が初めて?……ああ、あいつは女の子って思ってないからノーカウントだし。

 憧れの女子と二人きりで買い物に行く、まさに夢の様、これってデートだよね? 妹だけど……デートでいいよね?
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