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第二章 小さな白竜との出会い
第28話 お兄ちゃん
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「この子はね・・・白竜族の精霊の子供よ」
「・・・白竜族」
ウェンディはこの子を白竜族の子供といったが、正直良くわからない。
このアトランティスでは馴染があるかもしれないが、地球から来た俺としてはそうなんだと言う他ない。
グレートデビルウルフの死骸を見てショックを受けた少女が俺に抱きつき、慰めている間に寝てしまった姿を見ていても、ただの女の子としか分からない。
とりあえず、今は寝かせてあげよう。事情を聞くのは落ち着いてからだな。
「白竜族っていうのは珍しいのか?」
「存在は知られているけど、滅多に出会うことはないわね。一番有名なのは、精魔大戦の時にガンテツ様と戦った白竜のデュトロ様かな」
「ああ、親父が跨って戦った白竜のことか・・・この子はその子孫ってことか?」
「分からないけどその可能性はあるわね」
「それよりも・・・」
ウェンディが大きな目を細め、この子の首元を睨んでいる。
普段はしない厳しい表情だ。
「ん?この首飾りが気になるのか?」
「それは首飾りなんかじゃないわよ。魔封じの首輪・・・どこで手に入れたのかしら?」
魔封じの首輪・・・対象の魔力を封じる首輪。奴隷を縛るための物。
「おいおい。この子は奴隷なのか?こんな小さな子が・・・」
ただの首飾りと思って気にしなかったが、改めて目利きをしてみると物騒な説明が出た。
「この子は妖精だって言ったでしょ?人族が縛ろうとしても反撃できる力はあるわ。それにこの首輪自体もう大陸に存在しないはずよ」
「それじゃどうしてこの子は魔封じの首輪をしているんだ?」
「わからない・・・これもエアロ様に相談してみる」
こんな小さい子が魔力を封じられ、奴隷にされているなんて酷い話だ。俺はそんな事許さない。
「この世界では奴隷は一般的なのか?」
「少なくともミルフィーユ王国とイーストパレス王国では禁止されているはずよ」
「それじゃ他の国で売られる途中だったのかな?」
俺達は何か手がかりがないか周辺を調査することにした。と言ってもこの子が入っていたと思われる檻とグレートデビルウルフ辺りだ。
一応、荷台を幌馬車にして少女を横にしておく。床張りだから痛いかもだけどごめんな。
まずは、ひしゃげた檻からだ。幸いというか少女を閉じ込めていた檻のおかげでグレートデビルウルフの襲撃から守られていたのだろう。皮肉なものだ。
特に手がかりになるような物はないので、次はグレートデビルウルフの黒い塊を調べることに。
しっかしデカイな。こんな狼はもちろん見たことがないから死骸と分かっていても怖くなる。
「後で魔石取るわよ」
「マジで!?ウェンディよろしく」
「おバカ!あなたがやるのよ。これも経験よ」
「お、おう」
キノコやタケノコだったら抵抗なかったのに、一気にレベルが上がったな。なんとかウェンディに頼み込もう。
「ワタル!見て!」
俺がどうやってウェンディをおだてて解体をお願いするか考えていたら、ウェンディが何か見つけたようだ。
「ん!?何かあるな」
グレートデビルウルフの巨体に隠れて見えなかったが、何かを引きずった跡の先に壊れた馬車が見える。
そうか!コイツが檻を引きずった跡だな。
となるとあのバキバキに壊れている馬車で檻を運んでいたのだろう。
俺とウェンディがその場所まで行くと、状況がよく分かった。
あの子を乗せた馬車の集団がここで野営をしていたのだろう。
壊れた馬車。
焚き火をした跡。
折れた剣や弓。
ちぎれた服と引き千切られた革鎧らしきもの。
それらには血痕が付いている。
「ここであの狼に襲われたと見るべきだな」
「そうみたいね・・・でも人の姿は見えないわね。死体もないし」
「多分食べられたか・・・どこかに連れて行かれたか・・・」
自分で言っていて怖くなる。
それにしてもあの子は本当にギリギリの状況だったようだ。
檻が無かったと思うとゾッとする。助けられて良かった。
「ある程度状況は分かった。とりあえず戻るか・・・っと」
「あら起きたのね」
荷台に戻ろうと振り返った時、少女が俺の足にしがみついてきた。
腰辺りに白い髪のつむじが見える。
「もう大丈夫なのか?落ち着いたかな?」
「ずいぶん懐かれたわね」
子供と話す為にしゃがんで目線を合わせる。
金色の瞳が俺をじっと見つめてくるのを見ると吸い込まれそうだ。
コクコク
「そうか。怖い思いをしたんだな。けどもう大丈夫だぞ。腹減ってるだろ?」
コクコク
「うん。分かった。戻って何か食べよう」
「・・・・・・」
ウェンディは首輪を見つめていた。
・・・・・・・・・
シャクシャク
モグモグ
よっぽどお腹が減っていたのだろう。ナッシーからもらった梨を勢い良く食べ始める少女。
結局2つ平らげてしまった。
幌馬車の中で食事を始めた少女が食べ終わるまで、見守っていることに。
「ユキナール」
「ん?君の名前かな?」
「そう・・・皆からはユキナって呼ばれてる」
「俺はワタルだ。こっちはウェンディ」
「よろしくユキナ。あなたはデュトロ様の娘なの?」
「うん・・・デュトロは私のお父様の名前」
やっぱりユキナは親父とともに戦った白竜の娘だった。
「そう・・・なんとなく状況は察したけど、何があったか話せる?」
「・・・・・・すけて・・・助けて」
ウェンディが訪ねると、ユキナは目に涙を浮かべて、一生懸命懇願するように声を絞り出した。
「大丈夫か?」
「私を助けて・・・ワタルお兄ちゃん・・・」
ワタルお兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・
ユキナが言ったことを反芻する。
もう俺の中では結論が出ていた。
「分かった!ワタルお兄ちゃんに全て任せなさい」
「はぁ?理由も聞かずに何安請け合いしてるのよ!」
「ユキナが困っているんだぞ!助けるのは当然だ!」
「馬鹿じゃないの?あなたはお兄ちゃんって言われれば助けちゃうの?病気なの?」
そう。ユキナは俺の一番弱いところをピンポイントで突いてきた。
お兄ちゃんは助けるしかないのだ。
「頭痛がしてきたわ・・・」
「・・・白竜族」
ウェンディはこの子を白竜族の子供といったが、正直良くわからない。
このアトランティスでは馴染があるかもしれないが、地球から来た俺としてはそうなんだと言う他ない。
グレートデビルウルフの死骸を見てショックを受けた少女が俺に抱きつき、慰めている間に寝てしまった姿を見ていても、ただの女の子としか分からない。
とりあえず、今は寝かせてあげよう。事情を聞くのは落ち着いてからだな。
「白竜族っていうのは珍しいのか?」
「存在は知られているけど、滅多に出会うことはないわね。一番有名なのは、精魔大戦の時にガンテツ様と戦った白竜のデュトロ様かな」
「ああ、親父が跨って戦った白竜のことか・・・この子はその子孫ってことか?」
「分からないけどその可能性はあるわね」
「それよりも・・・」
ウェンディが大きな目を細め、この子の首元を睨んでいる。
普段はしない厳しい表情だ。
「ん?この首飾りが気になるのか?」
「それは首飾りなんかじゃないわよ。魔封じの首輪・・・どこで手に入れたのかしら?」
魔封じの首輪・・・対象の魔力を封じる首輪。奴隷を縛るための物。
「おいおい。この子は奴隷なのか?こんな小さな子が・・・」
ただの首飾りと思って気にしなかったが、改めて目利きをしてみると物騒な説明が出た。
「この子は妖精だって言ったでしょ?人族が縛ろうとしても反撃できる力はあるわ。それにこの首輪自体もう大陸に存在しないはずよ」
「それじゃどうしてこの子は魔封じの首輪をしているんだ?」
「わからない・・・これもエアロ様に相談してみる」
こんな小さい子が魔力を封じられ、奴隷にされているなんて酷い話だ。俺はそんな事許さない。
「この世界では奴隷は一般的なのか?」
「少なくともミルフィーユ王国とイーストパレス王国では禁止されているはずよ」
「それじゃ他の国で売られる途中だったのかな?」
俺達は何か手がかりがないか周辺を調査することにした。と言ってもこの子が入っていたと思われる檻とグレートデビルウルフ辺りだ。
一応、荷台を幌馬車にして少女を横にしておく。床張りだから痛いかもだけどごめんな。
まずは、ひしゃげた檻からだ。幸いというか少女を閉じ込めていた檻のおかげでグレートデビルウルフの襲撃から守られていたのだろう。皮肉なものだ。
特に手がかりになるような物はないので、次はグレートデビルウルフの黒い塊を調べることに。
しっかしデカイな。こんな狼はもちろん見たことがないから死骸と分かっていても怖くなる。
「後で魔石取るわよ」
「マジで!?ウェンディよろしく」
「おバカ!あなたがやるのよ。これも経験よ」
「お、おう」
キノコやタケノコだったら抵抗なかったのに、一気にレベルが上がったな。なんとかウェンディに頼み込もう。
「ワタル!見て!」
俺がどうやってウェンディをおだてて解体をお願いするか考えていたら、ウェンディが何か見つけたようだ。
「ん!?何かあるな」
グレートデビルウルフの巨体に隠れて見えなかったが、何かを引きずった跡の先に壊れた馬車が見える。
そうか!コイツが檻を引きずった跡だな。
となるとあのバキバキに壊れている馬車で檻を運んでいたのだろう。
俺とウェンディがその場所まで行くと、状況がよく分かった。
あの子を乗せた馬車の集団がここで野営をしていたのだろう。
壊れた馬車。
焚き火をした跡。
折れた剣や弓。
ちぎれた服と引き千切られた革鎧らしきもの。
それらには血痕が付いている。
「ここであの狼に襲われたと見るべきだな」
「そうみたいね・・・でも人の姿は見えないわね。死体もないし」
「多分食べられたか・・・どこかに連れて行かれたか・・・」
自分で言っていて怖くなる。
それにしてもあの子は本当にギリギリの状況だったようだ。
檻が無かったと思うとゾッとする。助けられて良かった。
「ある程度状況は分かった。とりあえず戻るか・・・っと」
「あら起きたのね」
荷台に戻ろうと振り返った時、少女が俺の足にしがみついてきた。
腰辺りに白い髪のつむじが見える。
「もう大丈夫なのか?落ち着いたかな?」
「ずいぶん懐かれたわね」
子供と話す為にしゃがんで目線を合わせる。
金色の瞳が俺をじっと見つめてくるのを見ると吸い込まれそうだ。
コクコク
「そうか。怖い思いをしたんだな。けどもう大丈夫だぞ。腹減ってるだろ?」
コクコク
「うん。分かった。戻って何か食べよう」
「・・・・・・」
ウェンディは首輪を見つめていた。
・・・・・・・・・
シャクシャク
モグモグ
よっぽどお腹が減っていたのだろう。ナッシーからもらった梨を勢い良く食べ始める少女。
結局2つ平らげてしまった。
幌馬車の中で食事を始めた少女が食べ終わるまで、見守っていることに。
「ユキナール」
「ん?君の名前かな?」
「そう・・・皆からはユキナって呼ばれてる」
「俺はワタルだ。こっちはウェンディ」
「よろしくユキナ。あなたはデュトロ様の娘なの?」
「うん・・・デュトロは私のお父様の名前」
やっぱりユキナは親父とともに戦った白竜の娘だった。
「そう・・・なんとなく状況は察したけど、何があったか話せる?」
「・・・・・・すけて・・・助けて」
ウェンディが訪ねると、ユキナは目に涙を浮かべて、一生懸命懇願するように声を絞り出した。
「大丈夫か?」
「私を助けて・・・ワタルお兄ちゃん・・・」
ワタルお兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・お兄ちゃん・・・
ユキナが言ったことを反芻する。
もう俺の中では結論が出ていた。
「分かった!ワタルお兄ちゃんに全て任せなさい」
「はぁ?理由も聞かずに何安請け合いしてるのよ!」
「ユキナが困っているんだぞ!助けるのは当然だ!」
「馬鹿じゃないの?あなたはお兄ちゃんって言われれば助けちゃうの?病気なの?」
そう。ユキナは俺の一番弱いところをピンポイントで突いてきた。
お兄ちゃんは助けるしかないのだ。
「頭痛がしてきたわ・・・」
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