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6年2組 佐々木愛真
しおりを挟む「ご飯食べる前にお風呂に入っちゃって~~」
「はーーい」
ゲームで遊んでいた所、いつの間にか帰って来てた愛真のお母さんにそう言われニヤニヤしながら返事をする愛真。
さっきあんな事があったのに、何その笑顔は?
「さあ真ちゃんお風呂に入ろう!」
「…………もう、さっき泣いたばかりだろ、一人で入れるから大丈夫だよ」
「とりあえずお風呂場まで一緒に行くから、危ないでしょ?」
「いや、本当に歩けるから、骨折じゃないから」
「いいから、いいから、着替えは~~」
そう言いながら僕のカバンを漁り始める。
「わーーー、取る、自分で取るから」
「あ、真ちゃんってそんなパンツ履いてるんだ」
「見ないでよおおお」
「ハイハイ、着替え持ってあげる、行くよ~~」
「いや、一人で……」
愛真に連れられお風呂場に……まあ、さっきあんな事があったんだからさすがに一緒にってのは無いだろ…………無いよね?
愛真に支えられながら脱衣室に入る。
「着替えここに置いて置くね、タオルはそこの棚にあるから、あ、洗濯するから脱いだ服はそこに入れて置いてね」
「あ、うん、あ、いや、明日帰るんだから洗濯はいいよ」
「そか、じゃあ何かあったら呼んでね」
「あ、うん」
そう言って愛真は素直に出ていった……まあ……そうだよね…………き、期待なんてしてない、してないんだからね!
さっき感じた愛真の胸の感触が甦る、この間の泉といい、さっきの愛真といい、千載一遇のチャンスだったのに……ああ、僕って……ヘタレ……
少しだけ、ほんの少しだけ後悔しながら服を脱ぎお風呂場に入る。
家は違うけど、愛真の家のお風呂っていう意味では昔何度も入った。だからあまり他人の家って感じがしない……特に緊張感もなく身体を洗おうと蛇口の前に座る。
「えっと……ん?」
しかし、慣れているのは愛真の家ってだけで、このマンションのお風呂に入るのは今日が初めて、なので勝手がよくわからない。とりあえず身体を洗おうと椅子に座ってシャワーを使おうとしたが、水の出し方がわからない。なんか変な形の蛇口、お湯と水が別れて無い、シャワーの切り替えもよくわからない。最新のってこうなの? ガチャガチャとハンドルを回したり捻ったりしてお湯を出すも温度が中々調整出来ない……
「ううう、わかんないいいい」
「ハンドルを少し右方向で微調整すると丁度いいよ」
「なるほど…………え?」
その声に振り向くと……そこには愛真が!!
「え、ええええええええええええ!」
「ほらぁ、わかんないじゃん、やっぱり私が洗ってあげるから~~」
「いや、え? そ、その格好、え??」
「どう? 懐かしいでしょう? まだ頑張れば着れるんだね」
「いや、その、頑張りすぎっていうか……えっと」
えっと……今の状況を説明するの? して良いの? まあタイトル見てピンと来た人もいるよね、えっと……今、愛真は……スクール水着を着ています。小6の時に着ていたスク水、なんで6年の時って分かるかって? タイトルの通り胸に書いてあるから……いや、ちょっと待って、身長はあまり変わって無いからいいんだけど、そのさっきも言ったけど小学生の時から成長を止めない一部が、す、凄い事に、えっとその……色んな所から出ちゃってるというか……
「ほら、あっち向いて、背中と頭洗ってあげるから~~」
「いや、ちょっと、ちょっと待ってええええええ」
愛真が僕の後ろから覗きこむ様にシャワーの温度を調整する。背中にまたあの感触が……っていうか、良かった……タオルを腰に巻いていて本当に良かった……
さっきも言った通り、僕は今、足の怪我の為に行動が制限されている。ゆっくりとは歩けるが、走って逃げたり出来ない……しかも今はサポーターも外している状態だ。相手は女の子なのに僕は一切抵抗できない……泉に対しても、愛真に対しても、今なすがまま、まな板の鯉状態だ。
ああ、もう凛ちゃんだけだ、安心出来るのは凛ちゃんだけ……助けてええええええ凛ちゃんんんんんんんんん!
と、言った所で誰も助けに来ない……っていうか愛真のお母さん居るんでしょ? この状況良いの? 本当に良いの?
そんな思いも虚しく愛真に身体を洗われてしまう……ああ、もうお婿に行けない……そして逃げる様にお風呂に浸かる……あ、勿論前は自分で洗ったよ!
僕が浸かるのを見ると愛真は水着のまま自分の髪を洗い始めた。
「めんどくさいからこのまま入る、ご飯冷めちゃうから」
「あ、うん、直ぐに出るよ」
「ゆっくりでいいよ、髪洗うの時間かかるし」
「うん……」
泉とお風呂に入った時、泉は自分の世話だけなので、こうやって女の子が髪を洗っている所を見るのは始めて、言ってる通り結構丁寧に洗うんだな~~と感心して見てしまう。あ、見ているのは髪を洗う姿だからね! こぼれんばかりの……それは全然見て無いんだからね!
◈◈◈
結局そそくさとお風呂から上がり愛真と交代する、愛真はシャワーだけだったのか僕が着替えていると直ぐに出てきた。水着を片手にバスタオルを巻いて……
「真ちゃん直ぐに着替えるから向こう向いてて」
「あ、いや、一人で大丈夫だって」
「良いの、一緒に行くの!」
「あ、うん」
信用されているのか、それともやっぱり見られても良いのか、とりあえず向こう向いててと言われた以上僕は愛真の方を向くわけはない…………素直に愛真と背中合わせに……えっと……どこかに鏡は無いかなぁ…………
あったかどうかは秘密です。
パジャマに着替えた愛真と二人でキッチンに行くと、既に夕飯は用意されていた。
久しぶり、本当に久しぶりに食べる愛真の家のご飯。普通のごく普通の和食、でも……美味しい……涙が出そうになるくらい美味しい。
愛真の家で食べるのは本当に久しぶり、もう懐かしいって思うくらいに久しぶり……母の味を知らない僕は久しぶりに愛真のお母さんご飯を食べられて凄く嬉しかった。もう二度と食べられる事は無いだろうって思ってただけに……
多分僕にとっての母の味ってこの愛真に家のご飯なんだろうなって思った。
昔話をしながら3人で楽しくお喋り、ご飯を食べリビングでコーヒーを飲んで寛いでいるといつの間にか結構な時間になっていた。
「さあ、そろそろ寝よか♪」
楽しそうにそう言う愛真、なんか嫌な予感が……
「えっと……僕はどこで?」
「さっきお布団敷いて貰ったから~~」
そう言いながら僕の手を引っ張ると廊下に連れ出される。足の不自由な僕はやはりされるがまま、連れていかれるがままだ。そしてたどり着いたのはやはり愛真の部屋……
「マジでか……」
扉を開け部屋を見ると愛真のベットの横に布団が敷いてあった。
「お母さんにさっき敷いて貰ったの~~」
お母さん貞操観念って言葉知ってますか~~高校生を一緒に寝かせるとか何考えてるんだああああ。
「だ、駄目でしょ、さすがにこれは……ちょっとお母さんに」
「あ、お母さんは最初枕だけ持ってきて私のベットに置いたから、さすがにそれはって、なんとか説得したんだ、でも……真ちゃんが良いなら……私は」
「良いです!! これで全然良いです!!」
「そか、うん、眠くなるまでお話しようね~~」
そう言うと愛真に引きずられる様に部屋に入りパタンと扉を閉められた。
二人切りで寝る夜……ああ、もうどうにでもなれ!
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