クラスでカースト最上位のお嬢様が突然僕の妹になってお兄様と呼ばれた。

新名天生

文字の大きさ
16 / 99

幼なじみ来襲

しおりを挟む
 
 本日は両親のいない土曜日の午後、あ、ちなみに泉の母親……あ、今は僕の母親なんだけど、えっと義母さんの仕事は某アパレルメーカーのファッションデザイナー、父は繊維会社の社員、今決めた訳ではないよ……

 一応義母さんも引っ越して来て今は家族4人で一緒に住んでいるんだけど、なんかショーが近いと言うことで義母さんは、あまり家に居ない。父も大手繊維会社の為に海外と取引する事が多く夜勤や休日出勤が多い。

 つまり休日も泉と二人きりで過ごす事になる。

 そう僕は平日どころか休日も丸1日泉と一緒で、もう泉が僕にベタベタして来て困ってしまう~~~…………という事はなかった。

「お兄様、申し訳ありません、今日は午後から友達に誘われたので少し外出しますね」

「あ、うん……行ってらっしゃい」

「お兄様はお出掛けにならないんですか? いい天気ですよ?」

「あ、うん、今日はちょっとやる事が」
 メイドらのべを読んで、メイド漫画を読んで、メイドアニメを見て、ネットでメイド喫茶関連の検索、あと、ミカンちゃんのSNSも見ないと、ああ、忙しい、忙しい。

「そうですか、では早めに帰って来ますね」

「うん、でも僕は大丈夫だよ、いつもご飯とか作って貰って悪いし、ゆっくり楽しんでおいで」

「お兄様! ありがとうございます」
 目をうるうるさせて僕を見つめる泉、ああ僕の天使……、そんな目で見ないで、そんな潤んだ瞳で見つめられると、僕は勘違いして僕の天使を、泉を抱き締めたくなっちゃう……、いや違う違う、勘違い勘違い、泉は妹、落ち着け僕……


「うん、本当……たまにはゆっくりしておいでね」

「はい! お兄様!」



 と、いう事で泉は出かけて行った…………うふ、うふふ、うふふふふふ、さあ読むぞ! 見るぞ! ○○するぞ!

 僕は部屋に籠る為にコーヒーを入れるべく、お湯を沸かしにキッチンに行く。

 前からなるべく綺麗に使う様に心がけていたが、やはり家に女の人がいると、キッチンはより綺麗に、より明るくなっている。

 僕はお湯をケトルで沸かし、蒸気で沸騰した事を告げる笛が鳴るのをコーヒーを入れる準備をしながらじっと待っていたその時。

『ピンポーーーン』
  と笛でなくチャイムが鳴った。

「あれ? 今日なんか来るっけ?」

 泉は3次元にはうるさいが、2次元はあまり分からないらしく、漫画や、らのべ、アニメなんかは没収しない、なので最近もっぱら買うのは2次元メイド関連本ばかり……でも!

「ラッキー、ゆっくり新作を読める!」

 僕はそう喜びながら、玄関に向かい扉を開けた。


「ヤッホーーー、来ちゃった」
 扉の向こうには、宅配のお兄さんではなく、にこやかに手を降りながら立っている僕の幼なじみがいた。

「あ、愛真!」

「ヤッホー真ちゃん、来たよ~~」

「えええええええ!!」
  いや聞いてない、て言うか聞ける訳無いんだけど。

「積もる話しもあるし、真ちゃんの家でゆっくり話そうかなって、来ちゃった。あ、あのちょっと怖い、妹さん居る? 彼女も一緒に食べようと思ってケーキ買って来たんだけど~~~」
 持っていたケーキの入った紙箱を目線の高さ迄持ち上げながら僕の背後を伺う。

「あ、いや、今さっき出かたんだけど」

「Oh! ラッキー」

「あ、いや、妹だけじゃなくて今親も居ないし」

「え?、それはいつもの事だったじゃん、おじさんいっつも居なかったよね~~真ちゃん寂しくて私の事中々帰してくれなかったし」

「え、いや、そ、そんな事は」

「えーー?、いっつも帰り際、私を壁ドンして、今夜は……お前を帰さないって」

「言ってない! 言ってないし、やってない!」
 小学生だよ、やるわけないよ!

「まあまあ、そういうのも含めて、とりあえずお邪魔しまーす」

「いや、本当、まずい……」
 親よりも泉に見られたら、愛真を家に入れたのがバレたらヤバい、

「あれ? 真ちゃん、なんか鳴ってない?」

「え? ああああ!」
 僕は慌ててキッチンに走り急いで火を止め、返す刀で振り返り愛真の侵入止めるべく玄関に向かおうとしたが、時既に遅く愛真は勝手知ったる他人の家、もうリビング入り込みソファーに座っていた。

「ちょっと、て言うか愛真!」

「真ちゃん、私、紅茶かハーブティーがいいな~~」

「ううう、……ハーブティーなんてないよ」
  多分……

「じゃあ~~お茶でも良いかな? コーヒーあんまり好きじゃないからコーヒー以外でお願いね、あ、あとケーキのお皿とフォークもね~~」

「ぐうううう、わ、分かったよ、今持って来るから、食べたら帰ってよ!」

「よろ~~~~」
 僕を見ないでケーキの箱を開けながら、適当に答える愛真。



『さいしん、私カルピスがいい』

『えーーオレンジジュース持って来たのにぃ』

『カルピス濃いめよろ~~~』

 テレビを見ながら僕を見ないでそう言っていた小学生の愛真と今の愛真がダブって見えた。

 本当こういう所は変わってない! 図々しくて、人の領域にズカズカ踏み込んでくる、小学生の時から何も……

 僕は憤然とするも、小学生の頃から変わらない愛真に少しホッとしながら、キッチンに向かった。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...