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幼なじみとのフラグは折れる?
しおりを挟む「ごめん、ごめんね真ちゃん……」
「ほら……やっぱり無理してた……」
「うん……」
「と、とりあえず後ろ向くから服を着て…………ね?」
「う、うん」
僕は目をつむり愛真をゆっくりと離すと反対方向を向いた。
愛真は小さなため息を一つつくと服を着始めた……様だ。いや、目をつむって反対方向を向いているので推測でしか無いんだけど、衣擦れの音がし始めたので、僕はそう判断した。
でも……これ、なんかいきなり脱がれるよりドキドキする。ひょっとしたら下も脱いで全裸になっている可能性も……って無いか。自分から脱いで泣いちゃうんだから……愛真ってやっぱり相変わらず勝手な奴だよな……
「……良いよ」
愛真からそう言われゆっくりと振り向き目を開けると…………ちゃんと元通り服を着てました~~~
「もう……そこまで嫌なら、泣く位嫌ならやるなよぉ」
「ち、違う! 違うの……」
「何が違うんだよぉ?」
「本当に……違うの……」
「違うって?」
「本当に……私……真ちゃんにならって……でも……」
「でも?」
僕がそう聞くと愛真は僕から目を離しうつ向いてしまう。そして、少し考えてから意を決した様に顔を上げ僕に向かって話し始めた。
「あのね……私……真ちゃんに言って無かった事があるの」
「言って無かった……事?」
「あのね…………私……逃げて来たの……もう……嫌だって……」
「逃げてきた?」
「うん…………真ちゃんと別れて……向こうで頑張ろうって、真ちゃんにもっと認めて貰おうって、変わろって……でも、言葉も、生活も、何もかもなかなか慣れなくて、友達も殆ど出来なくて……もう駄目って……日本に帰りたいって、でも真ちゃんも頑張ってるからって、そう自分に言い聞かせて頑張った……」
「え?」
そう……なの? 愛真は向こうで楽しく、僕の事なんて忘れて楽しく生活してたんじゃないの? ど、どういう事? 僕は戸惑った……突然行ってしまって、そして一度も連絡をしてくれなくて、だから僕はてっきり愛真は楽しく生活しているもんだと……
「真ちゃんに会いたくて、でも……多分真ちゃんの顔見たら駄目だって思って……だから真ちゃんと一切連絡をとらないでいたの……でも、それでも全然駄目で……」
「それで……か」
愛真は僕に突然別れを告げた。そしてその後一切の連絡をして来なかった。手紙も電話もメールも一切……だから僕は薄情者って、向こうで楽しく生活をして、愛真なら友達も一杯作って、僕の事なんて忘れて……だから……もう愛真なんて知らないって……そう思った。そう思う事にした。
「……ハイスクールに入ってもそれは変わらなくて……だから……お父さんに……そう話して……色々話し合って……お母さんと私だけで日本に……」
「そう……なんだ……」
「帰ってきたら……真ちゃん変わってなくて凄く安心したの、でも……そんな事無かった。真ちゃんは……私と違ってちゃんと成長してて、泉さんや凛さんと仲良くなってて……ショックだった……だって、そこに居たのは私だったのに……真ちゃんの隣に居たのは私だったのに、真ちゃんは私の…………なのにって、私は……何も変わってなくて……」
「そ、そんな事……」
「だから……真ちゃんに振り向いて欲しくて……真ちゃんの隣に居たくて……だから……私……自分の身体を使って……でも……真ちゃんは駄目だって……そう言われて……私……真ちゃんに酷い事をって……泉さんや凛さんに……酷い事を、ごめんね、ごめんなさい、ごべんなさあああああいいいいいい」
「愛真……」
再び愛真が泣き始める。子供の様にワンワンと泣きじゃくる愛真、小学生の様に、出会った頃ゲームで負けた時、時々泣きじゃくっていたあの時の様に泣きじゃくる。身体は大きくなった、色々と大きく……そして凄く綺麗に、可愛くなった。でも中身は全然変わらない、小学生の時と全く変わらない、勝手で我が儘で……そして……僕の事を一番に思ってくれている……僕は愛真の頭に手をやり、ゆっくりと撫でた。昔の様にゆっくりと頭を撫でた。
「真ちゃん……真ちゃんんんんんん」
涙と鼻水を垂らして酷い顔で僕を見つめる……あははは、本当に全然変わってない。あの頃と同じ泣き方、泣き顔……僕は凄く安心した。
「大丈夫だよ愛真、僕は何も変わって無いから、僕こそ何も……泉は父さんと義母さんが結婚したからだし、凛ちゃんと知り合ったのは泉のおかげでみたいなもんだし……僕自身何も変われなかった……だから……泣かないで、ね」
「……真ちゃんも?」
「うん……なかなか変われないんだよ、人って……でも、全く変わってないわけじゃない、この間、僕がここに来たとき言ってくれた言葉、昔の愛真なら言えないよ。だから全く変わってないわけじゃないない、少しずつ変わって行ってる、大人になってる。大丈夫だから、僕も頑張るし愛真も頑張れば、変わろうって思っていれば、いつか変われるよ……ね?」
「ほんと?」
「うん! だから一緒に頑張ろ、一緒に変わろう、大人になろ」
「一緒に……居てくれるの?」
「何言ってるんだよ! 僕はずっとここに居たんだよ、離れていったのは愛真の方だろ?」
「うん……そうだね……ごめんね……もうどこにも行かないから……ずっと真ちゃんと……」
「愛真……」
愛真はそれ以上の事は言わなかった……ずっとなんて居られるかはわからない、でも、僕もそうあって欲しいって思った。変わらなければいけない、子供のままでは居られない、でも変わって欲しくない物だってある。愛真は僕の初めての友達だから、僕の大事な友達だから、僕の大事なお姉ちゃんだから……そして……
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